サルダドは +3 ウォーハンマー《星砕きのミョルニル》を手に入れた

マツノポンティ さくら

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第7章 砂漠のエルフ(下)

第84話 砂漠でトレーニング

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オレ達は街で山行きの買い出しをしていた。
ノトスからクレーネへの旅と異なり、今回は山岳地帯を踏破しなければならない。
旅の物資を売る店の主人に質問しながら、オレ達は慎重に買い物を進めた。
なお大蠍おおさそり討伐の報酬は換金しなかったので、貯金を取り崩して買い物をしている。
「山の城には駱駝らくだは連れていけるのか?」
オレは店の主人に尋ねた。
「大丈夫ですよ。元はパランクス城の建築資材も運んだ道です。ただし道に迷わなければ」
食料や水は翌朝ミラヤに積み込むことにし、オレ達は半金を支払って宿屋に戻った。
マスキロは買い物の途中から姿が見えなかったが、おそらくマジック・アイテムを物色しにいったのだろう。

日差しの強い昼間はシエスタで時間を潰し、日が傾いてからオレは一人城壁の外へ出た。
まず初めに日課の200kgスクワットをこなした。
最近は全く重さを感じないまでになっている。
「マスキロに重さを上げてもらわないとな」
次に大蠍の戦いでやったミョルニルの取寄せを再現しようとした。
これもうまくいった。
ミョルニルはターゲットをくっつけて取り寄せるだけだと思っていたが、離れたところからミョルニルだけを飛ばすこともできるらしい。
ここでオレはふと思い付いたことを実験してみた。
初めはなかなかうまくいかず、オレ自身が地面に叩きつけられることもあったが、そのうちコツを掴んできた。

「どうしたの、サルダド! 擦り傷だらけじゃない!」
宿屋に戻ると、パマーダが驚いた声をあげた。
「ちょっとトレーニング中に転んでしまって」
治癒ヒールをかけるわ」
「大丈夫だって。さすがにこの程度なら」

丁度同じタイミングでマスキロが宿屋に帰ってきた。
「マスキロ、随分遅かったな」
「これでも急がせたんだぞ。明日が出発というのでな」
「急がせる? 何をしていたんだ?」
「ふふふ、蠍の土産をな」
これは、マスキロのレアアイテム・コレクションに何か追加されたようだ。
「なんだ、見せてくれよ」
「まあ楽しみに取っておけ」

ゲネオスは街で情報収集をしていたのだが、一足先に宿屋に戻っていた。
「ゲネオス、収穫は?」
「ああ、山の城までの道は大体分かった。地図も見つけたよ」
そう言うとゲネオスは小さな羊皮紙を広げた。
そこには北の海、ノトス、砂漠、パランクスと、その周辺の地形の特徴が描かれていた。
クレーネの街の位置には小さな印が付されている。
「おそらくオアシス発見前に作られたものだろう」
「こんなものどこで見つけたんだ?」
ゲネオスはちょっとためらいながら話し始めた。
「う~ん、それは、その、アクリスの元の家に……」
「取ってきたのか!?」
「まあ持ち主は死んでしまったことだし」
「大蠍にやられてから吹っ切れてるなぁ」
しかし便利なことは間違いないので、オレ達は羊皮紙の地図をくるくると巻いて、旅の荷物に混ぜ込んだ。
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