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2. ボンクラ王子だった
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俺、シマリア王国のアルフレッド・ムスターファ・シマリア第一王子。
実は転生者である。
転生した事に気がついたのは5歳の時。
毒殺されそうになって倒れた時、前世を思い出した。転生前の自分の性別も歳もわからなかったが、これが前世で読んでいた小説の世界と酷似していることは気がついた。
そして自分が、その中でザマァされる能天気王子アルフレッドだと知って愕然とした。
毒から回復して鏡を見れば、なんとなく懐かしい黒髪、黒目の5歳児。
ちょっとやつれているけど、顔立ちは父に似て、整っているようだ。とはいえ、めちゃくちゃ溺愛されているわけでもなく、虐げられているわけでもない。
三つ上の侯爵令息エドヴァルドを側近と言う名の世話係として与えられ、割と普通の王子として教育されていたと思う。
俺には、側妃が産んだ一つ下の弟エルドランと異母妹が数人いる。
エルドランとも滅多に会うことはないが、仲が悪いわけでもない。
ただ自分の父親、ヘイデン・アルヴァーニ・シマリア国王は顔も体格も良いが、金と権力を持つ男特有の悪癖がある。つまり女癖が悪いのだ。
母である王妃も辟易としており、4人も側妃がいるのに、なぜメイドに手を出すのかといつも愚痴をこぼしていた。
父王がメイドに手を出すたびに茶会に呼ばれて、愚痴られる身にもなってほしい。
あ、ちなみに俺に毒を盛った側妃の一人は斬首刑にあった。
だから側妃は3人になったのだけど、それを理由に別のメイドに手を出すのは違うと思う。エロ親父め。
ともかく。
物語では、成長するにつれ馬鹿になっていく俺は、父親を見習ってなのか、血がそうさせるのか、市井に降りては女を取っ替え引っ替えし、ある日ヒロインに出会ってしまう。
とある商会で働く平民なヒロインは、麗しいオウジサマに翻弄されて金のある生活に慣らされて、終いには王妃になる夢まで見てしまうのだ。まぁ、当然といえば当然だよな。
王子が国庫を使ってまで贅沢をさせ、愛を説き「必ず君を王妃にするよ」なんて言われれば、否が応でも期待してしまう。
だが、そのせいで王位継承権争いが始まってしまうのだ。
こんな奴を王にしても良いのかーって大臣たちが立ち上がる。いや、良くねえよな。
公務もしないし、時勢もわかってない、脳筋でもなく、剣も勉強もダメと来て、女を侍らせて無駄遣いばかりするだけの男なんてさ。
金の出どころを追求されても、使用理由を追求されても『記憶にございません』っていや、お前、どこの政治家だよ。思いっきり記憶にあんだろが。って、俺か。
痺れを切らした俺の婚約者でもあるアナスタシア・レーノン公爵令嬢。
まじめちゃんなんだけど、それが第二王子と連んで証拠を集め(まあ、簡単に集められただろうけど)俺を断罪するんだけど、その過程で実はこの二人、恋に落ちちゃうんだよ。
良いけどさ、別に。
俺だってこんな馬鹿な婚約者は嫌だと思うし。でもさ、貴族令嬢って貞淑であることを美徳とするでしょう?特に王妃になるような人間はさ。
で、その間に敵国との戦争が勃発。
というのも、俺がね。国庫を使い潰してるのがバレそうになって誤魔化すために戦争だーって隣国に宣戦布告もなしに突撃するんだよ。
いやあ、馬鹿だね。猪みたいに猪突猛進して、計画性も何もないから、もちろん反撃されて、俺は逃げ出した。俺を庇って捕まった唯一の親友であり側近でもあるエドヴァルドを捨てて。
その尻拭いに第二王子が颯爽と現れて、わずか数ヶ月で和解に持ち込んで、俺は断罪される。
捕虜になってたエドヴァルドも、最終的に俺を見捨ててエルドランについた。当然だよな。
俺は玉抜きされて、流刑だ。
俺が国庫を注ぎ込んだ可哀想な平民のヒロインも、わけ分からんうちに家族もろとも処刑される。
巻き込まれただけなのに、可哀想なことをした。
まあ、ちょっと調子に乗って色々やらかしてたってのもあるんだけど。お金持つと人って変わるからなあ。
あ、ちなみに、現実世界で父王は薬で断種されてたらしい。
王子が二人できた時点で、これ以上いると骨肉の争いに発展するし、私ももう産みたくないし(王妃談)あちこちで王家の血を振り撒かれてもアレだし、というわけでこっそり主治医と共謀して断種。
これは王妃のお茶会でウッカリ話されてしまったことなので、秘密だ。
だから、王に孕まされたという理由で後宮に入った残りの側妃たちの子供には、実は王の血が入っていない。
托卵族がうちの後宮にいるのだけど?!
