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帝国式の挨拶
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緊迫した空気が一瞬にして周囲に流れた。他国の要人たちも視線を鋭くする。帝国は確かに軍事国家で巨大ではあるが、その分敵も多い。ここにいる要人の中には様子を伺いに来た者もいるのだろう。今、戦争を起こすつもりはなくとも、立ち上がったばかりの帝王はまだ求心力もなく、叩くなら早いうちが良い。放置しておけば、いつ自国の女を攫われ得るかわかったものではない。
そもそもビョルクには既に五人の妃が居ると聞く。なぜそんなに多くの妃を望むのか、一夫一妻制の国出身のエリザベスは混乱した。だが、そこへ忠臣だろうか、青年がビョルクへ耳打ちをする。一瞬眉を顰めたビョルクではあったが、相好を崩した。
「我が時代が始まる祝いの品として献上されたのではなかったか。美しい貢物だと思ったが、冗談が過ぎたようだ。許せ」
「……」
おそらくは、周囲の様子を敏感に察知した忠臣がたしなめたのに違いない。この場は引け、と。
「ハルバート様…」
「大丈夫だ、エリザベス。帝王のお戯れだったようだ」
「……ですが」
「戴冠式が終わったら国に帰ろう。すべきことは山ほどあるからね」
「は、はい…」
当然、他の国の大使たちも自分の国が狙われては敵わんと、戴冠式終了後早々に引き上げ、エリザベス達もそれに便乗したが、帝王の機嫌を損ねたせいなのか、自分たちで勝手に帰れと言わんばかりに客船を用意された。
「それが帝国式の挨拶か」
「ふ。自国の船で帰って頂いても結構なんだが。ああ、漁船しかないんでしたな。こちらから客船を用意しましょう。まあ、三ヶ月もあれば東洋の海にも辿り着きましょう」
怒りに顔が真っ赤に染まったが、言い返すこともできず、ハルバートとエリザベスは長い航路の末、三ヶ月かけて自国へと戻って行った。
「ハルバート様、申し訳ございません。わたくしがいなければあんなことにもならずに済んだのに」
「我が国を馬鹿にされたのはエリザベスが悪いんじゃない。むしろ、君のことは褒められたんだから」
「あれは、褒められたうちには入りませんわ。まるで雌牛を選ぶかのように、人を人とも思わない言動でしたもの」
「ああ、あれは本当に肝が冷えたよ」
「わたくし、正直帝国と国交は開きたくありませんわ。いかに魔道具が発達していようと、あの態度は納得いきませんもの」
船旅はそれほど悪いものではなかったが、帝国に向かった時はほんの一週間足らずの行程が、三ヶ月になるとあまり海になれていないハルバートも調子を崩しがちになり、王国に戻って来る頃には、すっかり弱ってしまっていた。
エリザベスは帝国で何が起こったのかを国王に告げ、おそらくそれが心労になったのだろうと告げた。聞いた国王も眉を顰めて青ざめ、二人が無事に帰国出来たことを心底喜んだ。だが王妃はまるで親の仇を見るかの様にエリザベスを責め立てた。
「こんなことになるくらいなら、お前が側妃にでも何でもなればよかったのよ!ハルバートを守るのがお前の役目でしょう!」
「何をいうんだ、メリアン!エリザベスはハルバートの妃となる娘、帝国の側妃になどできるか。そんなことを公爵に申し出てみろ、殺されても文句は言えんぞ!」
「たかが公爵に何をそんなに」
「その侯爵がいなければこの国は成り立っておらんわ!あのものが先人族を束ねておるのを知らぬとは言わせぬぞ」
