サルダドは +3 ウォーハンマー《星砕きのミョルニル》を手に入れた

マツノポンティ さくら

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第7章 砂漠のエルフ(下)

第121話 風が吹いていた

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雨が止んだ。
ゲネオスの魔法によってもたらされた大量の落雷に続き、強い雨がパランクスの渓谷を襲った。
雨は一晩中降り続いたが、建物の中では何もすることができない。
むしろ雨音は心地よい子守唄となって、戦いで傷ついた身体を休ませてくれた。

オレはまだ暗い城壁を、モンスターの死骸につまずかないよう気を付けて歩いた。
もちろん倒れているのはモンスターばかりではない。
味方のエルフやハーフ・エルフも、少なくない人数が命を落とした。
ところどころ落雷によって城壁が崩れていた。
朝日が昇ればやることは沢山ある。
モンスターの死骸を谷に捨て、この戦いで倒れた戦士たちをとむらってやらなければ。
しかし今はまだ暗くて何もできない。

城塞の上を心地良い風が通り抜けていった。
「風?」
そう言えばノトス上陸以降このような風を感じたことはなかった。
どうして感じなかったのだろう?
「風が吹いたことで、ようやく風が無かったことに気付くんだな」
オレは一人つぶやいた。

風は山の上から吹き下ろし、森を抜け、砂漠の方向へと過ぎ去っていった。
この風が海まで届けば、暁の女神官ザ・プリーステス・オブ・ドーン号にとっては順風となり、積荷を満載した船がプエルトへの帰路に就くことができるだろう。

しかし今はただ身体に風を浴びて、勝利の余韻よいんひたっていたかった。

第7章 砂漠のエルフ(下) ~完~
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