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第8章 海峡の男
第124話 ダーク・メイジの遺品
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オレたちはここで分かれて、念のためモンスター・キャンプ全体を探索することにした。特殊なマジック・アイテムが見つかるかもしれないという目論見からだ。
しかしこの目論見は空振りに終わった。雑魚モンスターが高品質な武具やマジック・アイテムを持っているはずもない。それに仮に見つかったとしても、一度モンスターの手に触れたものを使いたいと思う者はほとんどいなかっただろう。
デーモンの滞在エリアは完全に崩れ去って探索不能だったので、オレはダーク・メイジを中心に調べていくことにした。そしていくつかのマナ・ストーンを回収した。マスキロが使いたがるとは思えなかったが、残された魔力によっては高く売れるかもしれない。オレは路銀の足しにしようと、マナ・ストーンを懐に滑り込ませた。
さて、その探索も概ね煮詰まってきたので、オレはモンスター・キャンプの端の方まで行ってぶらぶらしていた。
そこで1体の死体が横たわっているのに気付いた。
魔力が込められていたためか、焼け残った黒いローブにその死体は包まれていた。大きさはオレたち人間と変わらない。以前モンスター・キャンプの酒場で情報を得たダーク・メイジの死体であろうと思われた。
ひっくり返して仰向けにして、オレは簡単にそのダーク・メイジの所持品を物色した。魔法の杖は失われていた。
指には指輪が一つ嵌められていた。そして首には金の鎖のネックレスが巻かれ、小さな宝石が一つぶら下がっていた。昨晩の雷電打撃群の攻撃を受けても燃えなかった宝石である。
俺は念のため指輪を外して自分の服にゴシゴシと擦りつけて磨いた後、太陽の光を当てて表面を確認した。
特に模様や刻印はなく、金無垢のマットな指輪だった。
俺はこの指輪は懐には入れず、死体の上に置いた。(ダーク・メイジの手の指は指輪を取り上げてすぐに崩れさっていた)
オレたちはまたモンスター・キャンプの中心部に集まった。
「何か気になることはあったか?」
と皆で確認し合ったが、特別な情報は出てこなかった。
オレは一応ダーク・メイジの話を伝えた。
マスキロは、
「そのダーク・メイジが倒れていた場所が気になるな。あの魔法が彼らに降り注ぐ前に持ち場をはなれていたことになるのではないか?」
と言った。
「しかし結局雷に撃たれて死んだのだから、昨晩のことを本拠地に伝えようとしたのでわけではないようだ。そもそもゲネオスが”あれ”をやるまで戦況はモンスター有利だったからな」
オレたちは再び崖に刻まれた階段を通って、パランクスの砦に戻った。
しかしこの目論見は空振りに終わった。雑魚モンスターが高品質な武具やマジック・アイテムを持っているはずもない。それに仮に見つかったとしても、一度モンスターの手に触れたものを使いたいと思う者はほとんどいなかっただろう。
デーモンの滞在エリアは完全に崩れ去って探索不能だったので、オレはダーク・メイジを中心に調べていくことにした。そしていくつかのマナ・ストーンを回収した。マスキロが使いたがるとは思えなかったが、残された魔力によっては高く売れるかもしれない。オレは路銀の足しにしようと、マナ・ストーンを懐に滑り込ませた。
さて、その探索も概ね煮詰まってきたので、オレはモンスター・キャンプの端の方まで行ってぶらぶらしていた。
そこで1体の死体が横たわっているのに気付いた。
魔力が込められていたためか、焼け残った黒いローブにその死体は包まれていた。大きさはオレたち人間と変わらない。以前モンスター・キャンプの酒場で情報を得たダーク・メイジの死体であろうと思われた。
ひっくり返して仰向けにして、オレは簡単にそのダーク・メイジの所持品を物色した。魔法の杖は失われていた。
指には指輪が一つ嵌められていた。そして首には金の鎖のネックレスが巻かれ、小さな宝石が一つぶら下がっていた。昨晩の雷電打撃群の攻撃を受けても燃えなかった宝石である。
俺は念のため指輪を外して自分の服にゴシゴシと擦りつけて磨いた後、太陽の光を当てて表面を確認した。
特に模様や刻印はなく、金無垢のマットな指輪だった。
俺はこの指輪は懐には入れず、死体の上に置いた。(ダーク・メイジの手の指は指輪を取り上げてすぐに崩れさっていた)
オレたちはまたモンスター・キャンプの中心部に集まった。
「何か気になることはあったか?」
と皆で確認し合ったが、特別な情報は出てこなかった。
オレは一応ダーク・メイジの話を伝えた。
マスキロは、
「そのダーク・メイジが倒れていた場所が気になるな。あの魔法が彼らに降り注ぐ前に持ち場をはなれていたことになるのではないか?」
と言った。
「しかし結局雷に撃たれて死んだのだから、昨晩のことを本拠地に伝えようとしたのでわけではないようだ。そもそもゲネオスが”あれ”をやるまで戦況はモンスター有利だったからな」
オレたちは再び崖に刻まれた階段を通って、パランクスの砦に戻った。
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