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第4話:結局のところ
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「ロシナンテ様は、四六時中あなたと一緒に仕事をしていて、浮気に隠し子なんて、そんな器用なことができる方ではないでしょう?」
「だって、」
「昔からそういう悪質な貧民は多いらしいわ。ウチにも来たことがあったわよ?商会が売れ出した頃ね。あなたの夫の隠し子だって、男の子を連れてきた女がいたわ。お父様はそれはもう激怒してねぇ、その女も男の子も奴隷商に連れて行かれてしまったわねえ」
「ええっ!?」
「お父様はわたしに誤解されたくないからって言って、そんなことをしてしまったし、わたしもその時は反対しなかったわ。私としてはその場で自白剤飲ませてから、女の舌を引っこ抜いて、罪人のように丸ハゲに頭と眉を剃って、嘘つきの焼き印を額に押してやろうと思ったけれど。お父様のことは信じていたけれど、そうやって家庭の不和を持ち込んでくる人たちが許せなかったのよ。ああ、でも男の子は今我が家で仕事してるけど。買い戻したのよね、お父様。子供に罪はないし、また同じことを他でされても困るしね」
「えええっ!?」
「カラスコよ。運搬作業に使ってるあの子」
「…カラスコって巨人族の…っ!?」
「そうそう。あの子。うちの人の子供だなんて、嘘八百よねえ。巨人族の上、目が一つしかないんだから、どう見たってキュクロプスよね」
さらっと言ったけど、母親が意外に過激で驚いた。父は絶対に浮気なんてできないだろう。というか、巨人族なんてどこで拾ってきて、人の子だなんて言う女がいるのか。
「あまりにも頻繁に起こって、ついには王子殿下――今の陛下ね――の隠し子だという不届き者も出てきたせいで、王家は教会に掛け合って、親子鑑定がかけられるようにしたのよ。金貨1枚で鑑定できて、家庭崩壊が防げるんだもの、安いものよね。でもその金貨1枚を出し渋る貴族も多いのよ?自分に後ろめたい覚えがあるからかしらね。ロシナンテ様はその点、真摯だと思うけど?それに、あの女の子、聖女の資質があるんですって。もし聖女になったらナンチャッテ男爵はきっと陞爵して、聖女の実家として持て囃されることになるわね」
「だからなんだと…」
「ロシナンテ様を欲しがる女性は数多になる、ということよ」
「……っ!!ロシナンテは私を愛してるわ!」
「そうね。それであなたは?」
「わ、私は…っ!」
「あなたはロシナンテ様に愛されて、熱烈に請われて結婚をした。3年間も子供をつくらず、しつこく蜜月を要求してくるような男でしょう?親子鑑定書も持ってきて、関係を否定した彼をどう思っているのかしら?」
「……う、そ、それは」
「それにね、あなたも今では一応貴族ですもの、男爵夫人。貧民の子供を預かって養育するということは、一種のステータスにもなるわ。それに合わせてその子が聖女の資質があるとしたら、育てない方が悪のようにも言われてしまうもの。あなたは彼を支えるのではなかったの?それとも唯一じゃなくなったら、愛していないとでもいうのかしら?」
「そ、そんなことは…」
よく考えなさい、と母は部屋を出て行った。
私だって、ロシナンテを愛してる。
本当は不義の子なんて信じてすらいなかった。あの子がロシナンテの子じゃないことも証明された。あの子がラズマリーナでさえなければ、この気持ちが揺らぐことなんてなかった。
でも乙女ゲームの強制力が働いて、私がいじめ抜いてしまったら?私はどうなるの?娼館になんて売られたくない…っ。
………でも。
ゲームとはちょっと違うところも気になる。
ラズマリーナはまだ10歳。母親と死別…は、そうなのかも知れないけど、ゲームでは貧民の子供ではなかった。平民の子供でしかもロシナンテが愛人として囲っていた女の子供だ。そしてロシナンテが実父。
「でも、カルメーラはまだ生まれていない。5年くらい後でも、私はまだ子供の一人や二人、産める年齢だし…先にラズマリーナを育てて聖女として教会に送ってしまえば、後に生まれたカルメーラがラズマリーナをいじめる事もない…というか、カルメーラと名付けなければいいのでは……?」
それに。名前がゲームと同じだとしても、この世界がゲームと同じというわけではない。そういえば、そんな話もよくあった気がする。ヒロインに生まれ変わって、きゃっほいと攻略対象を逆ハーしようとして痛い目に遭うやつとか。逆に悪役令嬢にこてんぱんにされちゃうやつとか。強制力に打ち勝つような話も沢山あったような気がする。気がするだけで覚えてないけど!
