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13. 暴露からのエンディング
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「アナスタシア・レーノン公爵令嬢、お前は自分の軽さを恥じねばね。王妃となる身として、許してはならない一線を越えさせてしまったのは、そなたの弱さにもあるのです。いくら恋に落ちたとしても、せめてアルフレッドとの婚約を解消するまでは待つべきでしたし、子をなす行為は婚姻するまで待つべきでした」
「わ、わたくし、わたくしは!無理矢理だったのです!エルドラン様に襲われてっ!」
あ、公爵令嬢が悪手に出ました。公爵様ご夫妻も真っ青です。もう、ここまでくると物語のシナリオめちゃくちゃですね。
「………あら。聞いていた話と違うわね。それが本当なら、エルドランには死罪を言い渡さなければ。そして身籠った子も、かわいそうですが堕胎させます。歴史ある公爵令嬢の子が罪人の子などと、家の沽券にも関わりますからね。あなたは修道院行きかしら。その辺りは公爵、あなたの裁量に任せるけれど。そして次期王妃候補に無体を働いたエルドランの連帯責任として、側妃のアナベル、父親のリューベルトも死罪になるわね」
「!!あ、あ、そんな、」
「む、無理矢理なんかじゃない!アナ!僕はあなたを愛していると告げたし、あなただって僕を真実の愛だと言ったじゃないか!」
「わ、わたくし、わたくしっ」
「さあ、わたくしの影が嘘を言ったのか。それともアナスタシア嬢、あなたが嘘をついたのか、どちらかしら?」
「影……っ」
「アナスタシア、正直に告白しなさい!」
「そうよ、ナーシャ、お腹の子がどうなってもいいというの!?」
ご両親にも叱られて、公女様は泣き崩れて嘘をついたことを詫びた。最初から嘘など言わなければよかったのに。これでエルドラン様との間にもヒビを入れてしまったに違いない。
「よろしい。誰にも、嘘を述べたくなる一瞬というものは、あるものです。今回は許しましょう。エルドラン。公女の子を不義の子にするわけにはいきません。あなたは公爵家へ早急に婿に入り、公女を支えなさい。これは王命です。離縁は許しませんよ」
「……はい」
「では、下がりなさい」
公女様と公爵ご夫妻、エルドラン様とそのご両親が部屋を後にして、両陛下に私とアル様、そしてエド様が部屋に残った。
「さて。アルフレッド」
「はい」
王妃様はヘニョリと眉を下げて、アル様を見つめた。
「母はうまくやったかしら?」
「おおむねは」
「……全く、とんだ爆弾を落としてくれたものね。腹黒息子が」
「母上こそ。全てを知っていた上で無言を通すとは意地が悪い」
「お前が学園で暴露しなければ、内うちで済ませたものを」
「それでは、エルドランの計画を阻止出来ませんでしたから」
「全く、身内にも容赦がないこと」
「あれは身内ではないとおっしゃったのは母上でしょう。私は私の守りたいものを守ったまでです」
王妃様はアル様とのしばしの応戦の後、はあ、とため息をついた。
「ナリエッタさん、あなたこんな腹黒でも本当にいいの?」
「今更何をいうんだ、母上!俺たちはもう結婚した!」
「あんたはそれでもいいかもしれないけど、この子はあんたの腹黒さを知らないでしょう!かわいそうに、すっかり騙されちゃって!」
「え、えっと?」
いきなり口調が変わって口喧嘩になっているのを、私はポカンとして見比べた。王様は我関せずの体で哀愁を漂わせ、窓際に立ちすくんでいる。
あれえ?
「ナリエッタ、これがこの方々の地です。だから本当に救済のつもりで、私があなたを貰い受けようとしたのですが」
「ふざけんなよ、エド!ナリエッタは俺の嫁だ!」
ダッシュで駆け寄ったアル様は私を抱き抱えて、エド様から距離を取る。
「ああ、ほら、盛りのついた猿みたいに……」
「俺は親父とは違うっ!ナリエッタ一人だ!」
「私も、王妃一人なんだけどな?」
「あなたはお黙り」
あ、王様が何か言ってる?愛してるのは王妃様一人?じゃあ側妃様達は?え、側妃のアナベル様は酔ってて魔がさした?いやあ、それあんまり信憑性がないですねえ。
まあ、そんなこんなで。
いつの間にか、私伯爵家の養女になってて。うちの親父様も文句の一つも言えずに私を手放した。ま、自身も男爵になったしね。
「これからはエド兄様と呼んでくださいね、ナリエッタ」
「はい、エド兄様」
溺愛してくるエド兄様と共に、私名義の商会を立ち上げて缶詰と瓶詰め品のレシピを売り、花の香りのする石鹸とエッセンシャルオイルも商品にした。そのうちガラスの器や色付きグラスカップなども売り出す予定だ。
なんだかんだで、結婚式も二年後から三年後に延期され(アル様は激怒してたけど、平民からの王妃教育はさすがに二年では無理だったので)王子妃教育かっ飛ばして、王妃(スパルタ)教育を三年で終えながら、ようやく結婚式が挙げられた。
いつの間にか王様の側妃たちは王女たちも含めて居なくなり、「あれは紛い物だから気にしないで」と王妃に言われて。え、追求はしませんでしたよ?托卵って言葉が何処かから聞こえてきたので。
気がついたら、アル様は戴冠式を終えて王になってた。
「ねえ、王位継承権、返上したとか言ってなかった?」