王妃曰く、側妃たちの産んだ子供達は、政略に使い「紛い物だから知らなくてもいい」だそう。
だから会うこともなかったのね、妹たち。こわ。
ついでに言うと。たった一人の弟も血は全く繋がっていない。
これは、物語の終わりに後から語られるので、実は王妃も知らない事実だ。
……多分、王妃は知ってるような気もするけど。
実は転生者である。
転生した事に気がついたのは5歳の時。
毒殺されそうになって倒れた時、前世を思い出した。転生前の自分の性別も歳もわからなかったが、これが前世で読んでいた小説の世界と酷似していることは気がついた。
そして自分が、その中でザマァされる能天気王子アルフレッドだと知って愕然とした。
毒から回復して鏡を見れば、なんとなく懐かしい黒髪、黒目の5歳児。
ちょっとやつれているけど、顔立ちは父に似て、整っているようだ。とはいえ、めちゃくちゃ溺愛されているわけでもなく、虐げられているわけでもない。
三つ上の侯爵令息エドヴァルドを側近と言う名の世話係として与えられ、割と普通の王子として教育されていたと思う。
俺には、側妃が産んだ一つ下の弟エルドランと異母妹が数人いる。
エルドランとも滅多に会うことはないが、仲が悪いわけでもない。
ただ自分の父親、ヘイデン・アルヴァーニ・シマリア国王は顔も体格も良いが、金と権力を持つ男特有の悪癖がある。つまり女癖が悪いのだ。
母である王妃も辟易としており、4人も側妃がいるのに、なぜメイドに手を出すのかといつも愚痴をこぼしていた。
父王がメイドに手を出すたびに茶会に呼ばれて、愚痴られる身にもなってほしい。
あ、ちなみに俺に毒を盛った側妃の一人は斬首刑にあった。
だから側妃は3人になったのだけど、それを理由に別のメイドに手を出すのは違うと思う。エロ親父め。
ともかく。
物語では、成長するにつれ馬鹿になっていく俺は、父親を見習ってなのか、血がそうさせるのか、市井に降りては女を取っ替え引っ替えし、ある日ヒロインに出会ってしまう。
とある商会で働く平民なヒロインは、麗しいオウジサマに翻弄されて金のある生活に慣らされて、終いには王妃になる夢まで見てしまうのだ。まぁ、当然といえば当然だよな。
王子が国庫を使ってまで贅沢をさせ、愛を説き「必ず君を王妃にするよ」なんて言われれば、否が応でも期待してしまう。
だが、そのせいで王位継承権争いが始まってしまうのだ。
こんな奴を王にしても良いのかーって大臣たちが立ち上がる。いや、良くねえよな。
公務もしないし、時勢もわかってない、脳筋でもなく、剣も勉強もダメと来て、女を侍らせて無駄遣いばかりするだけの男なんてさ。
金の出どころを追求されても、使用理由を追求されても『記憶にございません』っていや、お前、どこの政治家だよ。思いっきり記憶にあんだろが。って、俺か。
痺れを切らした俺の婚約者でもあるアナスタシア・レーノン公爵令嬢。
まじめちゃんなんだけど、それが第二王子と連んで証拠を集め(まあ、簡単に集められただろうけど)俺を断罪するんだけど、その過程で実はこの二人、恋に落ちちゃうんだよ。
良いけどさ、別に。
俺だってこんな馬鹿な婚約者は嫌だと思うし。でもさ、貴族令嬢って貞淑であることを美徳とするでしょう?特に王妃になるような人間はさ。
で、その間に敵国との戦争が勃発。
というのも、俺がね。国庫を使い潰してるのがバレそうになって誤魔化すために戦争だーって隣国に宣戦布告もなしに突撃するんだよ。
いやあ、馬鹿だね。猪みたいに猪突猛進して、計画性も何もないから、もちろん反撃されて、俺は逃げ出した。俺を庇って捕まった唯一の親友であり側近でもあるエドヴァルドを捨てて。
その尻拭いに第二王子が颯爽と現れて、わずか数ヶ月で和解に持ち込んで、俺は断罪される。
捕虜になってたエドヴァルドも、最終的に俺を見捨ててエルドランについた。当然だよな。
俺は玉抜きされて、流刑だ。
俺が国庫を注ぎ込んだ可哀想な平民のヒロインも、わけ分からんうちに家族もろとも処刑される。
巻き込まれただけなのに、可哀想なことをした。
まあ、ちょっと調子に乗って色々やらかしてたってのもあるんだけど。お金持つと人って変わるからなあ。
あ、ちなみに、現実世界で父王は薬で断種されてたらしい。
王子が二人できた時点で、これ以上いると骨肉の争いに発展するし、私ももう産みたくないし(王妃談)あちこちで王家の血を振り撒かれてもアレだし、というわけでこっそり主治医と共謀して断種。
これは王妃のお茶会でウッカリ話されてしまったことなので、秘密だ。
だから、王に孕まされたという理由で後宮に入った残りの側妃たちの子供には、実は王の血が入っていない。
托卵族がうちの後宮にいるのだけど?!
王妃曰く、側妃たちの産んだ子供達は、政略に使い「紛い物だから知らなくてもいい」だそう。
だから会うこともなかったのね、妹たち。こわ。
ついでに言うと。たった一人の弟も血は全く繋がっていない。
これは、物語の終わりに後から語られるので、実は王妃も知らない事実だ。
……多分、王妃は知ってるような気もするけど。
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