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6. 腹黒達の密会
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この世界、なんというかとても中途半端なのだ。
剣や盾はあるのに、鉄枠の馬車はない。荷馬車も幌馬車もすべて木材でできてる。鍋やフライパンはあるけど、缶はない。お玉もカトラリーも平民は木材のものを使ってて、陶器や金属製のものではない。銀製もあまり出回っていないけど、王族は使ってるのかな。
シマリア国は、山あり、海あり、肥沃な大地に恵まれた国だ。四季がありさまざまな恵みが与えられるけど鉱山がない。敵国アゼンドラ公国は鉱山に囲まれたツンドラ地帯で、いつも食糧不足に陥っている。残念なことに、あの国の王様は他所から奪うことしか考えておらず、時折ちょっかいをかけてくる。寒いと頭も硬くなるのかな。そしてもっと残念なことに、この国はあまりにも脳筋すぎて、貿易で利を出すことを考えない。攻撃されたら防御して攻撃で返す、と言うのが主流なのだ。
「だから、あいつはおそらくアゼンドラ公国に戦争を仕掛けるんじゃないかと予想している」
「鉱石目当てですか」
「ああ。なんで、その前に交易路を作り、睨み合いを終わらせようと思うんだ、そのためにもバロー商会の力を借りたいんだが」
「なるほどー、まあ、戦争するよりよっぽど生産的だし」
「気になったんだが、なんでお前、前世の記憶をもとにして商品とか作らないの?覚えてるんだろ?」
「もちろん。でもねぇ。私がアイデア出しても、親父様に全部美味しいとこ持っていかれるじゃないですか。私の案なのに勿体無いでしょ。だったら自分で商会立ち上げてからの方がいいかなと思って」
この時代、子供は親に逆らえない小道具のようなものだし、小道具が持ち主を出し抜こうとするのも許さない。だから平凡を装って、そのうち家を飛び出そうと画策しているんだからさ。
「……そうか。よく考えてるな」
「私、別に変革者になりたいわけでもないんで。商売って交わってナンボでしょう」
革命家なんて最後は死ぬしかないからね。絶対、嫌。せっかく転生したんだから、この時代で生きてみたいじゃない、やっぱ。でも貿易は賛成だ。この国商売人はいるけれど、貿易商がいない。貿易商が時々やってくることはあるけど、なんだかんだ言って国内で賄えてしまうからなのか。
うまくいけば、貿易ルートを使ってこの国から離れて、どこかで商売を始めてもいいし。そうなったら少しずつ、アイデアを世に出してある程度の生活基盤は作れるし。
「なら、俺が出資してやろうか」
「えっ?それは成人してからお願いします!でも今、貿易ルートを作るのは賛成なので、香辛料、繊維、農産物あたり輸出用に出してみます?」
「ああ、いいな。あと野菜や穀類、フルーツあたりか」
「瓶詰めの果実とか保存も効くし、できそうですよね」
「缶詰もいけそうか?」
「缶はブリキ加工が難しそう。錫が見つかればなんとかなるけど、缶切りも必要になるし。プルトップは夢のまた夢だろうし」
「うーん、そうだなあ」
色々案を出していくと、エドヴァルドが焦ったように声を上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください、殿下?ナリエッタも。瓶詰めとか、缶?ブリキカコウとか、それは一体?」
私とアルフレッドはお互い顔を見合わせた。
「「あー、そこからか……」」
それからアルフレッド様は、うちのセクハラ親父と話をつけて交易に向けて策を練った。
その間に私は瓶詰めなるものを市場に生み出し、大量生産できるように工房を整えていく。
お金の出所は当然王家だ。湯水のように使ってるけど大丈夫なのだろうか。軍費になるよりは良いとは言うけど、防衛は大事だと思うよ?
え?貿易で売上が出たら防衛に回すからいい?
金がなければ、国王が側妃を作らない?
この国本当に大丈夫?
