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第10話:学院長との会話
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学院長に呼び出された後、ロシナンテは実父が神父であることは黙秘することを決意した。
今更、実母と実父がわかったところで、ラズを引き渡すつもりはないし、実際のところ、あの両親は保身に走りラズが生まれてすぐに捨てたのだ。ラズの両親は自分達だけで十分、知らない方が幸せという事もあるだろうと結論づけた。そもそも、こんなことを知ったらドルシネアは何をしでかすか分からない。
「俺の女神は愛情深い女だからな」
実の子じゃなくても、あんなに愛情を与えて育てているのだから、生まれたばかりの赤ん坊を捨て、白々しくも教会の神父になど収まっているのだなどと言ったら、神すら敵に回すかもしれない。そうなったら国も神殿も隠しているのに全てが明るみに出てしまう。ひいてはラズだって傷つくに決まっている。
「え、ラズが商会でバイトしているだと?」
「あら、知らなかった?」
「聞いてないぞ」
隠し事をしているのは自分の方だと思っていたが、逆に隠し事をされていたと気がついて、ちょっとショックを受けた。ドルシネアが俺に隠し事をするなんて!
「妊娠すると忘れっぽくなるのかしら。伝えたと思ってたわ。ラズはね、学院でお友達に賄賂、じゃなかった試供品として渡しているのよ。だからお金がいるからって言って、バイトは2ヶ月ほど前に始めたのよ」
「金がいる?試供品なら与えてはダメなのか?」
「あの子、自分で顧客を開発したいから、働いて自分で商品を選んで買いたいのですって」
「……そうか。考えてるんだな」
「そういえば、学院長の話はなんだったの?」
「ああ、あれな……」
学院長に呼び出され、ロシナンテがそこにいることでラズは青ざめた。
「わ、ワタシ何かドジ踏みましたか?」
「いやもう、そのセリフが出るあたり黒だよね?」
学院長が思わずツッコミ、ロシナンテは額に手を当て首を左右に振った。
「特に問題はない。だが、いくつか話しておきたいことがある」
ロシナンテはラズに向き直った。口元がニマニマとしてちょっと瞳孔が開いていて怖い。
「ドルシネアが妊娠した」
「え、それ今話すこと?!」
学院長の顎が落ちた。家族会議の場じゃないから、ここ!と叫んでいるが気にしない。
「お前は、姉になる」
「アタシがお姉ちゃん」
「そうだ。だから、姉となるべく勉学に励むんだぞ」
「アタシが、お姉ちゃん…っ」
「品行方正で、自慢の姉だ。できるな?」
「できる!」
「よし、それでこそ俺の娘だ。だが、この男な。実はお前の隠蔽を見破ってるんだ」
「げ!」
じろっと学院長を睨むものの、ラズはすぐに視線をロシナンテに向けた。げ、はないじゃろ。仮にも令嬢が、と学院長がボヤくが、ラズは騎士のようにピシッと立ちロシナンテに注目している。完全に無視である。カルトロの教育の賜物だ。なんなら、ロシナンテも学院長は無視しているが。
「そこで、質問だ。お前の聖女の力は測定不可能らしいが、そのほかの能力も、学院の最高学年の生徒たちよりも高い。このまま三年間学院に通うことももちろんできるが、今年一年頑張って、卒業試験を受けて卒業することもできる。あるいは、聖女になると思うのであれば、すぐにでも退学し、神殿に入ることもできる。お前はどうしたい?」
ラズはキョトンとした顔をして、小首を傾げた。かわいい。ちょっと頬が緩みそうになったロシナンテだが、ぐっと眉間に皺を寄せて我慢した。
「……お姉ちゃんとして、正しいのは?」
「……聖女になれば、家に帰ることはできなくなるな」
「聖女は絶対やだ」
「ドルシネアも嫌がってたしな」
「うん。娼館行きたくないって言ってたね」
「!だからなんで娼館!?ラズも聞いてるのか、それ?!」
「なんかね、アタシがいじめられると、お母様が娼館に送られるんだって」
「なんだそれは!?どこのどいつだ、そんなふざけ腐った真似をするのは!コロス!」
「落ち着かんか、馬鹿者が!」
いきりたって学院長の重厚な机をひっくり返したロシナンテに、ゲンコツを落とした学院長。聖騎士団長の拳はまだ健在である。
さりげなく魔法を駆使して机をささっと戻し、散らかった書類も風魔法で集め、なんなら敗れた箇所もインクで汚れた箇所も修復もして、何事もなかったように指一本で元に戻したラズ。できる子である。
「学院内で風紀が乱れているとの報告が入っているが、お前さん張本人じゃろ?」
「アタシじゃない!いえ、ワタシじゃありません、学院長」
