砕魔のミョルニル

松山さくら

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第2章 白の貴婦人

第8話 ツギノ村へ行こう

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「ツギノ村へ行こうと思う。」
酒場に顔を出すとゲネオスがこう切り出した。
「次の村?」
「そうツギノ村だ」
話は噛み合わなかったが、結果としてコミュニケーションは成り立った。

ツギノ村というのは、この城下町から北西に進んだところにある村だ。
「この国は四方を山に囲まれている。唯一開いた街道も、強いモンスターが現れるようになってからは砦を築いて道を閉ざしている状態だ」
ゲネオスは続けた。
「寒いこの季節は山越えは無理だ。しかしツギノ村の近くには外界に瞬時に移動する手段があるという」
「ゲネオスはなぜ外界に行きたいんだ?」
とオレは尋ねた。
「外界に行けばもっと強いモンスターがいる。強いモンスターを辿たどっていけば、最後には敵のボスに出会えるはずだ」
さすが勇者だ。冒険者になってからも実家で暮らしているオレとはえらい違いだ。
「それに路銀ろぎんも苦しくなってきた。そろそろ次のクエストを受けないと」
ゲネオスが現実的な話題を言い添えた。

そこへ、パマーダが降りてきた。
「あら? 戦士さん、お久しぶり」
「やあパマーダさん、景気はどう?」
パマーダは答えた。
「さすが城下町はお金持ちのおじさま方がいっぱいいらっしゃるわね。ちょっと”布教”をしただけでいっぱいお布施をもらっちゃった」
こちらはゲネオスより経済力がありそうだ。

「次のクエストの話をしていたんでしょ? 行きましょう。割と高いレートでお布施を頂いちゃったからここには長くいられないの」
詳しい理由はよく分からないが、街の人を出家させようとでもしたのだろうか?
結局、俺たちは明朝出発することで意見が一致した。
マスキロは言わなくても勝手に付いてくるはずだ。
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