俺は善人にはなれない

気衒い

文字の大きさ
上 下
59 / 416
第5章 クラン拡大

第59話 夢魔

しおりを挟む
――――――――――――――――――――

リーム
性別:女 種族:魔族(夢魔種) 年齢:22歳

Lv 50
HP 4000/4000
MP 4500/4500
ATK 4251
DEF 4143
AGI 4069
INT 4687
LUK 4300

固有スキル
魅了・搾取・踊り子・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
褐色のモーニングスター ヴィーナス(上級)

称号
愛の女神の加護・伴侶を求める者・罪深き者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・情愛者

――――――――――――――――――――

魅了
異性を魅了する固有スキル。10分間、相手はスキル使用者のことしか考えられなくなる。クールタイムは10分。

搾取
相手のHP・MPを全体の2割程、吸い取る。1日3回までしか使用できない。

踊り子
味方全体の全ステータスを1.2倍にする。

愛の女神の加護
愛の女神エロースの加護。INTの値に補正。

伴侶を求める者
自分にとって生涯のパートナーとなる人物を追い求める者に贈られる称号。LUKの値に補正。

罪深き者
無意識に異性から好かれる者に与えられる称号。AGIの値に補正。

――――――――――――――――――――



物心がついた頃から、異性の目を常に意識していた。どちらかと言うと、それはアタクシの意思ではなく、種族の本能として備わっていた感覚であった。寄ってくる男は数知れず、しかし、今まで本心から好きになれる者はいなかった………………そう、あの方に出会う、その日までは…………。歳を重ねるにつれて、自分の本能的な欲求が強くなってきているのを感じていたある日、アタクシはこのままだとそれが抑えられなくなって暴走してしまうのではないかという不安から、旅に出ることに決めた。目的は生涯の伴侶を探すことである。生まれ育った故郷を離れ、単身、色々な土地を旅して回った。行く先々で相も変わらず、男達が寄ってきたが、やはり心の底から情熱的な気持ちが湧いてくるような相手とは出会うことが出来なかった。そんな時、シリスティラビンという迷宮都市で何やら、オークションが開催されるとの噂を聞いた。アタクシはこれだと思った。今後、先の見えない旅をずっと続けるぐらいだったら、一か八か、落札者の中に運命の相手がいることに賭けて出品されてみようと思ったのだ。今、考えるとかなり大胆かつ無茶苦茶な手法だったように思う。しかし、アタクシはそれほど疲れ切っていたのだ。探しても探しても理想の相手が見つからない日々、それでも寄ってくる男達とつまらない会話をしなければいけないストレスから、一刻も早く解放されたかったのである。で、いざオークション会場のステージに上がり、客席を見渡した時、アタクシは激しく後悔し、この決断を下した自分を責めた。顔は違えど、考えていることは皆同じような感じの貴族達が揃って、こちらに下卑た目を向けている。この視線は旅の最中にも向けられることが多く、慣れてはいたが、気分のいいものではない。つまり、第一印象の時点で客席にはアタクシの探し求める人がいなかったと分かってしまったのだ。この賭けは失敗、落札者がなるべく早くアタクシを奴隷から解放してくれることを祈りながら、次はどうしようかと頭をフル回転させようとしたまさにその時、アタクシの今後の運命を決める声があたりに響いたのだった。

――――――――――――――――――――




「ノエさん、ちょっと待って下さいよ~」

「きびきび、歩く。これ、大事」

「それはそうなんですけど~」

アタクシの運命の相手であるシンヤ様から、直属の上司が発表されたのは一体、何日前だったか。現在、アタクシ達はシリスティラビンとフリーダムという街の中間の街を目指し、森の中を突き進んでいた。のんびりと歩きたいアタクシと違って、目の前を歩く人物…………上司のノエさんはそういうタイプではなかった。普段から、抜け目なく行動し、小柄な可愛らしい感じとは打って変わって、常に隙を見せない人だった。性格も容姿も行動も何もかも正反対なアタクシ達。どんな理由でシンヤ様はこの組み合わせにしたのか、今でも気になって仕方がない。しかし、そんなことばかり気にしてもいられない。なんせ、ノエさんは幹部の中でも古参の方。ティアさんからの信頼も厚い。そんな方に失態を見られでもしたら、どうなるのかは火を見るよりも明らか。今は目の前のことに集中しなければ…………