余計なことを言うなとばかりに威圧をかますラズに対し、ちょっとのけぞる学院長だが、ラズはすぐにロシナンテに向き合った。あくまでラズの意識は父親にあるらしい。
「ワタシじゃありません、お父様」
嫌われたくない、捨てられたくないと言う子猫のような心情が前面に出ているのに、学院長は気がついた。生みの親に捨てられ、貧民街で生き延びたラズにとって、命の恩人とも言えるロシナンテとドルシネア夫婦。聖騎士達もさんざん探したが見つからなかった赤子をコヤツが掬い上げたのは、運命だったのかもしれん。国の暗部を担い、死神と恐れられた男ではあったが、ドルシネアに出会い、すっかり腑抜けた人間になったと聞いたものだが。なかなかどうして、愛情深い男のようだ。
「お前は見た目と頭だけはいいからな。うるさい小蝿がいるなら、殺虫剤を貸すが?」
「排除する許可さえいただければ、自分で対処できます」
「本当だろうな?お触りのたびに金をむしり取ったりしていないだろうな?」
ロシナンテの親バカ具合を黙って見ていた学院長だが、ちょっと待てと止めに入った。
「どこの場末の酒場じゃ!?」
「その前に指を切り落としますので問題ないです」
「いや、ダメよ!?指とか落としちゃダメじゃからね?!」
「その前に血祭りに上げるから問題ないです」
「言い直してそれ!?学院内で血祭りも指切りもご法度!ダメ絶対!わしの代でそれ、やめてね!?わしのクビ飛ぶからね!?」
「小蝿の一人や二人消したところで問題ないと思うが?」
「若者の命、粗末にしないでえ!」
ともかく。
問題を起こしラズを煩わせているのは、高位貴族の坊ちゃん連中らしい。ラズは確かに可愛いし、頭もいいし、自慢の娘だし、夢中になるのも分からないでもないが、学院は学舎だ。発情して成績を落とし、立場を笠に着て問題を起こすようなクソ坊主達は世に出ても役に立たん。今のうちに根性を叩き直すべきである。
「暴露して矯正できるのならそれでいい。まあ、体裁は傷つくが、それは各家の問題だから気にすることはない。お前は自分の体裁のみ考えろ」
「はい、お父様」
「勝手に話まとめてるし!」
ラズは聖女にはならないが、学院は顧客を掴むためもう少し頑張るということで話はついた。とはいえ、退屈になったらいつ辞めても問題ないからなと告げる。とりあえず、卒業試験だけは受けておけと。
ついでに校内外のあちらこちらに隠しカメラを設置してあると告げたので、安心して学院生活を送れば良い。聖騎士団長もとい学院長は「聞いてない!聞こえない!」と耳を塞いでいたので問題ない。学院生のプライベートは、などと抜かしていたから現実を見ろ、ときつく言っておいた。
「そもそも、そんなものを大事にするから、風紀が乱れるなんて問題が起こるんだろうが。きっちり監視して管理しろ。できなければ辞めさせて、自宅でイチから学び直させるんだな。そもそも貴族なんだから、家で躾など十分にできるだろうが。できないんなら貴族なんか辞めて働け」
「そんなこと言ったら学院の意義がなくなるじゃろ!」
「学院を学舎だと思わず、遊び呆ける輩が悪い。子供だからなんでも許されると思うから、問題が起こるんだろが。鍛え直せよ、元聖騎士団長」
「……っ。わしはただ小遣い稼ぎのつもりだったのにぃ」
「ひよってるとボケるぞ」
「じゃかあしいわっ!失せろ!死神が!」
「はっはっは。随分昔のことを持ち出す。年寄りは昔のことばかり話すからな」
「さっさといねい!」
元から、聖騎士団長は真面目すぎて、揶揄うと楽しかったが、歳をとってますます磨きがかかったようだ。いやあ、時々顔を出そうかな。ラズも心配だし。
流石にその隠しカメラが、まさか王家さえも揺るがすことになろうとは、この時は思ってもみなかった。
今更、実母と実父がわかったところで、ラズを引き渡すつもりはないし、実際のところ、あの両親は保身に走りラズが生まれてすぐに捨てたのだ。ラズの両親は自分達だけで十分、知らない方が幸せという事もあるだろうと結論づけた。そもそも、こんなことを知ったらドルシネアは何をしでかすか分からない。
「俺の女神は愛情深い女だからな」
実の子じゃなくても、あんなに愛情を与えて育てているのだから、生まれたばかりの赤ん坊を捨て、白々しくも教会の神父になど収まっているのだなどと言ったら、神すら敵に回すかもしれない。そうなったら国も神殿も隠しているのに全てが明るみに出てしまう。ひいてはラズだって傷つくに決まっている。
「え、ラズが商会でバイトしているだと?」
「あら、知らなかった?」
「聞いてないぞ」
隠し事をしているのは自分の方だと思っていたが、逆に隠し事をされていたと気がついて、ちょっとショックを受けた。ドルシネアが俺に隠し事をするなんて!
