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2章 アースロアナ
13話 『恐怖の対象』
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アルティスに俺の今の状況について聞いた。
「……今の、状況はあまりよくないね」
「どういうこと?」
「えっとね。あのギルドホールの通報により、王国全土の騎士団が全て、動き出しているの」
「……それは、また。そこまでおおごとになることなの?」
「まあ、元十二魔技の一人だからかな。普通はそこまでおおごとにはならないよ」
「へぇー。そこまで影響力があるんだ。すごいな」
「そりゃあ、そうさ。この王国の人口は約1億人。その中の魔力値など総合して上位の十二人しかなることが出来ないんだよ?」
「すげーな。1億分の12か。アルティスもその中の一人って、すごいな」
「他人事じゃないよ。トモヒロだって、元々はそうだったんだからさ」
「そうだな……記憶がないから、実感が湧かないな」
「まあ、ボチボチ思い出していけばいいよ。でも、この街は少し危ないかな。ここを仕切っている十二魔技には見つからない方がいいな」
アルティスが言うにはこの王国は12に区別されているらしい。
そして、その街の村長的立ち位置なのが、十二魔技ということになるらしい。
だとすると、ゼロスとアルティスも同じく街を持っているということになる。
「ここの、十二魔技ってどんな奴なの?」
「ん……。面倒くさい奴」
「それって?」
「何ていうかさ、論理的っていうかさ。頭がいいのを装っているような感じ?」
「へぇー。面倒そうだな」
「うん、だから、早くこの街を出た方がいいよ」
「そうだね。そうするよ。でも、どこに行こうかな」
「……じゃあ、私の土地に来る?」
「良いのか?」
「うん、良いよ。兄さんも来る予定だったしね」
俺は悩む。
ゼロスにはここに来てから相当な迷惑をかけている。
アルティスだって同じだ。
あそこでアルティスが来てくれなかったら牢屋に入れられていたかもしれない。
だとすると、断るのが筋のような気がしてくる。
「えっと、断……」
俺が断ろうとするとゼロスが割って入ってきた。
「トモヒロ、難しいことは考えるな。一人で何とか、できるとは思うな」
「ゼロス……」
「分かったな?」
「はい、お願いします」
そして、俺たちはアルティスが経営している街に行くことになった。
アルティスの街に行くには近くにあるこの辺最大の橋を渡らなければならないらしい。
それを聞いた瞬間、俺の血が一気に引く気がした。
顔を青くしながらゼロスに言う。
「違う、ルートを探しもらえるとありがたいんですが」
俺が恐る恐る聞くと、ゼロスはニコッと笑い答える。
「あぁ、そう言えば高いところ苦手なんだっけ?」
「はぁ……い」
「まあっ、大丈夫だよ。あの街に行くにはこの橋を渡らないといけないし」
「……マジですか」
「そうだ、そうだよ。あと少しだ。頑張ってくれ」
「はぁ……」と俺は深くため息をついて、歩き続ける。
俺の記憶がないから、本当か嘘かは定かではないが……捕まったら全てが終わる。
記憶も、何もかも俺は失ったままになる。それは絶対に避けなければならない。
すると、とてつもなく、長い橋が見えてきた。
「ちょっ……」
その長さは予想以上のものだった。
前言撤回。
アルティスの街に行くのは……諦めよう。
後ろを振り向き、橋とは真反対に歩き出そうとすると、目の前に小さな……顔があった。
「どこに、行くつもりだ? トモヒロ」
「えっ、と。トイレ?」
「バカなこと言ってねーで行くぞ」
「えっ、ちょっちょっと……」
服の首根っこを掴んで俺を強制的に歩かせている。
歩く順番として、一番前にアルティス、その次に俺、最後にゼロスという順番だった。
これが、俺を逃さないための策略であることを今、知った。
その順番に意味はなく、ただの俺の監視だったに違いない。
「下、見るなよ? 腰抜かすなよ?」
「は、早く……早くして」
俺は情けないところを周囲に見せてしまっていた。
しかし、これに関してはどうしようもできない。
しばらくして俺たちは無事に橋を渡りきることが出来た。
俺を歩かせようとしていたゼロスやアルティス、全員が橋を渡った後には息が荒れていた。
「ここが、私の支配している街よ」
アルティスは言った。
支配しているという表現はあまり芳しくはないが、活気がある街だった。
そのことから、アルティスのこの街に対する思いが感じ取れた気がした。
「じゃあ、私が住んでいるところにまず、行きましょ。それから、街の案内をするから」
「あぁ、頼みます」
そして、俺たちはアルティスの住んでいる場所に行くことになった。
ゼロスも初めて見るかのような表情を繰り返していた。
「ゼロス、今日初めてここに来たの?」
「あぁ……。街に入るためには色々と書類作成が面倒でな」
「……俺は大丈夫なの?」
「まあ、追放人を匿ってるって知られたら……ヤバイかもな」
「じゃあ……」
「でも、大丈夫。この街にいる限り、見つかることはない。それは俺が保証する」
