俺は善人にはなれない

気衒い

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第7章 vsアスターロ教

第88話 序列3位"殺戮"ヨール

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――――――――――――――――――――

ドルツ
性別:男 種族:半神 年齢:23歳

Lv 30
HP 15000/15000
MP 15000/15000
ATK 15000
DEF 15000
AGI 15000
INT 15000
LUK 15000

固有スキル
直感・分身・挑発・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
緑の短剣カルンウェナン(伝説級)

称号
創造神の加護・潜伏者・臆病者・相棒・傅く者・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・こだわり派

――――――――――――――――――――

ヨール
性別:男 種族:改造獣人 年齢:22歳

Lv 40
HP 8000/8000
MP 4000/4000
ATK 10000
DEF 5000
AGI 10000
INT 3000
LUK 0

固有スキル
火事場の馬鹿力・不屈の闘志・挑発・状態異常無効

武技スキル
短剣術 :Lv.7
体術  :Lv.6

魔法
氷魔法 :Lv.4
雷魔法 :Lv.6
無魔法 :Lv.5
空間魔法:Lv.5

称号
なし

――――――――――――――――――――




かつて殺戮の限りを尽くした男がいた。男は気分のままに足を運んだ村や町の者を自身の手で屠っていき、その身体の一部をコレクションとして保管するのが趣味だった。いわゆる快楽殺人者であり、稀有な蒐集家でもあった。別に家庭環境に問題があったとか、幼い頃より不遇な扱いを受けていたという訳ではない。男はごく普通の家庭の三男に生まれ、周りから程々の愛情を受け、趣味や欲しい物も特になく、これといった不自由のない生活を送っていた。ごく一般的な暮らし。多くの者はそれで満足するのが常だった。しかし、この男は違った。あまりにもその日常を退屈だと感じた彼は友人と取っ組み合いの喧嘩をした際、勢い余って、そのまま友人を手にかけてしまった。直後はさすがに焦り動揺したが、数分するとそれも別の感情へと変わっていった。それは"とても気持ちが良く、この退屈な日常に一滴の潤いを与え、今までで一番生を実感できる"、快楽だった。数十分はその感覚が続いたが、いずれはそれも切れてしまう。どうすればいいか考えた彼はもう一度同じことをすればいいという結論に至り、他の友人達を訪ねて回るのだった。それから1週間後、男の周囲では変な噂が出始めていた。何でもここ1週間で多くの子供達が行方不明になっている………………全員に共通していることは男の友人であり、唯一無事なのがその男。これについて何か知っているのではないかと。男はそろそろ潮時だと思った。自身の身勝手な欲求の為にそんなことを繰り返していれば、いずれはバレて当然。この段階で取れる選択肢は主に2つだろう。国外逃亡か自首。逃げて行方をくらませるのか、潔く罪を認め、一生をかけて償っていくのか、大抵の者はその二択を迫られ、どちらかを選んで今後の人生を歩んでいくのだろうが、ことこの男に限っては違っていた。男が取った選択は………………村人全員を手にかけることだった。結局、逃げようが自首しようがその先は一生十字架を背負い、親族に頭を下げながら過ごさねばならない。そんな不自由な生活は嫌だ。ではどうすればいいのか。答えはすぐに出た。そうだ、全員始末しよう…………と。そうすれば、自分を縛るものは何もないし、快楽という自身の欲求まで満たせて一石二鳥だと。それが閃いた時、男は居ても立っても居られなくなり、気が付けば家を飛び出していた。そこからは男にとって天国、村人にとって地獄な時間が続いた。もちろん、男を止めようと屈強な戦士達が立ちはだかったのだが、長い間退屈に悩まされていた男の解放力、また戦闘力は凄まじく次々とその命を散らしていった。そうして、約数時間後、村で生き残っているのは男1人だけとなっていた。男はこれまでに無い程の快楽に支配され、しばらく悦に浸っていたが、急に我に返ると思った。村を1つ滅ぼしてこれだけの快楽…………これが街や都市、果ては国ともなれば一体どれだけの……………男はまだその行為に満足し切っている訳ではなかったのだ。それどころか、より強く快楽を得たいと思うようになり、旅に出ることにした。目的は自身の快楽を満たし生の実感を得ること。金は村人全員分を空間魔法で収納した。もし、足りなければ快楽を得るついでに奪えばいいのだ。さぁ、ここからは明るい未来の始まりだ………………後にこの男がアスターロ教の教主と出会うのは既に村や街を3つ程、滅ぼした後だった。

