上 下
43 / 127
第2章:西獄谷編

第43話:神風のバラード

しおりを挟む
「というわけで、しばらく旅行に出る事にします」

 結局、言わないで心配させるよりは言って置いた方がいいだろうという結論に至り、ミヤコは哲也、和子、淳そしてお腹が大きくせり出した美樹の前で正座をして頭を下げた。

 おそらく1週間もあれば帰ってこれるとは思うが、ミヤコ自体西獄谷ウエストエンドを見たことがないので谷の規模も危険性もわからない。まさか討伐に付いて行くとは哲也達に言うわけにもいかないので『ミラート神国をクルトさんというツアーガイドをつけて旅行する』という事にした。

「危険はないんだろうな?」
「結界が壊れたっていうのは、あれか。戦争とかじゃないんだよな」

 ううむ。さすが淳兄さん、きわどい線いってるな。

「いやいや。戦争なんて物騒なことはないです。結界が無くなって自由になったって感じ?クルトさんは強いので危険もあまりなさそうだし」
「ベルリンの壁みたいな感じかしら?国境がなくなったってことでしょ?なんか楽しそうよね」
「美樹さんも子供生まれたら、一緒に行きましょう」
「誰でも入れるってわけじゃないんだろ?パスポートとかビザとかいるのかな」
「っていうか、クローゼットから先はすでに異世界だし」
「何とかドアみたいな、漫画であったわねえ。あれがあれば簡単なのにねえ」
「土産持ってこいよ」
「……持って来れたらね」

 やっぱりこの家族はあまり物事に動じない。楽といえば楽だけど、この緊張感のなさは何かな。マロッカミルク酒とか、お土産で持って来れるか今度クルトさんに聞いてみよう。

 結局、虫除けの原液と消臭スプレーの原液、蚊連草の苗とミントの苗、各種薬草ハーブにピースリリーとサンスベリアはクルトに渡し、先にグレンフェールへ転送してもらう事にし、祖父母にも頼んでクルトと精霊の協力を得て、幾つかの苗は各地で育ててもらうことになった。下準備としてはまずまずだろう。

 精霊達はミヤコからのお願いにキャーキャーと嬉しそうに騒いで、嬉々として苗を運んで行った。

 さらに、ミラート神国にいる下町の職人たちがミヤコの持っていたボトルを研究し、あちらで製作が可能になったらしい。プラスチックの概念がないので、魔獣の腸と軟骨を使ったとかなんとか言っていた。加工過程がグロいので深く追求するのはやめにしたが。そして新たにクルトが研究を進めて風魔法と炎魔法を使ってハーブの精油抽出が簡単にできるようになった。

 魔法万歳である。

 必要ならば追加で消臭剤と虫除けスプレーを作ることもできるだろう。ただし、消臭スプレーのレシピも渡したが、やはり同じ効果のものは作れなかったらしくミヤコが作らなければならないが。
 
 剣を持てない女子供にはスプレーボトルである程度の危険が凌げるので、大量生産してもらうことになった。魔獣には効かないかもしれないが、それは討伐隊にお願いするしかない。スプレーで飛行性の魔虫や瘴気を払うだけでも、かなり楽になるだろうとクルトが言った。

 食料の心配もミヤコがする必要はないと言われたが、討伐隊員たちは「食材は提供するから、できればミヤコに作って貰いたい」とクルトに申し立てをしていたので、おそらく作る羽目になるのだろう。

「あいつら図々しくも…」

 とクルトがブツブツ憤慨していた。緑の砦での商売のこともあるのだろうけど、これは国を挙げての討伐だからね、とミヤコも苦笑した。キャンプ用の簡素な調理具を使うので大したものはできませんよと注意はしたが、遠征中はクルトの商売は上がったりだろう。残念だが仕方がない。

 クルトの率いる隊はまず、西獄谷ウエストエンドに一番近いとされるグレンフェールと言う町に向かう。そこで他の討伐隊と落ち合い作戦を立てる予定だ。

「転移魔法を使わずに移動となると二日、下手すれば三、四日かかる。グレンフェールから西獄谷ウエストエンドまでも徒歩で行けばかなりあるし、できるだけ体力は温存しておきたい」

 そうクルトが隊員に告げると、それに対して意見も返って来る。

「グレンフェールまでに少数の村があります。そこまではマロッカでという手もありますし、先にバーズの村まで行くのはどうですか」
「タバラッカの集団がホロンの水場を襲ったとの報告も入っています。冒険者が討伐に当たっているらしいが数が多いらしく苦戦しているようです」
「タバラッカって何ですか?」
「タバラッカは眉間にホーンを持った大型魔獣で水陸両用生物なんだ。今は発情期シーズンだから気が荒くなっている。結界が壊れて人が使う水場にも目をつけたんだな」