「強制力を恐れてロシナンテを諦めて断罪回避をするか、強制力に対抗してラズマリーナを育てて断罪回避をするか…」
選択は二つに一つだ。
フラフラと立ち上がり、空に浮かぶ月を見上げる。庭に生えた木々のざわめきが、まるで心をかき乱すロシナンテの愛の言葉のようで、ドルシネアは窓を開け庭に出る。木々のざわめきは、風に揺れる葉の音だけ。ロシナンテの熱い恋歌はドルシネアには届かない。
会いたい。
「ロシナンテ……」
「ようやく呼んでくれたね」
ドルシネアのつぶやきに呼応するように、ロシナンテの声がすぐ耳のそばで聞こえた気がした。
「ああ、ロシナンテ。ロシナンテ。空耳が聞こえるほど、愛しているのに」
「空耳なわけないだろう。俺も君だけを愛してる。ドルシネア。愛しの我が妻」
「ヒィッ!?」
後ろからガバリと抱きつかれ、耳たぶを齧られたドルシネアは全身を逆立て、振り向き様にグーパンを食らわせた。フグッとくぐもった声がするが、抱きしめる力は揺るがない。
「素晴らしいパンチ力だ。さすがだよ、ドルシネア。悪漢だったらあっぱれだけどね。ちょっと痛いかな」
顔面を殴られ鼻血を垂らしながらも、ロシナンテは根性でドルネシアを離さなかった。
「ご、ごめんなさい!?ロシナンテ…っ!なぜここに!?」
「このぐらい、君の流した血の涙に比べたら全然大したことはないさ。今晩も会えないのかと思うといてもたってもいられずに、気がついたらここに来てしまったよ、ドルシネア」
鼻血ブーでちょっと様にならないが、相変わらず激甘なロシナンテ。
「君がいない我が家など、橋の下の段ボール箱にも劣るよ。昨夜は君がいなくてとても寂しかった。でもお願いだ、信じてほしい。浮気なんか絶対していない。ドルシネア以上に大切なものなんてないんだ」
「ああ、ロシナンテ!私もよ!信じていないわけじゃなかったの!ただ驚いて、悲しくて!んんっ!?」
「もう我慢できない、ドルシネア!心配させた分、今宵はより一層愛し合おうじゃないかっ」
ブチューっと口づけを交わし、ひしっと抱き合う二人をぼんやり眺めていたラズ。
これはとんでもないバカップルに拾われたな、と内心思いつつ、今にもおっぱじめそうな二人に声をかけた。
「ねぇ、そろそろお腹空いたんだけど?」
絡み合った男女の足腰がぴたりと動きを止めた。
「だって、」
「昔からそういう悪質な貧民は多いらしいわ。ウチにも来たことがあったわよ?商会が売れ出した頃ね。あなたの夫の隠し子だって、男の子を連れてきた女がいたわ。お父様はそれはもう激怒してねぇ、その女も男の子も奴隷商に連れて行かれてしまったわねえ」
「ええっ!?」
「お父様はわたしに誤解されたくないからって言って、そんなことをしてしまったし、わたしもその時は反対しなかったわ。私としてはその場で自白剤飲ませてから、女の舌を引っこ抜いて、罪人のように丸ハゲに頭と眉を剃って、嘘つきの焼き印を額に押してやろうと思ったけれど。お父様のことは信じていたけれど、そうやって家庭の不和を持ち込んでくる人たちが許せなかったのよ。ああ、でも男の子は今我が家で仕事してるけど。買い戻したのよね、お父様。子供に罪はないし、また同じことを他でされても困るしね」
「えええっ!?」
「カラスコよ。運搬作業に使ってるあの子」
「…カラスコって巨人族の…っ!?」
「そうそう。あの子。うちの人の子供だなんて、嘘八百よねえ。巨人族の上、目が一つしかないんだから、どう見たってキュクロプスよね」
さらっと言ったけど、母親が意外に過激で驚いた。父は絶対に浮気なんてできないだろう。というか、巨人族なんてどこで拾ってきて、人の子だなんて言う女がいるのか。
「あまりにも頻繁に起こって、ついには王子殿下――今の陛下ね――の隠し子だという不届き者も出てきたせいで、王家は教会に掛け合って、親子鑑定がかけられるようにしたのよ。金貨1枚で鑑定できて、家庭崩壊が防げるんだもの、安いものよね。でもその金貨1枚を出し渋る貴族も多いのよ?自分に後ろめたい覚えがあるからかしらね。ロシナンテ様はその点、真摯だと思うけど?それに、あの女の子、聖女の資質があるんですって。もし聖女になったらナンチャッテ男爵はきっと陞爵して、聖女の実家として持て囃されることになるわね」
「だからなんだと…」
「ロシナンテ様を欲しがる女性は数多になる、ということよ」
「……っ!!ロシナンテは私を愛してるわ!」
「そうね。それであなたは?」
「わ、私は…っ!」
