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第7章 砂漠のエルフ(下)
第109話 パマーダの生き様
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「ヴォラスというのは私たちの旧い言葉で『北へ』という意味なんです」
スピーチの後、エレミアがオレたちに説明してくれた。
エルフたちの歓声の中にあった「ヴォラス」という言葉は、彼らの故郷への想いが込められていた。
オレたちはエレミアの私室に招かれ、情報の交換や明日の作戦について話し合った。
この私室は作戦本部の役割を担うことになり、その後エルフの中でもリーダー格の戦士たちが入れ替わり立ち替わりやってきて、それぞれの持ち場と役割を確認していった。とは言っても総勢300名程度の戦力だ。基本的には全ての戦士が戦闘に加わるしかない。
オレたちが関係するところで言うと、ゲネオスとオレは最前線に陣取り、城壁まで上がってくるモンスターを瞬殺する役割を引き受けた。
パマーダは前線の櫓に籠って負傷者の回復係。マナ・ストーンが可能な限り支給される。
マスキロは前線から多少離れた館付近まで下がり、支援魔法に特化する。ファイヤー・ボールは今回お休みか。
作戦の確認が一段落したところでオレたちは退室し、実際の持ち場を点検しに行った。
「パマーダ、すまなかった」
歩廊の上でオレはパマーダに謝った。
「別にエルフたちに加勢する義理はなかったんだけど、なんとなく流れで防衛戦に参加することになってしまった」
あんなところでミョルニルを見せびらかしてしまった以上、後には引けないよな、とオレは思った。
「ゲネオスやマスキロは元からやる気だと思うけど……」
二人は昨日打ち上げられたオークがどのようであったか、当時持ち場についていたエルフに質問して回っていた。
パマーダは首を振ってこう言った。
「ワタシだってエルフに加勢するつもりよ。たとえパーティのメンバーが下山すると言ったとしてもね」
パマーダは真剣な顔でオレに問いかけた。
「ねえサルダド、私たち人間はエルフと違っていずれ死ぬんだから、どうせなら意味のある死に方をしたくない?」
意味のある死に方? オレは今までそんなことを考えたことがなかった。
オレが返答に詰まっていると、パマーダは続けて言った。
「実際には何の意味もない死に方っていうのはあるのよ。ひょっとしたらワタシたちがノトスに着く前に出会ったエルフの王も、その死に方自体は何の意味もなかったかもね。結局プエルトから援軍は来なかったんだし」
パマーダは一呼吸置いた。
「まあ彼はその後執念でクラーケンの中にとどまり、ゲネオスに大切な品を渡すことはできたんだけど」
パマーダはオレの目を見た。
「だからこそ私は意味のある生き方にこだわる! この戦いでは結果としてあっさり死んでしまうかもしれないし、そのことを誰にも伝えてもらえないかもしれないけど(ここでみんな全滅したらね)、少なくともモンスターの大群を前に一歩も引かず、追い詰められたエルフを助けようとした、という生き様は意味のあるものだと思う」
言い終えると、パマーダは胸の前で印を結んだ。
「まあワタシはそんなに簡単には死なないよ。サルダドもゲネオスも鉄壁の防御でワタシたちを守ってくれるんでしょ?」
パマーダはニコリと笑って言った。
「もちろん!」
オレは力強く答え、ゲネオスたちのところへ行って、今度は胸壁のチェックに加わった。
スピーチの後、エレミアがオレたちに説明してくれた。
エルフたちの歓声の中にあった「ヴォラス」という言葉は、彼らの故郷への想いが込められていた。
オレたちはエレミアの私室に招かれ、情報の交換や明日の作戦について話し合った。
この私室は作戦本部の役割を担うことになり、その後エルフの中でもリーダー格の戦士たちが入れ替わり立ち替わりやってきて、それぞれの持ち場と役割を確認していった。とは言っても総勢300名程度の戦力だ。基本的には全ての戦士が戦闘に加わるしかない。
オレたちが関係するところで言うと、ゲネオスとオレは最前線に陣取り、城壁まで上がってくるモンスターを瞬殺する役割を引き受けた。
パマーダは前線の櫓に籠って負傷者の回復係。マナ・ストーンが可能な限り支給される。
マスキロは前線から多少離れた館付近まで下がり、支援魔法に特化する。ファイヤー・ボールは今回お休みか。
作戦の確認が一段落したところでオレたちは退室し、実際の持ち場を点検しに行った。
「パマーダ、すまなかった」
歩廊の上でオレはパマーダに謝った。
「別にエルフたちに加勢する義理はなかったんだけど、なんとなく流れで防衛戦に参加することになってしまった」
あんなところでミョルニルを見せびらかしてしまった以上、後には引けないよな、とオレは思った。
「ゲネオスやマスキロは元からやる気だと思うけど……」
二人は昨日打ち上げられたオークがどのようであったか、当時持ち場についていたエルフに質問して回っていた。
パマーダは首を振ってこう言った。
「ワタシだってエルフに加勢するつもりよ。たとえパーティのメンバーが下山すると言ったとしてもね」
パマーダは真剣な顔でオレに問いかけた。
「ねえサルダド、私たち人間はエルフと違っていずれ死ぬんだから、どうせなら意味のある死に方をしたくない?」
意味のある死に方? オレは今までそんなことを考えたことがなかった。
オレが返答に詰まっていると、パマーダは続けて言った。
「実際には何の意味もない死に方っていうのはあるのよ。ひょっとしたらワタシたちがノトスに着く前に出会ったエルフの王も、その死に方自体は何の意味もなかったかもね。結局プエルトから援軍は来なかったんだし」
パマーダは一呼吸置いた。
「まあ彼はその後執念でクラーケンの中にとどまり、ゲネオスに大切な品を渡すことはできたんだけど」
パマーダはオレの目を見た。
「だからこそ私は意味のある生き方にこだわる! この戦いでは結果としてあっさり死んでしまうかもしれないし、そのことを誰にも伝えてもらえないかもしれないけど(ここでみんな全滅したらね)、少なくともモンスターの大群を前に一歩も引かず、追い詰められたエルフを助けようとした、という生き様は意味のあるものだと思う」
言い終えると、パマーダは胸の前で印を結んだ。
「まあワタシはそんなに簡単には死なないよ。サルダドもゲネオスも鉄壁の防御でワタシたちを守ってくれるんでしょ?」
パマーダはニコリと笑って言った。
「もちろん!」
オレは力強く答え、ゲネオスたちのところへ行って、今度は胸壁のチェックに加わった。
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