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酵素洗浄で真っ白にしましょうか
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「あの、申し訳ないのですが。私、体が動かなくて。ちょっと手を貸していただけませんか」
腹の当たりがブラックホールのようになって渦巻くセレナ侯爵令嬢が、へにょりと眉を下げて可愛らしく顔を傾げたのだが、如何せんこの瘴気溢れる腹は近づいたら飲まれてしまいそうな勢いだ。
「ええと」
手を貸したとして、どこへ行くつもりなのか。
「殿下にお会いしとうございます」
俺の内心を読んだかのように、セレナ嬢がそう口にした途端、ゲロとゴブリンが口から出てきた。
うひょっ!?ベイビー・ゴブリンここからこうやって生まれて来てたのか!
生まれた?ばかりの緑のゴブリンは素早い動きで森の方へ駆けて行こうとしたところで、俺が捕獲焼却する。
俺、博愛主義じゃ無いんで、ベイビーだろうと年寄りだろうと魔物は消す。後々とんでも無いことになって収拾つかなくなるからね。ごめんね。お母さんの前で申し訳ないけど。
「私の赤ちゃん…」
「…すまないけど、ゴブリンだから、見逃すわけにはいかないんだよね」
「ええ。わかります。殿下にそっくりだなと思っただけです」
「………ソウデスネ」
「蛙の子は蛙って言いますもの。殿下にも見せてあげたくて」
魔物の子は魔物って感じだよ。事実化してるよ。やっぱりあれか、王子はあの時あそこで死んだんだ。それでシャムロックの訳のわからない薬で蘇ったけど、王子の面の皮を被った緑色の魔物だったと考えた方が良いのかもしれない。
「……殿下のことは、セレナ嬢は本当に想っていらっしゃるので?」
「……ええ。アルヴィーナ様には申し訳ないと思っているのですが、どうしても諦められなくて、アルヴィーナ様が婚約破棄を突き付けたと噂で聞いて、いてもたってもいられなくなって」
「……ソウデスカ」
確認してみたけどやっぱりそうだよな。恋は盲目って言うけどマジそれな。侯爵令嬢だし、お互い好き合っているのならなんで一緒にさせてやらなかったんだろうか。そりゃまあ、アルヴィーナが誰よりも有能なのはわかっているけど、それならそれで王子妃にしなくても国の要職につけるべきだったんだ。
まあ、あの王子が国を担うとなると、不安なのはわかるけどな。その結果、こんな事になって宰相も王妃もとっとと逃げ出してるし。絶対バチ当たるぞあいつら。罪人の焼印はどこに現れるんだろうか。顔にしてほしい。恥を知れ。
と、文句を言ったところで現状は変わらないし。しょうがない。ひとまずこの瘴気だけでも浄化させないとエンドレスだ。
「セレナ嬢。それじゃあ、まずは体内清掃と浄化をさせていただいても良いですかね?それさえうまく行けば王子のとこに連れて行ってあげますよ?」
だって可哀想じゃないか。このままこの子ごと焼却するわけにはいかないし。俺も一応、人間らしくそれなりの同情心くらいあるよ?アルヴィーナに言わせると、俺は絆されやすいらしいけど。
「えっ、そんなことが?」
「ええ、上手くいくかはわかりませんけど」
まだ人間であれば良いけどね。でも完全に魔物になっていたら完全消滅しちゃうかな。言わなくてもいいよね?知らない方がいいと言うこともある。
「じゃあいくよ?」
「はい」
「第一段階【結界】ー【酵素洗浄】」
まずは結界でセレナ嬢を丸っと囲む。その結界の中だけで清浄魔法をかけた。結界は清浄魔法を霧散させないためのもの。集中酵素洗浄は汚れによく効く生活魔法だ。魔獣の血液には毒素を含むものも多く、普通の洗浄では落ちないため開発した。セレナ嬢の体内で毒素が蔓延しているのならこれだけでもかなり魔物化は抑えられるはず。一気に泡がたち結界内が乳発色に濁ったと思った途端、どす黒くなりそれも霧散した。
霧が晴れ、目を凝らしてみるとぐったりと横に倒れたセレナ嬢がいた。動かない。あれ……死んじゃったかな?
「……うう」
おお、生きてた。しぶとい、じゃなくて、よかった。結界内の瘴気は綺麗に洗浄できたようだ。
「大丈夫かい?聞こえる?」
「は、はい。大丈夫です。ちょっと息苦しいですけど」
まあ、いきなり洗濯されたようなものだからな。瘴気なんか吸っていたら綺麗な空気は肺に痛いと思う。でも喋れるくらいなら大丈夫か。
「第二段階【治癒蘇生】ー【細胞再生】」
「ひうっ!?あ、ああっ!?ああん!あっ!やあぁあぁぁんっ」
えっ!?ちょっと!誤解されるような声をあげんなよ!そんなに気持ちよかったっけ、この魔法?まあ、破れた腹から一斉復活してるから、ちょっとくすぐったいと言うのはわからないでもないけど。そんなおかしな声上げるほどでもないはずなだけどなあ。
それより、ボンクラ王子の内臓も元に戻っていなさそうだったから、この子もひょっとしたらこっそり腹にブラックホール抱えてるかもしれない。こわ。
なんか危険人物作り出してない?俺。
腹の当たりがブラックホールのようになって渦巻くセレナ侯爵令嬢が、へにょりと眉を下げて可愛らしく顔を傾げたのだが、如何せんこの瘴気溢れる腹は近づいたら飲まれてしまいそうな勢いだ。
「ええと」
手を貸したとして、どこへ行くつもりなのか。
「殿下にお会いしとうございます」
俺の内心を読んだかのように、セレナ嬢がそう口にした途端、ゲロとゴブリンが口から出てきた。
うひょっ!?ベイビー・ゴブリンここからこうやって生まれて来てたのか!