そう。エリザベスの出自の公爵家は長くから王家の忠臣でいる。もともとこの土地で山神を信仰していた先住民を纏め、罪人の受け取り先に任命した。山神信仰が続いていて先住民が反論しないのも、この公爵家のおかげでもある。小さいとはいえ、国を国家として纏めているのが公爵家であり、王家はそこに胡座をかいているのだ。幸い公爵家は王位に興味はなく、建国時からずっと忠臣でいる。だが、その一人娘を帝国へ預けようものならば、国を離脱するかもしれないし、反乱を起こすかもしれない。己が王でいられるのもこの公爵家があるおかげだということを王は自覚しているのだ。
だが王妃は違う。伯爵家出身の王妃は賎民意識が強く、公爵家に対しては若干劣等感を持ち、王妃という立場にありながら消化できずにいる。ましてやエリザベスほどの美貌を見ると、だんだん年老いていく自分が惨めになり、ますます焦りが滲み出て来るのだ。エリザベスが悪いのではないし、エリザベス以上に有能な貴族令嬢も見つからないためネチネチと虐める事で発散しているきらいもある。それを王も見て見ぬふりをしていた。愚痴をいうくらいは許されるだろうと高を括っていたのだ。
だが、ハルバートは日増しに容体が悪くなり、とうとう起き上がれなくなってしまった。航海の長旅の上、食べ慣れないものを食べたため体調を崩したのか、それとも帝国のおかしな病でもらってきたのか。医者に見せ、セントポリオン山脈で取れたという珍しい薬草を煎じて飲ませても見たし、神頼みの祈祷もしたが一向に良くなる気配はなく、エリザベスは王宮の図書館に籠る様になった。昔の文献から病に関する何かヒントが得られるかもしれないと思ったのだ。
ハルバートの体調の変化は、普通の病ではないとエリザベスは考えていた。
ハルバートの身体中に浮かんだ赤黒い紋から、魔法が絡んでいるのかもしれないと思ったのだ。あの恐ろしい帝王なら得意の魔法を使い、何をしでかすかわかったものでは無い。欲しいものを手に入れるためなら親兄弟でも殺すのが帝国式だ。まさかとは思うが、エリザベスを手に入れるために、ハルバートに何かしたのでは無いかと考えてもおかしく無い狂気を、帝王はその瞳に秘めていた。
そして数ヶ月後、エリザベスは禁書の中に『ヴェルマニア王国と西の魔女』と言う古文書を見つけた。
そもそもビョルクには既に五人の妃が居ると聞く。なぜそんなに多くの妃を望むのか、一夫一妻制の国出身のエリザベスは混乱した。だが、そこへ忠臣だろうか、青年がビョルクへ耳打ちをする。一瞬眉を顰めたビョルクではあったが、相好を崩した。
「我が時代が始まる祝いの品として献上されたのではなかったか。美しい貢物だと思ったが、冗談が過ぎたようだ。許せ」
「……」
おそらくは、周囲の様子を敏感に察知した忠臣がたしなめたのに違いない。この場は引け、と。
「ハルバート様…」
「大丈夫だ、エリザベス。帝王のお戯れだったようだ」
「……ですが」
「戴冠式が終わったら国に帰ろう。すべきことは山ほどあるからね」
「は、はい…」
当然、他の国の大使たちも自分の国が狙われては敵わんと、戴冠式終了後早々に引き上げ、エリザベス達もそれに便乗したが、帝王の機嫌を損ねたせいなのか、自分たちで勝手に帰れと言わんばかりに客船を用意された。
「それが帝国式の挨拶か」
「ふ。自国の船で帰って頂いても結構なんだが。ああ、漁船しかないんでしたな。こちらから客船を用意しましょう。まあ、三ヶ月もあれば東洋の海にも辿り着きましょう」
怒りに顔が真っ赤に染まったが、言い返すこともできず、ハルバートとエリザベスは長い航路の末、三ヶ月かけて自国へと戻って行った。
「ハルバート様、申し訳ございません。わたくしがいなければあんなことにもならずに済んだのに」
「我が国を馬鹿にされたのはエリザベスが悪いんじゃない。むしろ、君のことは褒められたんだから」
