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第4章 幽霊船
第35話 クラーケン来襲
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「ゲネオス! パマーダ! マスキロ! すぐに出てきてくれ!」
油断した! ミョルニルは手元に備えていたものの、グラディウスは船室だ。
「ゲネオス! 来るときオレの剣も持ってきてくれ!」
そのときオレは、後ろの方から何かが身体に巻き付くのを感じた。
振り返ると丸太ほどの太さのある吸盤付きの触手が伸びてきて、オレの動きを封じていた。
もう一度振り返ると、先ほどの目の持ち主が徐々にその姿を見せつつある。
蛸のような烏賊のような、巨大な軟体生物が先ほどと同じ目でオレを見つめていた。
大きい……
その大きさゆえに、触手を船の下に回して、船の反対側からオレを捕らえていたのだ。
次の瞬間オレは触手に持ち上げられて、数メートルの高さから甲板に打ち付けられた。
痛みを感じる間もなく再び持ち上げられたオレは、今度は船尾の方向に放り投げられた。
偶然そこにマストがあり、オレはマストの途中で引っ掛かった。
オレは呻き声を上げながらも、マストから落ちないように近くにあったローブを掴んだ。
ゲネオスたちも甲板に現れ、船の両側から延びてくる触手を切りつけ始めた。
「サルダド! 剣だ!」
しかしゲネオスはオレがどこにいるか分からなかった。
「こっちだ!」
必死で声を張り上げると、ようやくゲネオスがオレの居場所に気付いた。
「なんでそんなところにいるの!」
「あとで説明するから。とりあえず適当にグラディウスを投げてくれ!」
ゲネオスがオレのグラディウスを空中に放り投げた。
酷いコントロールだが関係ない。オレはミョルニルを投げて、グラディウスを呼び寄せた。
マストの上にも触手は攻撃を仕掛けてくる。
オレはミョルニルで応戦していたが、ぐにゅっと凹むばかりでろくなダメージが与えられなかった。
グラディウスを回収してから、ようやく触手にダメージを与えられるようになった。
オレは苦戦しながらも襲ってくる触手を切り落とした。
甲板に目をやると、ゲネオスは剣で、マスキロは魔法で応戦している。
船長を含め、戦闘力のある船員も戦いに加わっていたが、既に触手に巻き取られて海中に引きずり込まれた者もいた。
ゲネオスやマスキロの力でいくつかの触手は落とされたが、いまだにモンスターの勢いに衰えは見えない。
そのとき、遂に日が落ちた。
太陽の最後の光が、モンスターの胴体を照らした。
青い光の中で、キラリと光るモノが見えた。
油断した! ミョルニルは手元に備えていたものの、グラディウスは船室だ。
「ゲネオス! 来るときオレの剣も持ってきてくれ!」
そのときオレは、後ろの方から何かが身体に巻き付くのを感じた。
振り返ると丸太ほどの太さのある吸盤付きの触手が伸びてきて、オレの動きを封じていた。
もう一度振り返ると、先ほどの目の持ち主が徐々にその姿を見せつつある。
蛸のような烏賊のような、巨大な軟体生物が先ほどと同じ目でオレを見つめていた。
大きい……
その大きさゆえに、触手を船の下に回して、船の反対側からオレを捕らえていたのだ。
次の瞬間オレは触手に持ち上げられて、数メートルの高さから甲板に打ち付けられた。
痛みを感じる間もなく再び持ち上げられたオレは、今度は船尾の方向に放り投げられた。
偶然そこにマストがあり、オレはマストの途中で引っ掛かった。
オレは呻き声を上げながらも、マストから落ちないように近くにあったローブを掴んだ。
ゲネオスたちも甲板に現れ、船の両側から延びてくる触手を切りつけ始めた。
「サルダド! 剣だ!」
しかしゲネオスはオレがどこにいるか分からなかった。
「こっちだ!」
必死で声を張り上げると、ようやくゲネオスがオレの居場所に気付いた。
「なんでそんなところにいるの!」
「あとで説明するから。とりあえず適当にグラディウスを投げてくれ!」
ゲネオスがオレのグラディウスを空中に放り投げた。
酷いコントロールだが関係ない。オレはミョルニルを投げて、グラディウスを呼び寄せた。
マストの上にも触手は攻撃を仕掛けてくる。
オレはミョルニルで応戦していたが、ぐにゅっと凹むばかりでろくなダメージが与えられなかった。
グラディウスを回収してから、ようやく触手にダメージを与えられるようになった。
オレは苦戦しながらも襲ってくる触手を切り落とした。
甲板に目をやると、ゲネオスは剣で、マスキロは魔法で応戦している。
船長を含め、戦闘力のある船員も戦いに加わっていたが、既に触手に巻き取られて海中に引きずり込まれた者もいた。
ゲネオスやマスキロの力でいくつかの触手は落とされたが、いまだにモンスターの勢いに衰えは見えない。
そのとき、遂に日が落ちた。
太陽の最後の光が、モンスターの胴体を照らした。
青い光の中で、キラリと光るモノが見えた。
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