 ワニとかサイみたいなものだろうか。どちらにしても怒らせると怖そうな動物だ。

「わたしマロッカなら乗れますよ」

 ミヤコがクルトに進言すると、全員が目を丸くして驚いた。

「東の森で白いマロッカが居たでしょ。友達になったんです。森で薬草採取の時にも手伝ってもらったし、あの子なら多分大丈夫ですよ」

 ここ数週間、東の森に薬草摘みに行ったり精霊王と時間を過ごすうちに、好奇心旺盛な白マロッカと仲良くなったのだ。精霊の加護もついて、力強いトナカイによく似たマロッカには森の奥の方まで連れて行ってもらったり背に乗って遠出もした。気がつけば、ミヤコは鞍無しでもマロッカに乗れるようになっていた。

「野生のマロッカに鞍無しで乗れるだと?」
「白マロッカって神の使いとか聖獣とか呼ばれてるアレか」
「さすがは女神…やることが並みじゃないな」

 口々に称賛の声をあげる隊員たちを横目に、それならばバーズまではマロッカで行こうとクルトも同意した。討伐隊員たちはそれぞれに訓練されたマロッカを持っているので問題はない。クルトがミヤコのマロッカに同乗するという事で全員一致し、バーズへ向かうことになった。



 *****



 そして当日。

 ミヤコはTシャツの上にオレンジのウィンドブレーカーを羽織りハイキング用カーキ色のストレッチパンツ、ハイキングシューズという出で立ちでクルトの食堂に現れた。小ぶりの赤いバックパックには少量の食料と調味料、各種ハーブの種、掃除用品作成用の重曹パック、ファーストエイド・キットが入っている。

「準備万端です、クルト隊長!」

 ミヤコがおどけて敬礼をすると、クルトが破顔して眩しい笑顔でミヤコを迎えた。

 うっ!眩しい。いつ見てもイケメンだ。

 思わず手を翳して顔を塞いだミヤコに、クルトはミラートの女性がよく羽織るショールを手渡した。赤のベースで緑と金糸で幾何学模様を編み込んだショールだ。見た目は普段使いのショールだが実は特別な魔法付与も付いている。素材は火炎鼠の毛に魔法付与をつけ紡いだもので高等技術を要するものらしい。

 クルトならではの技術を使って作ったものだった。すごい。

「ミヤの格好はこちら側では目立つからこれを使って。魔法付与も付いているから物理攻撃や魔法攻撃も回避できる」
「わ、素敵。いいんですか?こんな素敵なもの」
「ミヤのために作ったんだから使ってもらえるとうれしい」
「あ、ありがとう、クルトさん」

 特別なものと聞いてミヤコは恐縮しながら羽織ると、それは脹脛ふくらはぎを隠すほどの長さだった。まるでマントだ。それを見てクルトは目を細めて微笑んだ。

「よく似合ってる。ミヤは小さいからな。小動物みたいだ」
「ひどい!これでも日本では平均的なのに」

 クルトはずり落ちたショールの裾を持って、ぐるぐるとミヤコに巻きつけると「行こう」と手をつないだ。まるでお兄さんと妹だ、とミヤコは思ったが、外に出ると隊員たちがなぜか顔を赤らめて「おお~」とか「うわ~」とか言いながら、のたうち回っていた。クルトは眉を寄せ彼らを睨みつけると、今度は狼狽えるミヤコの肩を抱いて「さっさと行こう」と先を急かせた。

 後ろでボソボソと隊員たちがする会話はミヤコの耳には届かなかった。

「うわ~、心せまっ!」
「しっかり自分の色入れちゃって独占欲モリモリっスね!」
「あのショール、ハルクルトさん作ったんですかね」
「今更誰を牽制してるんですかね、隊長は」
「そりゃあ、モンドだろ」


 緑の砦に集まったマロッカと隊員達はミヤコに呼ばれた白マロッカを見て息を飲んだ。

「まさに王者の風格だな」

 他のマロッカも有無を言わず白マロッカに頭を垂れ前足を折りこんで従う姿勢を見せる。ミヤコの白マロッカは精霊の加護を持ち、体も角も他のものより数段大きい。他のマロッカがグレーやクリーム色といった混じりのある体毛に対し、ミヤコのマロッカは純白と言っても良いほどの輝く白さを誇っていた。

「シロウって名前なんです」

「白いからシロウ?」などと思っても口に出すような無粋な者は居ない。

 シロウと呼ばれたマロッカはミヤコに鼻を擦りつけて甘えた様子を見せたが、クルトが近づくとジロリと睨みつけ鼻息を荒くした。ミヤコがクルトさんも一緒に、というのをイヤイヤと頭を振っていたが結局ミヤコに逆らえず、むすっとしながら同意した。

 クルトは肩をすくめて苦笑した。

「嫌われないように大人しくするよ」
「大丈夫ですよ。クルトさんは精霊に好かれてますから、この子もわかってます。ね、シロウ」

 ブル、と鼻を鳴らしミヤコが乗りやすいようにシロウは前足を折った。今回は遠出だし二人乗りだという事もあってちゃんと鞍もつけ、ミヤコが前に乗りクルトがその後ろに跨るとシロウは少しの重さも感じさせず、すっと立ち上がった。