「記憶にございません」
「またそんなどこかの政治家みたいなこと言って」
「まあ、俺も政治家だからなあ」
とかなんとか言いつつも。
結構幸せになりましたとさ。
=完=
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
「わ、わたくし、わたくしは!無理矢理だったのです!エルドラン様に襲われてっ!」
あ、公爵令嬢が悪手に出ました。公爵様ご夫妻も真っ青です。もう、ここまでくると物語のシナリオめちゃくちゃですね。
「………あら。聞いていた話と違うわね。それが本当なら、エルドランには死罪を言い渡さなければ。そして身籠った子も、かわいそうですが堕胎させます。歴史ある公爵令嬢の子が罪人の子などと、家の沽券にも関わりますからね。あなたは修道院行きかしら。その辺りは公爵、あなたの裁量に任せるけれど。そして次期王妃候補に無体を働いたエルドランの連帯責任として、側妃のアナベル、父親のリューベルトも死罪になるわね」
「!!あ、あ、そんな、」
「む、無理矢理なんかじゃない!アナ!僕はあなたを愛していると告げたし、あなただって僕を真実の愛だと言ったじゃないか!」
「わ、わたくし、わたくしっ」
「さあ、わたくしの影が嘘を言ったのか。それともアナスタシア嬢、あなたが嘘をついたのか、どちらかしら?」
「影……っ」
「アナスタシア、正直に告白しなさい!」
「そうよ、ナーシャ、お腹の子がどうなってもいいというの!?」
ご両親にも叱られて、公女様は泣き崩れて嘘をついたことを詫びた。最初から嘘など言わなければよかったのに。これでエルドラン様との間にもヒビを入れてしまったに違いない。
「よろしい。誰にも、嘘を述べたくなる一瞬というものは、あるものです。今回は許しましょう。エルドラン。公女の子を不義の子にするわけにはいきません。あなたは公爵家へ早急に婿に入り、公女を支えなさい。これは王命です。離縁は許しませんよ」
「……はい」
「では、下がりなさい」
公女様と公爵ご夫妻、エルドラン様とそのご両親が部屋を後にして、両陛下に私とアル様、そしてエド様が部屋に残った。
「さて。アルフレッド」
「はい」
王妃様はヘニョリと眉を下げて、アル様を見つめた。
「母はうまくやったかしら?」
「おおむねは」
「……全く、とんだ爆弾を落としてくれたものね。腹黒息子が」
「母上こそ。全てを知っていた上で無言を通すとは意地が悪い」
「お前が学園で暴露しなければ、内うちで済ませたものを」
「それでは、エルドランの計画を阻止出来ませんでしたから」
「全く、身内にも容赦がないこと」
「あれは身内ではないとおっしゃったのは母上でしょう。私は私の守りたいものを守ったまでです」
王妃様はアル様とのしばしの応戦の後、はあ、とため息をついた。
「ナリエッタさん、あなたこんな腹黒でも本当にいいの?」
「今更何をいうんだ、母上!俺たちはもう結婚した!」
「あんたはそれでもいいかもしれないけど、この子はあんたの腹黒さを知らないでしょう!かわいそうに、すっかり騙されちゃって!」
「え、えっと?」
いきなり口調が変わって口喧嘩になっているのを、私はポカンとして見比べた。王様は我関せずの体で哀愁を漂わせ、窓際に立ちすくんでいる。
あれえ?
「ナリエッタ、これがこの方々の地です。だから本当に救済のつもりで、私があなたを貰い受けようとしたのですが」
「ふざけんなよ、エド!ナリエッタは俺の嫁だ!」
ダッシュで駆け寄ったアル様は私を抱き抱えて、エド様から距離を取る。
「ああ、ほら、盛りのついた猿みたいに……」
「俺は親父とは違うっ!ナリエッタ一人だ!」
「私も、王妃一人なんだけどな?」
「あなたはお黙り」
あ、王様が何か言ってる?愛してるのは王妃様一人?じゃあ側妃様達は?え、側妃のアナベル様は酔ってて魔がさした?いやあ、それあんまり信憑性がないですねえ。
まあ、そんなこんなで。
いつの間にか、私伯爵家の養女になってて。うちの親父様も文句の一つも言えずに私を手放した。ま、自身も男爵になったしね。
「これからはエド兄様と呼んでくださいね、ナリエッタ」
「はい、エド兄様」
溺愛してくるエド兄様と共に、私名義の商会を立ち上げて缶詰と瓶詰め品のレシピを売り、花の香りのする石鹸とエッセンシャルオイルも商品にした。そのうちガラスの器や色付きグラスカップなども売り出す予定だ。
なんだかんだで、結婚式も二年後から三年後に延期され(アル様は激怒してたけど、平民からの王妃教育はさすがに二年では無理だったので)王子妃教育かっ飛ばして、王妃(スパルタ)教育を三年で終えながら、ようやく結婚式が挙げられた。
いつの間にか王様の側妃たちは王女たちも含めて居なくなり、「あれは紛い物だから気にしないで」と王妃に言われて。え、追求はしませんでしたよ?托卵って言葉が何処かから聞こえてきたので。
気がついたら、アル様は戴冠式を終えて王になってた。
「ねえ、王位継承権、返上したとか言ってなかった?」
「記憶にございません」
「またそんなどこかの政治家みたいなこと言って」
「まあ、俺も政治家だからなあ」
とかなんとか言いつつも。
結構幸せになりましたとさ。
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