「あ…………」

「ど、どうされました~?」

「喉、渇いた」

「あ、そ、そうなんですか~」

「一旦、休憩。リームも、水、飲む」

「わ、分かりました~」

何なのよ~。怒られるかと思ったじゃない~。紛らわしいったら、ありゃしないわ~。でも、一応、アタクシにも気を遣ってくれているのよね~こういう優しいところがあるのよ~…………本当、罪深いわ~。

「ゴクッ………ゴクッ」

それにしてもノエさんが一心不乱に水を飲んでいる姿………癒されるわ~。そうだ。この機会に色々と質問してみようかしら~。

「ノエさん、聞きたいことがあるですけど~」

「ん、何?」

「ノエさんの過去って、そういえば聞いたことなかったなって~。シンヤ様と出会った時のことは聞きましたけど、その前のことも知りたいな~って…………アタクシの過去はほら、絶望の森で聞いたじゃないですか~」

「……………」

「だから、ほら………お互いの過去をお互いが知ることで絆を深め合うっていうか~…………ってあれ?どうしました?」

「いや、別に」

「あ、あれ?もしかして、アタクシ、地雷踏んじゃいました?す、すみません!このことは聞かなかったことに………」

「いや、大丈夫。リームになら、いい。シンヤや、みんなには、逆に近すぎて、言いづらいことも、ある。でも、リームは、ノエのことを、もっと知りたいって、言ってくれた。その気持ちは、嬉しいから」

「ノエさん………」

「今から、話すことは、みんなには、内緒。いい?」

「は、はい~!絶対によっぽどのことがなければ、口が裂けても言いません!」

「その言葉、信じる。じゃあ、話すけど。ノエは…………」



――――――――――――――――――――




「なるほど~そんなことが」

「うん」

「んもぅ、ノエさん~!」

「うわっ!何で、急に、抱きつくの?」

「アタクシは何があってもあなたの味方です~絶対に守ります~上司ですけど」

「リーム、くすぐったい」

「アタクシ達、もしかして、根っこの部分は似てるかもしれません~お似合いです~」

「今度は、暑苦しい」

「そう考えるとシンヤ様の目は確かです~アタクシ達、きっと、いいコンビです~」

「コンビなら、相手のことを、気遣って」

「ん~?………あ、す、すみません!アタクシ、途中から暴走しちゃって~」

「…………別にいい。部下の我が儘を、許すのも、上司の、務め」

「んもぅ、ノエさんったら可愛いんだか………」

「でも、次は、ない」

「は、はいぃ~!!」



――――――――――――――――――――




「あそこが、集落」

「ですね~。でも………」

休憩が終わった後、街へと向かおうとしたアタクシ達。しかし、そう遠くない場所にオークの集落があることに気が付いた為、奴らが溜め込んだお宝や武器目当てにとやって来たのだが、どうやら、溜め込んでいたのはそれらだけではなかった。

「なんか~捕らわれている人達がいます~」

「うん。おそらく、繁殖の為」

「なんか~気分が悪いので、速攻で片付けちゃっていいですか~?」

「許可する」

「では~」

木の影から飛び出したアタクシは一直線に集落へと向かい、モーニングスターを振り回しながら、声を発した。

「"雷天振"!!」





「本当にありがとうございました!一時はどうなることかと」

「いいのよ~目的のついでだから~」

「何という謙虚さ………それか相当、腕に自信がおありで?もしかして、高名な冒険者様とか」

「ま~有名なのはアタクシではなくて、クランの方かしらね~」

「やっぱり!………私達は今日という日を決して忘れません!」

「そこまで気にしなくて大丈夫よ~…………ところで、あなた達はアタクシが所属するクランに興味はない?」

「へ?」

「もし、どこも行く当てがないのなら、一緒に来てくれると嬉しいわ~」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

処理中です...