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第7話:聖女は呪わないってほんと?
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「お父様、お母様、おはよーございマス」
小綺麗なワンピースを着たラズが朝の挨拶をする。
あれから1年。ドルシネアと無事和解し、愛再び!の俺たちは、正式にラズマリーナを養女として受け入れた。ほっとした。さすがドルシネア、できた女は違う。
ラズは聞き分けが良く、しかも頭の良い子だ。言葉遣いはまあそれなりに様になってきているし、家庭教師に貴族の教育も大人しく受けている。本人が言ったように数字にはめっぽう強く、最近はドルシネアについて帳簿の付け方も覚えているようだ。商品の買い付けや値段交渉にもついて来ては俺の隣でその様子を見て、自分なりに努力もしている。
時折、腹黒い商談相手を見てぶつぶつと呪詛を吐いているのが聞こえるが、無視だ、無視。その相手が、突然腹を下したり、デコがいきなり光りだしたり、足の小指を毎回机の角でぶつけたりしているのも、偶然だ。
なんかどこかで見た事があるような気がしないでもないが………。気のせい、気のせい。
商売敵の店に突然雷が落ちて焼け落ちたのを見た時は、ちょっと慌てて『聖女とは何か』を教会で説いて貰ったが。グーゼンだ。きっと。呪いなんかじゃない。聖女って呪いかけたりしないよな?
月に一度、教会で聖魔法について学んでいるが今のところ変わりはないようで、神父はちょっと眉を下げていた。貧民街で受けた心の傷が原因かもしれませんので、気長に見ていきましょうと慰められていたが、あれは聖女なんてタマじゃないからな。神父の前では猫をかぶっているようだが。
話し合いの末、俺とドルシネアはラズが15歳になるまで子供は作らないことを決めた。約4年だ。俺は40歳になってしまうが、ドルシネアはまだ若い。体力が衰えないように規則正しい生活を心が目なくては。まあ、しばらくは俺のドルシネアを独り占めできるということで、問題はない。
と思っていたのだが、ドルシネアはすっかりラズに入れ込んでいるようで、仲の良い親子関係を築いている。
「さあ、ラズ。今日は雷魔法について復習しましょうか」
「はい、お母様!」
「怪我をしないように力加減に気をつけてね」
「大丈夫です、お母様!アタシ、じゃなかった、ワタシの治癒魔法ですぐ治しますから」
「それと、地面に穴を開けるのも、家を焼き払うのも、池に帯電させるのもダメだからね?」
「……大丈夫です、お母様!ち、治癒魔法で」
「ダメだからね?」
「……ハイ」
うん。ちょっと、魔力操作に不安があるのだけど。
ラズには治癒魔法の心得があったとみえる。過去の虐げられた生活の中で自然と身につけていたようで、自身の治癒は問題なくできるということがわかった。話を聞けば、例の女に連れられて、色々厄介な目に遭い、その度に治癒能力を上げていったようだ。但し、今のところ本人にしか使えないようだが。まあ、ドルシネアが擦り傷一つ作るような環境は、俺が許さないから問題はない。
そうそう、例の女はきっちり探し出して牢に入れた。子供をダシに金儲けをしていたのだから当然だ。ラズは見目が良く、従順だったからという理由であちこちに差し出しては、銅貨、銀貨を手に入れていたらしい。その金はごろつきの男に貢いで消えていたらしいが。中には、奴隷にされた子供や、生憎命を落としてしまった子供もいるらしく、国が安定している今、そろそろ領主も国も重い腰を上げて貧民街に目を向けて欲しいものである。じゃないと、また神罰が落ちるような気がする。
ドルシネアはラズを聖女にはしたくないようで、ずっと我が家で面倒を見て、ゆくゆくは商人として独り立ちできるようにしたいと言い出した。
「うちは男爵家だけど、貴族学院なんて行かなくてもいいんじゃないかしら?ラズには商人の道もあるのだし?」
「貴族学院は義務だからなぁ。しかも聖女の要素を持ち合わせているのに、学院に入れないとなると養育放棄だの養子虐待だのと言われて問題になっても困るし」
「……そそ、それは困るわね!やっぱり学院にはいくしかないのかしらっ」
「まあ、15になるまでに聖魔法の能力が上がらなければ、それほど問題にもならないんじゃないかな。こればっかりはラズの人生だし。可能性を伸ばすのは親の責務だろう」
4年のうちに貴族令嬢としての作法やらなにやらを学ばせる必要があるが、表面は取り繕えているし。……呪詛は吐かないように良く言いつけておかないとな。というか、聖女って呪いもかけれるんだな。なんとなく恐ろしいものに手を出してしまった感があるんだが。ラズ自身も聖女にこだわっている風ではないし、ドルシネアの仕事を手伝うにしろ、普通の男爵令嬢として育てたいんだがな。目の奥に闇を孕んでいるのがネックだな。令嬢の目つきじゃないだろ、あれ。アサシンの目つきというのかな……暗闇で目が赤く光っているのを見ると、ちょっと怖いんだが。