「妊娠すると忘れっぽくなるのかしら。伝えたと思ってたわ。ラズはね、学院でお友達に賄賂、じゃなかった試供品として渡しているのよ。だからお金がいるからって言って、バイトは2ヶ月ほど前に始めたのよ」
「金がいる?試供品なら与えてはダメなのか?」
「あの子、自分で顧客を開発したいから、働いて自分で商品を選んで買いたいのですって」
「……そうか。考えてるんだな」
「そういえば、学院長の話はなんだったの?」
「ああ、あれな……」
学院長に呼び出され、ロシナンテがそこにいることでラズは青ざめた。
「わ、ワタシ何かドジ踏みましたか?」
「いやもう、そのセリフが出るあたり黒だよね?」
学院長が思わずツッコミ、ロシナンテは額に手を当て首を左右に振った。
「特に問題はない。だが、いくつか話しておきたいことがある」
ロシナンテはラズに向き直った。口元がニマニマとしてちょっと瞳孔が開いていて怖い。
「ドルシネアが妊娠した」
「え、それ今話すこと?!」
学院長の顎が落ちた。家族会議の場じゃないから、ここ!と叫んでいるが気にしない。
「お前は、姉になる」
「アタシがお姉ちゃん」
「そうだ。だから、姉となるべく勉学に励むんだぞ」
「アタシが、お姉ちゃん…っ」
「品行方正で、自慢の姉だ。できるな?」
「できる!」
「よし、それでこそ俺の娘だ。だが、この男な。実はお前の隠蔽を見破ってるんだ」
「げ!」
じろっと学院長を睨むものの、ラズはすぐに視線をロシナンテに向けた。げ、はないじゃろ。仮にも令嬢が、と学院長がボヤくが、ラズは騎士のようにピシッと立ちロシナンテに注目している。完全に無視である。カルトロの教育の賜物だ。なんなら、ロシナンテも学院長は無視しているが。
「そこで、質問だ。お前の聖女の力は測定不可能らしいが、そのほかの能力も、学院の最高学年の生徒たちよりも高い。このまま三年間学院に通うことももちろんできるが、今年一年頑張って、卒業試験を受けて卒業することもできる。あるいは、聖女になると思うのであれば、すぐにでも退学し、神殿に入ることもできる。お前はどうしたい?」
ラズはキョトンとした顔をして、小首を傾げた。かわいい。ちょっと頬が緩みそうになったロシナンテだが、ぐっと眉間に皺を寄せて我慢した。
「……お姉ちゃんとして、正しいのは?」
「……聖女になれば、家に帰ることはできなくなるな」
「聖女は絶対やだ」
「ドルシネアも嫌がってたしな」
「うん。娼館行きたくないって言ってたね」
「!だからなんで娼館!?ラズも聞いてるのか、それ?!」
「なんかね、アタシがいじめられると、お母様が娼館に送られるんだって」
「なんだそれは!?どこのどいつだ、そんなふざけ腐った真似をするのは!コロス!」
「落ち着かんか、馬鹿者が!」
いきりたって学院長の重厚な机をひっくり返したロシナンテに、ゲンコツを落とした学院長。聖騎士団長の拳はまだ健在である。
さりげなく魔法を駆使して机をささっと戻し、散らかった書類も風魔法で集め、なんなら敗れた箇所もインクで汚れた箇所も修復もして、何事もなかったように指一本で元に戻したラズ。できる子である。
「学院内で風紀が乱れているとの報告が入っているが、お前さん張本人じゃろ?」
「アタシじゃない!いえ、ワタシじゃありません、学院長」
余計なことを言うなとばかりに威圧をかますラズに対し、ちょっとのけぞる学院長だが、ラズはすぐにロシナンテに向き合った。あくまでラズの意識は父親にあるらしい。
「ワタシじゃありません、お父様」
