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第4章 幽霊船
第40話 ハイブリッド幽霊船
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扉が開くと、そこは仕切りのない大きな部屋になっていた。
部屋の両側には小窓が並んでおり、そこから外に向かってオールが突き出ている。
そう、ここは船を乗るときに見た小窓の反対側の空間だった。
その部屋には左右に一列ずつオールの漕ぎ手が並んで座っている。
いや、座らされていると言った方が良いかもしれない。
漕ぎ手は全て足枷をはめられ、その場から逃げられないようになっていた。
そしてその漕ぎ手は、、、人ではなかった。
色褪せ、ボロボロになった服に身を通しているのは、すべて骸骨だ。
骸骨が合図とともにオールを持ち上げ、合図とともに足を踏ん張ってオールを漕ぐ。
そうすると船は、骸骨たちの顔とは反対側の方向にスッと進んだ。
骸骨の漕ぎ手たちは黙っているわけではなかった。
皆思い思いのことを話し続けている。
「ああ、マリア。もうすぐ君に会える」
「ヒャッホゥーーー、この航海が終われば俺は自由だーーー」
オレ達は皆あっけにとられていたが、パマーダが一番最初に復帰した。
「これは一体なに?」
「幽霊船さ」
船長が答えた。
「凄いだろ、風のあるときは帆をはらませ、風のないときはこいつらを使って進む」
漕ぎ手達に聞こえないよう、船長は小声で説明した。
「元は奴隷船だったみたいなんだがな。おおかた嵐にでも遭って沈んじまったんだろ。幽霊船となって海を漂流しているのを捕らえて帆船に改造したんだ。こいつらはなぜかプエルトに帰りたがるんで、香辛料を仕入れた後の帰路はオールを漕がせて西に向かう」
まさにハイブリッド帆船である。いやハイブリッド幽霊船と言うべきか。
「酷いことを……」
パマーダがつぶやいた。
部屋の両側には小窓が並んでおり、そこから外に向かってオールが突き出ている。
そう、ここは船を乗るときに見た小窓の反対側の空間だった。
その部屋には左右に一列ずつオールの漕ぎ手が並んで座っている。
いや、座らされていると言った方が良いかもしれない。
漕ぎ手は全て足枷をはめられ、その場から逃げられないようになっていた。
そしてその漕ぎ手は、、、人ではなかった。
色褪せ、ボロボロになった服に身を通しているのは、すべて骸骨だ。
骸骨が合図とともにオールを持ち上げ、合図とともに足を踏ん張ってオールを漕ぐ。
そうすると船は、骸骨たちの顔とは反対側の方向にスッと進んだ。
骸骨の漕ぎ手たちは黙っているわけではなかった。
皆思い思いのことを話し続けている。
「ああ、マリア。もうすぐ君に会える」
「ヒャッホゥーーー、この航海が終われば俺は自由だーーー」
オレ達は皆あっけにとられていたが、パマーダが一番最初に復帰した。
「これは一体なに?」
「幽霊船さ」
船長が答えた。
「凄いだろ、風のあるときは帆をはらませ、風のないときはこいつらを使って進む」
漕ぎ手達に聞こえないよう、船長は小声で説明した。
「元は奴隷船だったみたいなんだがな。おおかた嵐にでも遭って沈んじまったんだろ。幽霊船となって海を漂流しているのを捕らえて帆船に改造したんだ。こいつらはなぜかプエルトに帰りたがるんで、香辛料を仕入れた後の帰路はオールを漕がせて西に向かう」
まさにハイブリッド帆船である。いやハイブリッド幽霊船と言うべきか。
「酷いことを……」
パマーダがつぶやいた。
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