――――――――――――――――――――





「とまぁ、僕の遍歴はそんな感じ。どう?とても面白かったでしょ?」

「は?どこがだよ」

クラン"黒天の星"のメンバー達が各地へ散り散りとなっている中、この男は最も離れた場所にいた。近くに小さな村が見える森の中。整えられた顎髭と燻らせる紫煙、身に纏った黒衣を靡かせながら、男は年季の入ったハットを手で押さえていた。それはクラン"黒天の星"の幹部である"十人十色"の1人、ドルツであった。対するはアスターロ教の幹部"七腐苦人"の1人、ヨール。巷では"殺戮"と呼ばれている。両者が出会ったのは10分程前。軽い自己紹介から始まり、何故かヨールの身の上話を聞くハメになったドルツは開始数分後には早々に飽き始めていた。理由は実にシンプル。単純につまらないと感じたからだった。

「この話のどこがつまらないっていうんだい?僕の周りはみんな驚くし、怖がるし、それはそれは良い表情を見せてくれるんだ……………ところが、君はなんだい?別にセンスを疑う訳じゃないけど、さっきからずっとノーリアクション。全然、話し甲斐がないよ。こちらからしたら、君の方がつまらないね」

「はぁ~…………あのな、俺は自分から話を振った訳じゃない。お前が勝手に身の上話をそれも得意気にしだしたんだ。そりゃ、ハードルも上がるだろ。で、試しに聞いてみたら、なんのこっちゃない。ただのお前にとっての自慢話じゃないか。それを聞いて、凄い・強い・怖いとか思われたかったのか?言っておくが興味のない相手からの自慢話なんて地獄以外の何物でもないからな?あと、周りは驚くとか言ってるけど、それは当たり前だろ。どうせ、自分よりも立場の低い部下や実力の劣る者を取り巻きにおいて、四六時中、武勇伝みたいな感じで語っているんだろ?うっざ。そりゃ、どうにかリアクションを取って、その場を乗り切ろうとするわ。まぁ、素でそういうリアクションなのかもしれないが……………どっちにしろ、お前がしていることは小っちぇ。俺はもっと大きな男を間近で見てきているから、お前の話は全く響かんわ。もっと大きくなってから、出直してきてくれ」

「な、何だと!?そんなことを言ってきたのは君が初めてだよ!普通、驚くし怖がるだろ!?僕がやってきたことはどう考えても普通じゃないし、危険だ。そんな相手が目の前にいるのに」

「うちのリーダーはな、もっととんでもないぞ。あと、他のメンバーも活動そのものもな。それに比べたら、お前のしていることなんて……………もちろん、お前が極悪人ということは確かだが、それならそいつの目の前に平然と突っ立ってる俺はどうなるんだ?そして、そのリーダーは」

「……………」

「もっと広い視野で世界を見渡せよ。はっきり言ってお前の世界は狭い」

「っ!!ぼ、僕の世界がせ、狭いだって!?言ってはならないことを!」

「お?怒ったか?これだから、やめられないんだ。煽てられて調子に乗ったプライドの高い奴をおちょくるのは」

「き、貴様~!!」

「悪い、予定変更だ。さっきは広い視野で世界を見渡せとか言ったが、それは叶わない。今後お前の目が開くことは一切ないからな…………"短剣超分身"」

「っ!!」

「世界の広さを知って逝け……………" 狩刃掃雨ダスト・キル"」
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