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君に捧げる愛はない
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『この唇で愛の言葉を紡いで、誰かにキスをしたのかしら……?ねえ、アルヴィーナ?エヴァンを私にちょうだい?』
アルヴィーナが幽体離脱中に入り込んできたおかしな思念。あの時は、ぶん殴られて有耶無耶にしてしまったけど文句の一つも言ってなかった。
シンファエルが一歩前に出た。スカイがグルルと威嚇の声をあげる。
いや、俺が近づいてるんじゃないから。君のご主人が俺に近づいてるんだよ?嫉妬するのはお門違いだよ?俺が威嚇したいんだけど?
「そう…。私はいつもいつも、無条件で受け入れられているアルヴィーナが気に入らなかった。お前が婚約者になって以来、誰も彼もがアルヴィーナが、アルヴィーナがと褒め称えて、私がどれだけ頑張っても受け入れられうことはなかった。母上もアルヴィーナだけを可愛がり、私が何をしても気にも止めなかったんだ」
皆が顔を上げ、シンファエルの行動を見つめる。それなりに思い当たることもあるのだろう、困惑した視線が混じる。
「だから、それならば私は何もせず、全部アルヴィーナに任せればいいと思った。エヴァンが、私の側近になるまでは。エヴァンだけは、私を見捨てなかった。どれほど異臭を放っていても馬鹿な行動をとっても、笑顔で近づいて家族のように接してくれた。父上ですら向けなかった笑顔と愛情を注いでくれた」
いや、愛情は注いでねえよ。悪臭には自分でも気づいていたんだね?6年にも渡る反抗って、実は結構我慢強いのか?別の方向で反抗心を燃やして欲しかったな。
王子の家庭環境は、実はアルヴィーナとよく似ていたんだ。寂しさから暴走して止められずにいたわけだ。全く伯爵夫妻も国王夫妻も一体何してたんだよ。親の責任くらい果たしてくれ。
「だから、エヴァンが近くにいるなら私も努力をしようとした。頑張って頑張って、エヴァンに呆れられないようにと努力をした。人のために何かをしようと思ったのは、これが初めてだったんだ」
「その前に、自分自身のために努力して欲しかったです」
「誰も私を認めようとしないのに、どうやって頑張れると思うんだ!そもそもアルヴィーナが有能すぎたんだ!伯父上は女の一人も守れないで、どうやって国を守るんだと私に問うた。だから私が守れる女を探したんだ!それがセレナだった。セレナは私を好いてくれる唯一の女だから!私はセレナを守ると決めた!」
いつの間にかセレナ嬢も起き上がり、シンファエルの横で瞳をうるうるさせている。そっか。魅了にやられたわけではなかったんだ。愛は世界を救ったんだね?いやあ、よかったよかった。
誤解から闇魔法ばら撒かれたら、俺対処できないからね。これからもうまく手綱を握ってくれよ。
えっと言うことは、それはそれで丸く収まったと言うことなんじゃ?
「それは、よござんした。おめでとうございます」
「だが!」
まだあるんかい。
「私にはエヴァンの愛も必要なのだ!」
「てめえに捧げる愛はねえ!」
速攻で拒否した言葉に、王子は愕然とした瞳を向けてくるが、申し訳ない。
はっきり言おう。王子に捧げる愛はない。
アルヴィーナが幽体離脱中に入り込んできたおかしな思念。あの時は、ぶん殴られて有耶無耶にしてしまったけど文句の一つも言ってなかった。
シンファエルが一歩前に出た。スカイがグルルと威嚇の声をあげる。
いや、俺が近づいてるんじゃないから。君のご主人が俺に近づいてるんだよ?嫉妬するのはお門違いだよ?俺が威嚇したいんだけど?
「そう…。私はいつもいつも、無条件で受け入れられているアルヴィーナが気に入らなかった。お前が婚約者になって以来、誰も彼もがアルヴィーナが、アルヴィーナがと褒め称えて、私がどれだけ頑張っても受け入れられうことはなかった。母上もアルヴィーナだけを可愛がり、私が何をしても気にも止めなかったんだ」
皆が顔を上げ、シンファエルの行動を見つめる。それなりに思い当たることもあるのだろう、困惑した視線が混じる。
「だから、それならば私は何もせず、全部アルヴィーナに任せればいいと思った。エヴァンが、私の側近になるまでは。エヴァンだけは、私を見捨てなかった。どれほど異臭を放っていても馬鹿な行動をとっても、笑顔で近づいて家族のように接してくれた。父上ですら向けなかった笑顔と愛情を注いでくれた」
いや、愛情は注いでねえよ。悪臭には自分でも気づいていたんだね?6年にも渡る反抗って、実は結構我慢強いのか?別の方向で反抗心を燃やして欲しかったな。
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「だから、エヴァンが近くにいるなら私も努力をしようとした。頑張って頑張って、エヴァンに呆れられないようにと努力をした。人のために何かをしようと思ったのは、これが初めてだったんだ」
「その前に、自分自身のために努力して欲しかったです」
「誰も私を認めようとしないのに、どうやって頑張れると思うんだ!そもそもアルヴィーナが有能すぎたんだ!伯父上は女の一人も守れないで、どうやって国を守るんだと私に問うた。だから私が守れる女を探したんだ!それがセレナだった。セレナは私を好いてくれる唯一の女だから!私はセレナを守ると決めた!」
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えっと言うことは、それはそれで丸く収まったと言うことなんじゃ?
「それは、よござんした。おめでとうございます」
「だが!」
まだあるんかい。
「私にはエヴァンの愛も必要なのだ!」
「てめえに捧げる愛はねえ!」
速攻で拒否した言葉に、王子は愕然とした瞳を向けてくるが、申し訳ない。
はっきり言おう。王子に捧げる愛はない。
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