生まれた?ばかりの緑のゴブリンは素早い動きで森の方へ駆けて行こうとしたところで、俺が捕獲焼却する。
俺、博愛主義じゃ無いんで、ベイビーだろうと年寄りだろうと魔物は消す。後々とんでも無いことになって収拾つかなくなるからね。ごめんね。お母さんの前で申し訳ないけど。
「私の赤ちゃん…」
「…すまないけど、ゴブリンだから、見逃すわけにはいかないんだよね」
「ええ。わかります。殿下にそっくりだなと思っただけです」
「………ソウデスネ」
「蛙の子は蛙って言いますもの。殿下にも見せてあげたくて」
魔物の子は魔物って感じだよ。事実化してるよ。やっぱりあれか、王子はあの時あそこで死んだんだ。それでシャムロックの訳のわからない薬で蘇ったけど、王子の面の皮を被った緑色の魔物だったと考えた方が良いのかもしれない。
「……殿下のことは、セレナ嬢は本当に想っていらっしゃるので?」
「……ええ。アルヴィーナ様には申し訳ないと思っているのですが、どうしても諦められなくて、アルヴィーナ様が婚約破棄を突き付けたと噂で聞いて、いてもたってもいられなくなって」
「……ソウデスカ」
確認してみたけどやっぱりそうだよな。恋は盲目って言うけどマジそれな。侯爵令嬢だし、お互い好き合っているのならなんで一緒にさせてやらなかったんだろうか。そりゃまあ、アルヴィーナが誰よりも有能なのはわかっているけど、それならそれで王子妃にしなくても国の要職につけるべきだったんだ。
まあ、あの王子が国を担うとなると、不安なのはわかるけどな。その結果、こんな事になって宰相も王妃もとっとと逃げ出してるし。絶対バチ当たるぞあいつら。罪人の焼印はどこに現れるんだろうか。顔にしてほしい。恥を知れ。
と、文句を言ったところで現状は変わらないし。しょうがない。ひとまずこの瘴気だけでも浄化させないとエンドレスだ。
「セレナ嬢。それじゃあ、まずは体内清掃と浄化をさせていただいても良いですかね?それさえうまく行けば王子のとこに連れて行ってあげますよ?」
だって可哀想じゃないか。このままこの子ごと焼却するわけにはいかないし。俺も一応、人間らしくそれなりの同情心くらいあるよ?アルヴィーナに言わせると、俺は絆されやすいらしいけど。
「えっ、そんなことが?」
「ええ、上手くいくかはわかりませんけど」
まだ人間であれば良いけどね。でも完全に魔物になっていたら完全消滅しちゃうかな。言わなくてもいいよね?知らない方がいいと言うこともある。
「じゃあいくよ?」
「はい」
「第一段階【結界】ー【酵素洗浄】」
まずは結界でセレナ嬢を丸っと囲む。その結界の中だけで清浄魔法をかけた。結界は清浄魔法を霧散させないためのもの。集中酵素洗浄は汚れによく効く生活魔法だ。魔獣の血液には毒素を含むものも多く、普通の洗浄では落ちないため開発した。セレナ嬢の体内で毒素が蔓延しているのならこれだけでもかなり魔物化は抑えられるはず。一気に泡がたち結界内が乳発色に濁ったと思った途端、どす黒くなりそれも霧散した。
霧が晴れ、目を凝らしてみるとぐったりと横に倒れたセレナ嬢がいた。動かない。あれ……死んじゃったかな?
「……うう」
おお、生きてた。しぶとい、じゃなくて、よかった。結界内の瘴気は綺麗に洗浄できたようだ。
「大丈夫かい?聞こえる?」
「は、はい。大丈夫です。ちょっと息苦しいですけど」
まあ、いきなり洗濯されたようなものだからな。瘴気なんか吸っていたら綺麗な空気は肺に痛いと思う。でも喋れるくらいなら大丈夫か。
「第二段階【治癒蘇生】ー【細胞再生】」
「ひうっ!?あ、ああっ!?ああん!あっ!やあぁあぁぁんっ」
えっ!?ちょっと!誤解されるような声をあげんなよ!そんなに気持ちよかったっけ、この魔法?まあ、破れた腹から一斉復活してるから、ちょっとくすぐったいと言うのはわからないでもないけど。そんなおかしな声上げるほどでもないはずなだけどなあ。
それより、ボンクラ王子の内臓も元に戻っていなさそうだったから、この子もひょっとしたらこっそり腹にブラックホール抱えてるかもしれない。こわ。
なんか危険人物作り出してない?俺。
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