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領民の暴動
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「アルヴィーナ!城の様子を探ってくれないか?」
急ぎでアルヴィーナにそう頼みながら、俺はメリーと念話をつなげた。
<今アルヴィーナに城の方を探って貰ってる。領地はどうなってる?>
<みんな怒ってますよう!王宮に殴り込む気満々です!>
<なんでそんなに怒ってるんだ!?昨日まで普通だっただろう!>
「エヴァン!王宮に瘴気が溢れてる!魔導士団と騎士団が色々抑えてるみたいだけど、繁殖のスピードが尋常じゃないわ。森ができ始めてる!湧いて出てるのは魔獣じゃなくて、魔虫とか植物系の魔物ばかりみたい!あと、小さい魔物。ゴブリン?大量のゴブリンが!助けないと!」
ゴブリン?なんでゴブリンが…。まさか王子と絡んでないだろうな?
「チッ、面倒くさいことを…!転移でいくと瘴気のど真ん中に出るかも知れないな。どの辺まで瘴気が迫ってる?」
「待って、えっと。瘴気が湧いて出てるのが北の塔で一番濃いのがそこ。王子は、……あれ?王子は王子宮にいるみたいだけど…寝てる?まさか、死んでる?」
「はあ!?」
原因が王子じゃない?北の塔と言ったら牢のあるアレか。ということはセレナ嬢…。
「なあ、王子とセレナ嬢むつみあったって言ったよな」
「うん。私もそれ考えた」
「まさか、セレナ嬢に瘴気を…」
あいつ、感染させたのか!
<メリー!俺とアルヴィーナが城に行くから、お前たちは伯爵邸に帰って待ってろ>
<だめですよ!私も行きます!姉様が城に向かったんです!瘴気を留めるからエヴァン様を呼んでこいってアキレスに乗って行っちゃいました!それに領民も城に向かってるんです!止めないと!>
チッ。サリーの奴、正義感ばかりは強いからな。仕方ない。
「アルヴィーナ!まずは領民を止める。シャムロック!頼む、領民たちを抑えたいんだ。俺たちを背にのせて飛べるか!?」
『我になんの得があると言うんだ?』
「うぐぐ。もう一つ好きな場所を浄化してやる!これでどうだ!?」
『ふむ。仕方がないな。その場所も我のものになるんだな?』
そんな勝手なこと、できるわけないだろうが!俺はただの……待てよ。国王に恩を売りつけてやろう。言うことを聞かなかったら、瘴気の浄化はしないと脅せばなんとかなるかも?王でいたいのなら、暴動を抑えて瘴気を浄化する、一個ぐらい土地を分けてくれても問題はないだろう。どうせシャムロックが欲しいのは森だ。王宮が欲しいとかいうわけでもないし、宰相もいない今ならちょっとくらいの無理は通りそうだし。いざとなったら、シャムロックの餌にしてやると言えば……。
「大丈夫だ!急ぐぞ!」
もう知らね。一か八かだ。このまま領民たちを城に向かわせたら、被害はますます大きくなってしまう。流石に領民たちが魔人になるのは避けたいし。歩いて行ったら、1日じゃ城までつかねぇかも知れないけどうちの領民、体力だけはやたらあるからな。せっかく手塩にかけた領地なんだ。領民を失う訳にはいかない。
『約束したぞ。ならば乗れ。だが我は飛ぶだけだぞ?』
「わかってる。それで十分だ。黙って飛んでくれた方が良い』
アルヴィーナは「えっドラゴンに乗るの?」とウキウキ顔だ。こいつ昔っから高い所好きだったしな。いそいそとドレスの裾を捲し上げてドラゴンの背によじ登った。ドレスでそれができる義妹が恐ろしいよ。
<メリー!王宮に瘴気が湧いて出た!領民たちを引き止めてくれ!誰も近づくなと!>
<できるだけ阻止しますけど、みんな怒り心頭なんで聞いてくれないんですよ!早くこっちきてください!>
のんびり構えている暇はなく、俺もシャムロックによじ登り、その背の棘突起の間に腰を下ろした。手綱があるわけでもないから、落ちたらと思うとゾッとするが仕方がない。アルヴィーナは比較的滑らかで細身の首元に跨り抱きついている。大丈夫か。あんなので。
まあ、アルヴィーナだからな。あいつ、空飛べるし。
そう、アルヴィーナは何度かワイバーンに振り落とされたことがあり、ある日モモンガのように飛ぶことを覚えた。ある程度の高さがないと飛べないが、リンゴの木から落ちた時も、優雅に地面に降り立っていたし、もしかすると子供の頃から飛べたのかも知れない。
あいつの魔法はよくわからない時がある。魔法なのかスキルなのかも分からないし。
あまり深く考えたらいけないのかも知れない。アルヴィーナだしな。
『では、行くぞ』
ばさりと翼が広がり、いきなり急上昇した。ほんの一振りか二振りで森の上空に出て、領地の街が視界に入った。まるでパレードのように人が街道を歩いていく。中には馬に乗り、牛に乗り、訓練場の方からワイバーンの群れも目に入ってきた。思っていたより大群になっている。暴動を起こすほど苦労はさせていなかったはずだが、なぜだ。
<メリー、今から領民の鎮圧に向かう。メリーとローリィは理由を探してくれ。何が理由で暴動を起こした?理由がわかれば妥協案も出せるから調べてくれないか>
<理由!?理由なんて一つしかありませんよ!国王陛下とバカ王子がエヴァン様とアルヴィーナ様を国外追放したと思ってるからです!エヴァン様を王に、アルヴィーナ様を王妃に、と叫んでますぅ!!>
「はあ!?」
思わず顎が落ちるところだった。
急ぎでアルヴィーナにそう頼みながら、俺はメリーと念話をつなげた。
<今アルヴィーナに城の方を探って貰ってる。領地はどうなってる?>
<みんな怒ってますよう!王宮に殴り込む気満々です!>
<なんでそんなに怒ってるんだ!?昨日まで普通だっただろう!>
「エヴァン!王宮に瘴気が溢れてる!魔導士団と騎士団が色々抑えてるみたいだけど、繁殖のスピードが尋常じゃないわ。森ができ始めてる!湧いて出てるのは魔獣じゃなくて、魔虫とか植物系の魔物ばかりみたい!あと、小さい魔物。ゴブリン?大量のゴブリンが!助けないと!」
ゴブリン?なんでゴブリンが…。まさか王子と絡んでないだろうな?
