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第7章 砂漠のエルフ(下)
第113話 決戦開幕
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パランクスの山城に朝が訪れた。
城塞の戦士たちは夜が明ける前から防壁の守りを固めていたが、敵の動きは特になかった。
日が登るにつれオレたちの緊張感は高まっていったが、お昼を過ぎてもモンスターが攻めてくる気配は感じられない。
「確かにあのデーモンは今日の早朝と言っていたよな?」
オレは少しイライラしながらゲネオスに尋ねた。
「うん。『夜明けとともに』と言っていたはず。だからこそボクたちも早くから詰めていたんだけど……」
オレたちの気持ちとは裏腹に、外は雲一つ無い晴天だった。
標高が高いこともあって、降り注ぐ太陽の光は痛いくらいに感じられたが、それでも目を細めながら空を見上げると、地上では見ることができないような青色の空が映った。
(戦いの前に見る風景としては最高のものだな)
オレは一時今置かれている状況を頭から追い出し、その色だけを目に焼き付けてみようと試みた。
オレたちは第一防壁のやや東側、櫓の前辺りに陣取っていた。一昨日、この辺りにオークが飛び込んできたというので、結局この場所を選んだのだ。
背後の櫓にはパマーダが詰めている。治療が必要な者はすぐに櫓に退いて、パマーダに治癒の魔法をかけてもらうことになっていた。
マスキロは館で待機している。
第一防壁の西側に詰めているアンモスが、オレたちに昼飯を届けてくれた。
「なかなか来ないな」
とオレはアンモスに言った。
「そうですね。けど今日はなんだかいつもと違います」
「どういうことだ?」
とオレは尋ねた。
「いつもは散発的な攻撃があるのです。そのたびにバリアーを張り直しているので分かります。けど今日は朝から一度も攻撃がない。静かすぎます」
「そうか……」
しかし太陽が西に傾く頃になると、周りの雰囲気がざわざわしてくるのを感じた。
今日はモンスターは来ないのか、そうだとしたらこのまま寝ずの番で守りにつくのか。もし今日現れないなら、明日も来るとは限らない。いや、逆に今夜のうちに攻撃を仕掛けてくる可能性もあるな。モンスターにとっては夜の方が戦いやすいはず。デーモンは確かに夜明けと言ったが、後で考え直して開戦時間を修正したのかもしれない。
(館に戻って相談するか……)
そう考え始めたときだった。
第一防壁の西側の空間が急にパッと明るく輝き、バチバチバチと音がした。ハッとして目をやると、武装したオークが宙を舞い、オレたちがいるのとは反対側の歩廊に飛び込んでいくのが見えた。
「しまった! 逆だ!」
城塞の戦士たちは夜が明ける前から防壁の守りを固めていたが、敵の動きは特になかった。
日が登るにつれオレたちの緊張感は高まっていったが、お昼を過ぎてもモンスターが攻めてくる気配は感じられない。
「確かにあのデーモンは今日の早朝と言っていたよな?」
オレは少しイライラしながらゲネオスに尋ねた。
「うん。『夜明けとともに』と言っていたはず。だからこそボクたちも早くから詰めていたんだけど……」
オレたちの気持ちとは裏腹に、外は雲一つ無い晴天だった。
標高が高いこともあって、降り注ぐ太陽の光は痛いくらいに感じられたが、それでも目を細めながら空を見上げると、地上では見ることができないような青色の空が映った。
(戦いの前に見る風景としては最高のものだな)
オレは一時今置かれている状況を頭から追い出し、その色だけを目に焼き付けてみようと試みた。
オレたちは第一防壁のやや東側、櫓の前辺りに陣取っていた。一昨日、この辺りにオークが飛び込んできたというので、結局この場所を選んだのだ。
背後の櫓にはパマーダが詰めている。治療が必要な者はすぐに櫓に退いて、パマーダに治癒の魔法をかけてもらうことになっていた。
マスキロは館で待機している。
第一防壁の西側に詰めているアンモスが、オレたちに昼飯を届けてくれた。
「なかなか来ないな」
とオレはアンモスに言った。
「そうですね。けど今日はなんだかいつもと違います」
「どういうことだ?」
とオレは尋ねた。
「いつもは散発的な攻撃があるのです。そのたびにバリアーを張り直しているので分かります。けど今日は朝から一度も攻撃がない。静かすぎます」
「そうか……」
しかし太陽が西に傾く頃になると、周りの雰囲気がざわざわしてくるのを感じた。
今日はモンスターは来ないのか、そうだとしたらこのまま寝ずの番で守りにつくのか。もし今日現れないなら、明日も来るとは限らない。いや、逆に今夜のうちに攻撃を仕掛けてくる可能性もあるな。モンスターにとっては夜の方が戦いやすいはず。デーモンは確かに夜明けと言ったが、後で考え直して開戦時間を修正したのかもしれない。
(館に戻って相談するか……)
そう考え始めたときだった。
第一防壁の西側の空間が急にパッと明るく輝き、バチバチバチと音がした。ハッとして目をやると、武装したオークが宙を舞い、オレたちがいるのとは反対側の歩廊に飛び込んでいくのが見えた。
「しまった! 逆だ!」
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