嫌われたくない、捨てられたくないと言う子猫のような心情が前面に出ているのに、学院長は気がついた。生みの親に捨てられ、貧民街で生き延びたラズにとって、命の恩人とも言えるロシナンテとドルシネア夫婦。聖騎士達もさんざん探したが見つからなかった赤子をコヤツが掬い上げたのは、運命だったのかもしれん。国の暗部を担い、死神と恐れられた男ではあったが、ドルシネアに出会い、すっかり腑抜けた人間になったと聞いたものだが。なかなかどうして、愛情深い男のようだ。
「お前は見た目と頭だけはいいからな。うるさい小蝿がいるなら、殺虫剤を貸すが?」
「排除する許可さえいただければ、自分で対処できます」
「本当だろうな?お触りのたびに金をむしり取ったりしていないだろうな?」
ロシナンテの親バカ具合を黙って見ていた学院長だが、ちょっと待てと止めに入った。
「どこの場末の酒場じゃ!?」
「その前に指を切り落としますので問題ないです」
「いや、ダメよ!?指とか落としちゃダメじゃからね?!」
「その前に血祭りに上げるから問題ないです」
「言い直してそれ!?学院内で血祭りも指切りもご法度!ダメ絶対!わしの代でそれ、やめてね!?わしのクビ飛ぶからね!?」
「小蝿の一人や二人消したところで問題ないと思うが?」
「若者の命、粗末にしないでえ!」
ともかく。
問題を起こしラズを煩わせているのは、高位貴族の坊ちゃん連中らしい。ラズは確かに可愛いし、頭もいいし、自慢の娘だし、夢中になるのも分からないでもないが、学院は学舎だ。発情して成績を落とし、立場を笠に着て問題を起こすようなクソ坊主達は世に出ても役に立たん。今のうちに根性を叩き直すべきである。
「暴露して矯正できるのならそれでいい。まあ、体裁は傷つくが、それは各家の問題だから気にすることはない。お前は自分の体裁のみ考えろ」
「はい、お父様」
「勝手に話まとめてるし!」
ラズは聖女にはならないが、学院は顧客を掴むためもう少し頑張るということで話はついた。とはいえ、退屈になったらいつ辞めても問題ないからなと告げる。とりあえず、卒業試験だけは受けておけと。
ついでに校内外のあちらこちらに隠しカメラを設置してあると告げたので、安心して学院生活を送れば良い。聖騎士団長もとい学院長は「聞いてない!聞こえない!」と耳を塞いでいたので問題ない。学院生のプライベートは、などと抜かしていたから現実を見ろ、ときつく言っておいた。
「そもそも、そんなものを大事にするから、風紀が乱れるなんて問題が起こるんだろうが。きっちり監視して管理しろ。できなければ辞めさせて、自宅でイチから学び直させるんだな。そもそも貴族なんだから、家で躾など十分にできるだろうが。できないんなら貴族なんか辞めて働け」
「そんなこと言ったら学院の意義がなくなるじゃろ!」
「学院を学舎だと思わず、遊び呆ける輩が悪い。子供だからなんでも許されると思うから、問題が起こるんだろが。鍛え直せよ、元聖騎士団長」
「……っ。わしはただ小遣い稼ぎのつもりだったのにぃ」
「ひよってるとボケるぞ」
「じゃかあしいわっ!失せろ!死神が!」
「はっはっは。随分昔のことを持ち出す。年寄りは昔のことばかり話すからな」
「さっさといねい!」
元から、聖騎士団長は真面目すぎて、揶揄うと楽しかったが、歳をとってますます磨きがかかったようだ。いやあ、時々顔を出そうかな。ラズも心配だし。
流石にその隠しカメラが、まさか王家さえも揺るがすことになろうとは、この時は思ってもみなかった。
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