「チッ、面倒くさいことを…!転移でいくと瘴気のど真ん中に出るかも知れないな。どの辺まで瘴気が迫ってる?」
「待って、えっと。瘴気が湧いて出てるのが北の塔で一番濃いのがそこ。王子は、……あれ?王子は王子宮にいるみたいだけど…寝てる?まさか、死んでる?」
「はあ!?」
原因が王子じゃない?北の塔と言ったら牢のあるアレか。ということはセレナ嬢…。
「なあ、王子とセレナ嬢むつみあったって言ったよな」
「うん。私もそれ考えた」
「まさか、セレナ嬢に瘴気を…」
あいつ、感染させたのか!
<メリー!俺とアルヴィーナが城に行くから、お前たちは伯爵邸に帰って待ってろ>
<だめですよ!私も行きます!姉様が城に向かったんです!瘴気を留めるからエヴァン様を呼んでこいってアキレスに乗って行っちゃいました!それに領民も城に向かってるんです!止めないと!>
チッ。サリーの奴、正義感ばかりは強いからな。仕方ない。
「アルヴィーナ!まずは領民を止める。シャムロック!頼む、領民たちを抑えたいんだ。俺たちを背にのせて飛べるか!?」
『我になんの得があると言うんだ?』
「うぐぐ。もう一つ好きな場所を浄化してやる!これでどうだ!?」
『ふむ。仕方がないな。その場所も我のものになるんだな?』
そんな勝手なこと、できるわけないだろうが!俺はただの……待てよ。国王に恩を売りつけてやろう。言うことを聞かなかったら、瘴気の浄化はしないと脅せばなんとかなるかも?王でいたいのなら、暴動を抑えて瘴気を浄化する、一個ぐらい土地を分けてくれても問題はないだろう。どうせシャムロックが欲しいのは森だ。王宮が欲しいとかいうわけでもないし、宰相もいない今ならちょっとくらいの無理は通りそうだし。いざとなったら、シャムロックの餌にしてやると言えば……。
「大丈夫だ!急ぐぞ!」
もう知らね。一か八かだ。このまま領民たちを城に向かわせたら、被害はますます大きくなってしまう。流石に領民たちが魔人になるのは避けたいし。歩いて行ったら、1日じゃ城までつかねぇかも知れないけどうちの領民、体力だけはやたらあるからな。せっかく手塩にかけた領地なんだ。領民を失う訳にはいかない。
『約束したぞ。ならば乗れ。だが我は飛ぶだけだぞ?』
「わかってる。それで十分だ。黙って飛んでくれた方が良い』
アルヴィーナは「えっドラゴンに乗るの?」とウキウキ顔だ。こいつ昔っから高い所好きだったしな。いそいそとドレスの裾を捲し上げてドラゴンの背によじ登った。ドレスでそれができる義妹が恐ろしいよ。
<メリー!王宮に瘴気が湧いて出た!領民たちを引き止めてくれ!誰も近づくなと!>
<できるだけ阻止しますけど、みんな怒り心頭なんで聞いてくれないんですよ!早くこっちきてください!>
のんびり構えている暇はなく、俺もシャムロックによじ登り、その背の棘突起の間に腰を下ろした。手綱があるわけでもないから、落ちたらと思うとゾッとするが仕方がない。アルヴィーナは比較的滑らかで細身の首元に跨り抱きついている。大丈夫か。あんなので。
まあ、アルヴィーナだからな。あいつ、空飛べるし。
そう、アルヴィーナは何度かワイバーンに振り落とされたことがあり、ある日モモンガのように飛ぶことを覚えた。ある程度の高さがないと飛べないが、リンゴの木から落ちた時も、優雅に地面に降り立っていたし、もしかすると子供の頃から飛べたのかも知れない。
あいつの魔法はよくわからない時がある。魔法なのかスキルなのかも分からないし。
あまり深く考えたらいけないのかも知れない。アルヴィーナだしな。
『では、行くぞ』
ばさりと翼が広がり、いきなり急上昇した。ほんの一振りか二振りで森の上空に出て、領地の街が視界に入った。まるでパレードのように人が街道を歩いていく。中には馬に乗り、牛に乗り、訓練場の方からワイバーンの群れも目に入ってきた。思っていたより大群になっている。暴動を起こすほど苦労はさせていなかったはずだが、なぜだ。
<メリー、今から領民の鎮圧に向かう。メリーとローリィは理由を探してくれ。何が理由で暴動を起こした?理由がわかれば妥協案も出せるから調べてくれないか>
<理由!?理由なんて一つしかありませんよ!国王陛下とバカ王子がエヴァン様とアルヴィーナ様を国外追放したと思ってるからです!エヴァン様を王に、アルヴィーナ様を王妃に、と叫んでますぅ!!>
「はあ!?」
思わず顎が落ちるところだった。
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