「あなたはロシナンテ様に愛されて、熱烈に請われて結婚をした。3年間も子供をつくらず、しつこく蜜月を要求してくるような男でしょう?親子鑑定書も持ってきて、関係を否定した彼をどう思っているのかしら?」
「……う、そ、それは」
「それにね、あなたも今では一応貴族ですもの、男爵夫人。貧民の子供を預かって養育するということは、一種のステータスにもなるわ。それに合わせてその子が聖女の資質があるとしたら、育てない方が悪のようにも言われてしまうもの。あなたは彼を支えるのではなかったの?それとも唯一じゃなくなったら、愛していないとでもいうのかしら?」
「そ、そんなことは…」
よく考えなさい、と母は部屋を出て行った。
私だって、ロシナンテを愛してる。
本当は不義の子なんて信じてすらいなかった。あの子がロシナンテの子じゃないことも証明された。あの子がラズマリーナでさえなければ、この気持ちが揺らぐことなんてなかった。
でも乙女ゲームの強制力が働いて、私がいじめ抜いてしまったら?私はどうなるの?娼館になんて売られたくない…っ。
………でも。
ゲームとはちょっと違うところも気になる。
ラズマリーナはまだ10歳。母親と死別…は、そうなのかも知れないけど、ゲームでは貧民の子供ではなかった。平民の子供でしかもロシナンテが愛人として囲っていた女の子供だ。そしてロシナンテが実父。
「でも、カルメーラはまだ生まれていない。5年くらい後でも、私はまだ子供の一人や二人、産める年齢だし…先にラズマリーナを育てて聖女として教会に送ってしまえば、後に生まれたカルメーラがラズマリーナをいじめる事もない…というか、カルメーラと名付けなければいいのでは……?」
それに。名前がゲームと同じだとしても、この世界がゲームと同じというわけではない。そういえば、そんな話もよくあった気がする。ヒロインに生まれ変わって、きゃっほいと攻略対象を逆ハーしようとして痛い目に遭うやつとか。逆に悪役令嬢にこてんぱんにされちゃうやつとか。強制力に打ち勝つような話も沢山あったような気がする。気がするだけで覚えてないけど!
「強制力を恐れてロシナンテを諦めて断罪回避をするか、強制力に対抗してラズマリーナを育てて断罪回避をするか…」
選択は二つに一つだ。
フラフラと立ち上がり、空に浮かぶ月を見上げる。庭に生えた木々のざわめきが、まるで心をかき乱すロシナンテの愛の言葉のようで、ドルシネアは窓を開け庭に出る。木々のざわめきは、風に揺れる葉の音だけ。ロシナンテの熱い恋歌はドルシネアには届かない。
会いたい。
「ロシナンテ……」
「ようやく呼んでくれたね」
ドルシネアのつぶやきに呼応するように、ロシナンテの声がすぐ耳のそばで聞こえた気がした。
「ああ、ロシナンテ。ロシナンテ。空耳が聞こえるほど、愛しているのに」
「空耳なわけないだろう。俺も君だけを愛してる。ドルシネア。愛しの我が妻」
「ヒィッ!?」
後ろからガバリと抱きつかれ、耳たぶを齧られたドルシネアは全身を逆立て、振り向き様にグーパンを食らわせた。フグッとくぐもった声がするが、抱きしめる力は揺るがない。
「素晴らしいパンチ力だ。さすがだよ、ドルシネア。悪漢だったらあっぱれだけどね。ちょっと痛いかな」
顔面を殴られ鼻血を垂らしながらも、ロシナンテは根性でドルネシアを離さなかった。
「ご、ごめんなさい!?ロシナンテ…っ!なぜここに!?」
「このぐらい、君の流した血の涙に比べたら全然大したことはないさ。今晩も会えないのかと思うといてもたってもいられずに、気がついたらここに来てしまったよ、ドルシネア」
鼻血ブーでちょっと様にならないが、相変わらず激甘なロシナンテ。
「君がいない我が家など、橋の下の段ボール箱にも劣るよ。昨夜は君がいなくてとても寂しかった。でもお願いだ、信じてほしい。浮気なんか絶対していない。ドルシネア以上に大切なものなんてないんだ」
「ああ、ロシナンテ!私もよ!信じていないわけじゃなかったの!ただ驚いて、悲しくて!んんっ!?」
「もう我慢できない、ドルシネア!心配させた分、今宵はより一層愛し合おうじゃないかっ」
ブチューっと口づけを交わし、ひしっと抱き合う二人をぼんやり眺めていたラズ。
これはとんでもないバカップルに拾われたな、と内心思いつつ、今にもおっぱじめそうな二人に声をかけた。
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