そんな感じで、あっという間にラズは15歳になった。
貴族学院の制服に身を包んだうちの娘、正直めちゃ可愛い。貴族令嬢として髪は少し短めだが、くるりとカールしたストロベリーブロンド(という色らしい)がとても愛らしく、健康的になって身長も多分平均的になったと思う。黙っていれば無垢な貴族令嬢だ。
「いいか、ラズ。貴族の子息令嬢に、気に入らないからといって雷を落としたり、呪ったりしてはいけないよ?」
「嫌だわ、お父様。私がバレるようなヘマを、いえ、そんな恐ろしい真似をするわけないじゃないですか」
「生意気な子息がいても、三段論法で言いまかすのも良くないわ」
「お母様まで。大丈夫ですわ。主席入学した私に偉そうな口を開くクソガ…いえ、子息なんてきっと現れませんわ」
「心配しかないが、俺たちに出来ることはした。お前はどれだけ頭がよかろうと、男爵令嬢に変わりはないからな。絡まれても無心を通せよ?自重しろ?高位貴族には拘るなよ?」
「……やられたら、ちょっとくらいやり返しても?」
「だめだ」
口を尖らせる姿も可愛いが、正直ラズはポテンシャルがめちゃくちゃ高かった。
公開はしていないが、雷魔法はあっという間に究極魔法まで覚え(ちなみにこれはドルシネアのせいだといっても過言ではない。人が死ぬので封印したが)、商家としては喉から手が出るほど欲しがる鑑定眼を1年目に手に入れてから、交渉術、保管魔法(いわゆる空間魔法と呼ばれるやつ)会計スキルも次々と取得した。その上、隠蔽(誤魔化しの上位スキル)や遁走(逃げ足の上位スキル)、浮遊とか低空飛行なんて訳のわからないスキルまで手に入れていた。これは馬車に揺られて商品が痛んだり、自分のケツが痛むのを防ぐためらしい。便利だな。
だが、治癒魔法は相変わらず個人使用に限るようで、他人を治すことはできないらしい。まあこの地点で聖女というより商人の方が理に適ってはいるのだが。
5年前に神父に約束した通り、先日教会に行って鑑定をして貰ったのだが、聖女としての力は微妙だと言われた。読み書きは出来るし治癒魔法も個人限定とはいえ使えるので、修行として教会に入るかと相談したのだが、ドルシネアから断固反対された。まあ、5年も一緒に生活して、しかも良い関係を築いている訳だから気持ちは解らないでも無いが。王都の貴族学院に入るとなると、ここから通うわけにも行かず、寮に入ることになる。結局手元には置けないのだが、教会なら家からも近く、会いたい時に会えるからその方がいいようにも思うのだけど、ラズを教会に入れたら別離するわ、と言われては…。すまんが、ラズ。お母様の望みを叶えてやってくれ。家庭の安寧のためだ。
でもそうなると、俺達もそろそろ子供が欲しい。ラズはとても可愛いけれど、ドルシネアの子供も可愛いはずだ。ラズとは血のつながりがないから、男だと「お姉さまと結婚する!」とか言い出しかねないな。いや、でも15歳も離れているとラズが母親のようになってしまうか。子供は絶対男の子がいい!とドルシネアはいうけれど、こればっかりは神のみぞ知る、だ。まあ、女の子で俺に似たりしたら可哀想かもしれないし、男爵家の後継には男の子がいいのは確かでもある。ラズは聖女か商人かの道があるから、将来はまあ安定しているだろう。
「ラズ、お前は寮に入ることになるが、お前の家はここだ。いつでも帰って来ていいし、問題があったり困ったことがあったらいつでも連絡しろ。すぐに駆けつけるからな」
「……はいっ、お父様。ありがとう」
「ラズ、お父様は自重しろといったけど、嫌なことがあったら我慢せずにやり返しちゃいなさい」
「ふふ。はい、お母様」
家族でしっかり抱き合って、ラズは王都へ行く馬車に乗り込んだ。次に会うのは半年後の休暇になるはずだ。次の子を仕込むには十分かな。早速今晩はお楽しみといくか…。
まさか早々にラズが転移を覚えてて、ほぼ毎週帰省するとは、この時は思いも寄らなかったが。
小綺麗なワンピースを着たラズが朝の挨拶をする。
あれから1年。ドルシネアと無事和解し、愛再び!の俺たちは、正式にラズマリーナを養女として受け入れた。ほっとした。さすがドルシネア、できた女は違う。
ラズは聞き分けが良く、しかも頭の良い子だ。言葉遣いはまあそれなりに様になってきているし、家庭教師に貴族の教育も大人しく受けている。本人が言ったように数字にはめっぽう強く、最近はドルシネアについて帳簿の付け方も覚えているようだ。商品の買い付けや値段交渉にもついて来ては俺の隣でその様子を見て、自分なりに努力もしている。
時折、腹黒い商談相手を見てぶつぶつと呪詛を吐いているのが聞こえるが、無視だ、無視。その相手が、突然腹を下したり、デコがいきなり光りだしたり、足の小指を毎回机の角でぶつけたりしているのも、偶然だ。
なんかどこかで見た事があるような気がしないでもないが………。気のせい、気のせい。
商売敵の店に突然雷が落ちて焼け落ちたのを見た時は、ちょっと慌てて『聖女とは何か』を教会で説いて貰ったが。グーゼンだ。きっと。呪いなんかじゃない。聖女って呪いかけたりしないよな?