 一度だけ隊員達のマロッカに目をやると、先頭を切って走り出す。それに弾かれたように残りのマロッカも後を続いた。

「二人乗りだというのにすごいな。他のマロッカがついてこれるか心配だ」

 クルトの一言でシロウは少しスピードを落とし、他のマロッカがついて来れるスピードに合わせてくれたようだった。

「頭がいいんですよ、シロウは」

 ミヤコは自分の事のように嬉しそうに笑い、シロウの首筋を撫でた。シロウは当然、というように鼻を鳴らす。そうして精霊の加護が他のマロッカにも伝わるようにミヤコは小さな声で唄う。

 祝福の歌。

 その声は風に乗り、隊員にも伝わり体が軽くなる。道々の草花も咲きほこり瘴気が払われていく。シロウの体がますます白く輝き、精霊たちも楽しそうに周りを踊った。隊員たちには精霊の姿こそ見えないが、キラキラと光が反射する様は見て取れたのだろう。ほうっとため息を吐き、ミヤコたちの後に続く。

 クルトは始めこそ、その歌の持つ力に目を丸くして前に座るミヤコの頭を眺めていたものの、そのうちミヤコの体に片腕を回して抱き寄せ、その旋毛つむじにキスを落とし、真っ赤に染まるミヤコの耳を見て満足そうに微笑んだ。

「早いとこバーズにつかないと手に負えなくなりそうッスね…」
「そうだな…見てる方が恥ずかしい」

 先頭を走るクルト達を見つめながら、アッシュとルノーははあ、と大きくため息を吐いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

魔女見習いは、スパダリたちに溺愛される~乙女ゲー世界のモブなんですが、なぜかヒロインポジなんですけど~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境の森で暮らす魔女である祖母のもとで育てられた主人公アリシア・ラキシスは、元高級娼婦の母を持つ魔女見習い。 母の死後、はじめて得た穏やかな暮らしの中で出会った辺境伯子息オルトと淡い恋を育てていたのだが、14歳の冬、突然現れた父親を名乗る侯爵のもとに引き取られ、王都の魔法学園に入学することになる。 入学式の日、この世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界であることに気づくが・・・ エブリスタにも掲載しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~

志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。 自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。 しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。 身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。 しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた! 第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。 側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。 厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。 後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。

この幸せがあなたに届きますように 〜『空の子』様は年齢不詳〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
ファンタジー
天寿を全うしたチヒロが生まれ変わった先は、なんと異世界だった。 目が覚めたら知らない世界で、少女になっていたチヒロ。 前世の記憶はある。でも今世の記憶は全くない。 そんなチヒロは人々から『空の子』様と呼ばれる存在になっていた! だけど『空の子』様とは《高い知識を持って空からやってくる男の子》のことらしい。 高い知識なんてない。男の子でもない。私はどうしたら? 何が何だかわからないまま、それでも今を受け入れ生きていこうとするチヒロ。 チヒロが現れたことで変わっていく王子レオン、近衛騎士のエリサ。そしてシンを 始めとするまわりの人々。そのうち彼女の秘密も明らかになって?  ※年ごとに章の完結。  ※ 多視点で話が進みます。設定はかなり緩め。話はゆっくり。恋愛成分はかなり薄いです。   3/1 あまりに恋愛要素が薄いためカテゴリーを変更させていただきました。     ただ最終的には恋愛話のつもり……です。優柔不断で申し訳ありません。  ※ 2/28 R15指定を外しました。  ※ この小説は小説家になろうさんでも公開しています。

【完結】緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
〜花が良く育つので「緑の手」だと思っていたら「癒しの手」だったようです〜 王都の隅っこで両親から受け継いだ花屋「ブルーメ」を経営するアンネリーエ。 彼女のお店で売っている花は、色鮮やかで花持ちが良いと評判だ。 自分で花を育て、売っているアンネリーエの店に、ある日イケメンの騎士が現れる。 アンネリーエの作る花束を気に入ったイケメン騎士は、一週間に一度花束を買いに来るようになって──? どうやらアンネリーエが育てている花は、普通の花と違うらしい。 イケメン騎士が買っていく花束を切っ掛けに、アンネリーエの隠されていた力が明かされる、異世界お仕事ファンタジーです。 *HOTランキング1位、エールに感想有難うございました!とても励みになっています! ※花の名前にルビで解説入れてみました。読みやすくなっていたら良いのですが。(;´Д`)  話の最後にも花の名前の解説を入れてますが、間違ってる可能性大です。  雰囲気を味わってもらえたら嬉しいです。 ※完結しました。全41話。  お読みいただいた皆様に感謝です!(人´∀`).☆.。.:*・゚

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

処理中です...