エドヴァルド様が、「物語に沿ったやり方をするなら、第一王子が平民の娘に惚れ込んで、国庫を使い始めた、ということにすれば良いのでは」と黒い笑みを浮かべていた。
そうすれば、第二王子も動き始めるであろうと読んでのことだ。
剣や盾はあるのに、鉄枠の馬車はない。荷馬車も幌馬車もすべて木材でできてる。鍋やフライパンはあるけど、缶はない。お玉もカトラリーも平民は木材のものを使ってて、陶器や金属製のものではない。銀製もあまり出回っていないけど、王族は使ってるのかな。
シマリア国は、山あり、海あり、肥沃な大地に恵まれた国だ。四季がありさまざまな恵みが与えられるけど鉱山がない。敵国アゼンドラ公国は鉱山に囲まれたツンドラ地帯で、いつも食糧不足に陥っている。残念なことに、あの国の王様は他所から奪うことしか考えておらず、時折ちょっかいをかけてくる。寒いと頭も硬くなるのかな。そしてもっと残念なことに、この国はあまりにも脳筋すぎて、貿易で利を出すことを考えない。攻撃されたら防御して攻撃で返す、と言うのが主流なのだ。
「だから、あいつはおそらくアゼンドラ公国に戦争を仕掛けるんじゃないかと予想している」
「鉱石目当てですか」
「ああ。なんで、その前に交易路を作り、睨み合いを終わらせようと思うんだ、そのためにもバロー商会の力を借りたいんだが」
「なるほどー、まあ、戦争するよりよっぽど生産的だし」
「気になったんだが、なんでお前、前世の記憶をもとにして商品とか作らないの?覚えてるんだろ?」
「もちろん。でもねぇ。私がアイデア出しても、親父様に全部美味しいとこ持っていかれるじゃないですか。私の案なのに勿体無いでしょ。だったら自分で商会立ち上げてからの方がいいかなと思って」
この時代、子供は親に逆らえない小道具のようなものだし、小道具が持ち主を出し抜こうとするのも許さない。だから平凡を装って、そのうち家を飛び出そうと画策しているんだからさ。
「……そうか。よく考えてるな」
「私、別に変革者になりたいわけでもないんで。商売って交わってナンボでしょう」
革命家なんて最後は死ぬしかないからね。絶対、嫌。せっかく転生したんだから、この時代で生きてみたいじゃない、やっぱ。でも貿易は賛成だ。この国商売人はいるけれど、貿易商がいない。貿易商が時々やってくることはあるけど、なんだかんだ言って国内で賄えてしまうからなのか。
うまくいけば、貿易ルートを使ってこの国から離れて、どこかで商売を始めてもいいし。そうなったら少しずつ、アイデアを世に出してある程度の生活基盤は作れるし。
「なら、俺が出資してやろうか」
「えっ?それは成人してからお願いします!でも今、貿易ルートを作るのは賛成なので、香辛料、繊維、農産物あたり輸出用に出してみます?」
「ああ、いいな。あと野菜や穀類、フルーツあたりか」
「瓶詰めの果実とか保存も効くし、できそうですよね」
「缶詰もいけそうか?」
「缶はブリキ加工が難しそう。錫が見つかればなんとかなるけど、缶切りも必要になるし。プルトップは夢のまた夢だろうし」
「うーん、そうだなあ」
色々案を出していくと、エドヴァルドが焦ったように声を上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください、殿下?ナリエッタも。瓶詰めとか、缶?ブリキカコウとか、それは一体?」
私とアルフレッドはお互い顔を見合わせた。
「「あー、そこからか……」」
それからアルフレッド様は、うちのセクハラ親父と話をつけて交易に向けて策を練った。
その間に私は瓶詰めなるものを市場に生み出し、大量生産できるように工房を整えていく。
お金の出所は当然王家だ。湯水のように使ってるけど大丈夫なのだろうか。軍費になるよりは良いとは言うけど、防衛は大事だと思うよ?
え?貿易で売上が出たら防衛に回すからいい?
金がなければ、国王が側妃を作らない?
この国本当に大丈夫?
エドヴァルド様が、「物語に沿ったやり方をするなら、第一王子が平民の娘に惚れ込んで、国庫を使い始めた、ということにすれば良いのでは」と黒い笑みを浮かべていた。
そうすれば、第二王子も動き始めるであろうと読んでのことだ。
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