月に一度、教会で聖魔法について学んでいるが今のところ変わりはないようで、神父はちょっと眉を下げていた。貧民街で受けた心の傷が原因かもしれませんので、気長に見ていきましょうと慰められていたが、あれは聖女なんてタマじゃないからな。神父の前では猫をかぶっているようだが。
話し合いの末、俺とドルシネアはラズが15歳になるまで子供は作らないことを決めた。約4年だ。俺は40歳になってしまうが、ドルシネアはまだ若い。体力が衰えないように規則正しい生活を心が目なくては。まあ、しばらくは俺のドルシネアを独り占めできるということで、問題はない。
と思っていたのだが、ドルシネアはすっかりラズに入れ込んでいるようで、仲の良い親子関係を築いている。
「さあ、ラズ。今日は雷魔法について復習しましょうか」
「はい、お母様!」
「怪我をしないように力加減に気をつけてね」
「大丈夫です、お母様!アタシ、じゃなかった、ワタシの治癒魔法ですぐ治しますから」
「それと、地面に穴を開けるのも、家を焼き払うのも、池に帯電させるのもダメだからね?」
「……大丈夫です、お母様!ち、治癒魔法で」
「ダメだからね?」
「……ハイ」
うん。ちょっと、魔力操作に不安があるのだけど。
ラズには治癒魔法の心得があったとみえる。過去の虐げられた生活の中で自然と身につけていたようで、自身の治癒は問題なくできるということがわかった。話を聞けば、例の女に連れられて、色々厄介な目に遭い、その度に治癒能力を上げていったようだ。但し、今のところ本人にしか使えないようだが。まあ、ドルシネアが擦り傷一つ作るような環境は、俺が許さないから問題はない。
そうそう、例の女はきっちり探し出して牢に入れた。子供をダシに金儲けをしていたのだから当然だ。ラズは見目が良く、従順だったからという理由であちこちに差し出しては、銅貨、銀貨を手に入れていたらしい。その金はごろつきの男に貢いで消えていたらしいが。中には、奴隷にされた子供や、生憎命を落としてしまった子供もいるらしく、国が安定している今、そろそろ領主も国も重い腰を上げて貧民街に目を向けて欲しいものである。じゃないと、また神罰が落ちるような気がする。
ドルシネアはラズを聖女にはしたくないようで、ずっと我が家で面倒を見て、ゆくゆくは商人として独り立ちできるようにしたいと言い出した。
「うちは男爵家だけど、貴族学院なんて行かなくてもいいんじゃないかしら?ラズには商人の道もあるのだし?」
「貴族学院は義務だからなぁ。しかも聖女の要素を持ち合わせているのに、学院に入れないとなると養育放棄だの養子虐待だのと言われて問題になっても困るし」
「……そそ、それは困るわね!やっぱり学院にはいくしかないのかしらっ」
「まあ、15になるまでに聖魔法の能力が上がらなければ、それほど問題にもならないんじゃないかな。こればっかりはラズの人生だし。可能性を伸ばすのは親の責務だろう」
4年のうちに貴族令嬢としての作法やらなにやらを学ばせる必要があるが、表面は取り繕えているし。……呪詛は吐かないように良く言いつけておかないとな。というか、聖女って呪いもかけれるんだな。なんとなく恐ろしいものに手を出してしまった感があるんだが。ラズ自身も聖女にこだわっている風ではないし、ドルシネアの仕事を手伝うにしろ、普通の男爵令嬢として育てたいんだがな。目の奥に闇を孕んでいるのがネックだな。令嬢の目つきじゃないだろ、あれ。アサシンの目つきというのかな……暗闇で目が赤く光っているのを見ると、ちょっと怖いんだが。
そんな感じで、あっという間にラズは15歳になった。
貴族学院の制服に身を包んだうちの娘、正直めちゃ可愛い。貴族令嬢として髪は少し短めだが、くるりとカールしたストロベリーブロンド(という色らしい)がとても愛らしく、健康的になって身長も多分平均的になったと思う。黙っていれば無垢な貴族令嬢だ。