「はい」
そうして、俺はこの街に当分の間お世話になることになったのだった。
「……今の、状況はあまりよくないね」
「どういうこと?」
「えっとね。あのギルドホールの通報により、王国全土の騎士団が全て、動き出しているの」
「……それは、また。そこまでおおごとになることなの?」
「まあ、元十二魔技の一人だからかな。普通はそこまでおおごとにはならないよ」
「へぇー。そこまで影響力があるんだ。すごいな」
「そりゃあ、そうさ。この王国の人口は約1億人。その中の魔力値など総合して上位の十二人しかなることが出来ないんだよ?」
「すげーな。1億分の12か。アルティスもその中の一人って、すごいな」
「他人事じゃないよ。トモヒロだって、元々はそうだったんだからさ」
「そうだな……記憶がないから、実感が湧かないな」
「まあ、ボチボチ思い出していけばいいよ。でも、この街は少し危ないかな。ここを仕切っている十二魔技には見つからない方がいいな」
アルティスが言うにはこの王国は12に区別されているらしい。
そして、その街の村長的立ち位置なのが、十二魔技ということになるらしい。
だとすると、ゼロスとアルティスも同じく街を持っているということになる。
「ここの、十二魔技ってどんな奴なの?」
「ん……。面倒くさい奴」
「それって?」
「何ていうかさ、論理的っていうかさ。頭がいいのを装っているような感じ?」
「へぇー。面倒そうだな」
「うん、だから、早くこの街を出た方がいいよ」
「そうだね。そうするよ。でも、どこに行こうかな」
「……じゃあ、私の土地に来る?」
「良いのか?」
「うん、良いよ。兄さんも来る予定だったしね」
俺は悩む。
ゼロスにはここに来てから相当な迷惑をかけている。
アルティスだって同じだ。
あそこでアルティスが来てくれなかったら牢屋に入れられていたかもしれない。
だとすると、断るのが筋のような気がしてくる。
「えっと、断……」
俺が断ろうとするとゼロスが割って入ってきた。
「トモヒロ、難しいことは考えるな。一人で何とか、できるとは思うな」
「ゼロス……」
「分かったな?」
「はい、お願いします」
そして、俺たちはアルティスが経営している街に行くことになった。
アルティスの街に行くには近くにあるこの辺最大の橋を渡らなければならないらしい。
それを聞いた瞬間、俺の血が一気に引く気がした。
顔を青くしながらゼロスに言う。
「違う、ルートを探しもらえるとありがたいんですが」
俺が恐る恐る聞くと、ゼロスはニコッと笑い答える。
「あぁ、そう言えば高いところ苦手なんだっけ?」
「はぁ……い」
「まあっ、大丈夫だよ。あの街に行くにはこの橋を渡らないといけないし」
「……マジですか」
「そうだ、そうだよ。あと少しだ。頑張ってくれ」
「はぁ……」と俺は深くため息をついて、歩き続ける。
俺の記憶がないから、本当か嘘かは定かではないが……捕まったら全てが終わる。
記憶も、何もかも俺は失ったままになる。それは絶対に避けなければならない。
すると、とてつもなく、長い橋が見えてきた。
「ちょっ……」
その長さは予想以上のものだった。
前言撤回。
アルティスの街に行くのは……諦めよう。
後ろを振り向き、橋とは真反対に歩き出そうとすると、目の前に小さな……顔があった。
「どこに、行くつもりだ? トモヒロ」
「えっ、と。トイレ?」
「バカなこと言ってねーで行くぞ」
「えっ、ちょっちょっと……」
服の首根っこを掴んで俺を強制的に歩かせている。
歩く順番として、一番前にアルティス、その次に俺、最後にゼロスという順番だった。
これが、俺を逃さないための策略であることを今、知った。
その順番に意味はなく、ただの俺の監視だったに違いない。
「下、見るなよ? 腰抜かすなよ?」
「は、早く……早くして」
俺は情けないところを周囲に見せてしまっていた。
しかし、これに関してはどうしようもできない。
しばらくして俺たちは無事に橋を渡りきることが出来た。
俺を歩かせようとしていたゼロスやアルティス、全員が橋を渡った後には息が荒れていた。
「ここが、私の支配している街よ」
アルティスは言った。
支配しているという表現はあまり芳しくはないが、活気がある街だった。
そのことから、アルティスのこの街に対する思いが感じ取れた気がした。
「じゃあ、私が住んでいるところにまず、行きましょ。それから、街の案内をするから」
「あぁ、頼みます」
そして、俺たちはアルティスの住んでいる場所に行くことになった。
ゼロスも初めて見るかのような表情を繰り返していた。
「ゼロス、今日初めてここに来たの?」
「あぁ……。街に入るためには色々と書類作成が面倒でな」
「……俺は大丈夫なの?」
「まあ、追放人を匿ってるって知られたら……ヤバイかもな」
「じゃあ……」
「でも、大丈夫。この街にいる限り、見つかることはない。それは俺が保証する」
「はい」
そうして、俺はこの街に当分の間お世話になることになったのだった。
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