「あれは、褒められたうちには入りませんわ。まるで雌牛を選ぶかのように、人を人とも思わない言動でしたもの」
「ああ、あれは本当に肝が冷えたよ」
「わたくし、正直帝国と国交は開きたくありませんわ。いかに魔道具が発達していようと、あの態度は納得いきませんもの」
船旅はそれほど悪いものではなかったが、帝国に向かった時はほんの一週間足らずの行程が、三ヶ月になるとあまり海になれていないハルバートも調子を崩しがちになり、王国に戻って来る頃には、すっかり弱ってしまっていた。
エリザベスは帝国で何が起こったのかを国王に告げ、おそらくそれが心労になったのだろうと告げた。聞いた国王も眉を顰めて青ざめ、二人が無事に帰国出来たことを心底喜んだ。だが王妃はまるで親の仇を見るかの様にエリザベスを責め立てた。
「こんなことになるくらいなら、お前が側妃にでも何でもなればよかったのよ!ハルバートを守るのがお前の役目でしょう!」
「何をいうんだ、メリアン!エリザベスはハルバートの妃となる娘、帝国の側妃になどできるか。そんなことを公爵に申し出てみろ、殺されても文句は言えんぞ!」
「たかが公爵に何をそんなに」
「その侯爵がいなければこの国は成り立っておらんわ!あのものが先人族を束ねておるのを知らぬとは言わせぬぞ」
そう。エリザベスの出自の公爵家は長くから王家の忠臣でいる。もともとこの土地で山神を信仰していた先住民を纏め、罪人の受け取り先に任命した。山神信仰が続いていて先住民が反論しないのも、この公爵家のおかげでもある。小さいとはいえ、国を国家として纏めているのが公爵家であり、王家はそこに胡座をかいているのだ。幸い公爵家は王位に興味はなく、建国時からずっと忠臣でいる。だが、その一人娘を帝国へ預けようものならば、国を離脱するかもしれないし、反乱を起こすかもしれない。己が王でいられるのもこの公爵家があるおかげだということを王は自覚しているのだ。
だが王妃は違う。伯爵家出身の王妃は賎民意識が強く、公爵家に対しては若干劣等感を持ち、王妃という立場にありながら消化できずにいる。ましてやエリザベスほどの美貌を見ると、だんだん年老いていく自分が惨めになり、ますます焦りが滲み出て来るのだ。エリザベスが悪いのではないし、エリザベス以上に有能な貴族令嬢も見つからないためネチネチと虐める事で発散しているきらいもある。それを王も見て見ぬふりをしていた。愚痴をいうくらいは許されるだろうと高を括っていたのだ。
だが、ハルバートは日増しに容体が悪くなり、とうとう起き上がれなくなってしまった。航海の長旅の上、食べ慣れないものを食べたため体調を崩したのか、それとも帝国のおかしな病でもらってきたのか。医者に見せ、セントポリオン山脈で取れたという珍しい薬草を煎じて飲ませても見たし、神頼みの祈祷もしたが一向に良くなる気配はなく、エリザベスは王宮の図書館に籠る様になった。昔の文献から病に関する何かヒントが得られるかもしれないと思ったのだ。
ハルバートの体調の変化は、普通の病ではないとエリザベスは考えていた。
ハルバートの身体中に浮かんだ赤黒い紋から、魔法が絡んでいるのかもしれないと思ったのだ。あの恐ろしい帝王なら得意の魔法を使い、何をしでかすかわかったものでは無い。欲しいものを手に入れるためなら親兄弟でも殺すのが帝国式だ。まさかとは思うが、エリザベスを手に入れるために、ハルバートに何かしたのでは無いかと考えてもおかしく無い狂気を、帝王はその瞳に秘めていた。
そして数ヶ月後、エリザベスは禁書の中に『ヴェルマニア王国と西の魔女』と言う古文書を見つけた。
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