「いいか、ラズ。貴族の子息令嬢に、気に入らないからといって雷を落としたり、呪ったりしてはいけないよ?」
「嫌だわ、お父様。私がバレるようなヘマを、いえ、そんな恐ろしい真似をするわけないじゃないですか」
「生意気な子息がいても、三段論法で言いまかすのも良くないわ」
「お母様まで。大丈夫ですわ。主席入学した私に偉そうな口を開くクソガ…いえ、子息なんてきっと現れませんわ」
「心配しかないが、俺たちに出来ることはした。お前はどれだけ頭がよかろうと、男爵令嬢に変わりはないからな。絡まれても無心を通せよ?自重しろ?高位貴族には拘るなよ?」
「……やられたら、ちょっとくらいやり返しても?」
「だめだ」
口を尖らせる姿も可愛いが、正直ラズはポテンシャルがめちゃくちゃ高かった。
公開はしていないが、雷魔法はあっという間に究極魔法まで覚え(ちなみにこれはドルシネアのせいだといっても過言ではない。人が死ぬので封印したが)、商家としては喉から手が出るほど欲しがる鑑定眼を1年目に手に入れてから、交渉術、保管魔法(いわゆる空間魔法と呼ばれるやつ)会計スキルも次々と取得した。その上、隠蔽(誤魔化しの上位スキル)や遁走(逃げ足の上位スキル)、浮遊とか低空飛行なんて訳のわからないスキルまで手に入れていた。これは馬車に揺られて商品が痛んだり、自分のケツが痛むのを防ぐためらしい。便利だな。
だが、治癒魔法は相変わらず個人使用に限るようで、他人を治すことはできないらしい。まあこの地点で聖女というより商人の方が理に適ってはいるのだが。
5年前に神父に約束した通り、先日教会に行って鑑定をして貰ったのだが、聖女としての力は微妙だと言われた。読み書きは出来るし治癒魔法も個人限定とはいえ使えるので、修行として教会に入るかと相談したのだが、ドルシネアから断固反対された。まあ、5年も一緒に生活して、しかも良い関係を築いている訳だから気持ちは解らないでも無いが。王都の貴族学院に入るとなると、ここから通うわけにも行かず、寮に入ることになる。結局手元には置けないのだが、教会なら家からも近く、会いたい時に会えるからその方がいいようにも思うのだけど、ラズを教会に入れたら別離するわ、と言われては…。すまんが、ラズ。お母様の望みを叶えてやってくれ。家庭の安寧のためだ。
でもそうなると、俺達もそろそろ子供が欲しい。ラズはとても可愛いけれど、ドルシネアの子供も可愛いはずだ。ラズとは血のつながりがないから、男だと「お姉さまと結婚する!」とか言い出しかねないな。いや、でも15歳も離れているとラズが母親のようになってしまうか。子供は絶対男の子がいい!とドルシネアはいうけれど、こればっかりは神のみぞ知る、だ。まあ、女の子で俺に似たりしたら可哀想かもしれないし、男爵家の後継には男の子がいいのは確かでもある。ラズは聖女か商人かの道があるから、将来はまあ安定しているだろう。
「ラズ、お前は寮に入ることになるが、お前の家はここだ。いつでも帰って来ていいし、問題があったり困ったことがあったらいつでも連絡しろ。すぐに駆けつけるからな」
「……はいっ、お父様。ありがとう」
「ラズ、お父様は自重しろといったけど、嫌なことがあったら我慢せずにやり返しちゃいなさい」
「ふふ。はい、お母様」
家族でしっかり抱き合って、ラズは王都へ行く馬車に乗り込んだ。次に会うのは半年後の休暇になるはずだ。次の子を仕込むには十分かな。早速今晩はお楽しみといくか…。
まさか早々にラズが転移を覚えてて、ほぼ毎週帰省するとは、この時は思いも寄らなかったが。
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