追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

王都にて12

　レオンハルトは語った。自分を襲った5人襲撃者達を返り討ちにした後、ローエングリンと戦い…そして敗北した顛末を。

「奴が本気で殺すつもりだったなら、今頃拙者は生きておらなんだろう。ぐはは、完敗じゃったわ」

　敗北を語るレオンハルトだが、その表情からは不思議と清々しさのようなものが感じられた。

「じゃがしかし…拙者がまるで相手にならんかったという事実が、あ奴が本物のパルツィヴァールの転生者だという裏付けになろう。自慢ではないが、拙者に勝てる者などそうはおらんからのう」

「そう…ですね。しかし、気になるのは…ローエングリン・ファイアフィズがどのような意図で御祖父様おじいさまを襲撃したのか、という事です」

　ティネンにおけるトーナメントの際に少し会話しただけだが、ローエングリンはエリュクスのような破滅的な人間とは対極の性格であるように感じられた。とてもエリュクスの考えに同調したとは考えられない。

「その点については…拙者には分かる気がするの。奴が何故このレオンハルト・ツヴァイクを襲ったのか」

「と、おっしゃられますと？」

「あ奴は、強い奴と戦いたかった。おそらくそれだけじゃ。武人として、これ以上ない真っ直ぐな動機よの。じゃが…それ故に、危険でもある。何故なら、この世界にはパルツィヴァールを満足させられるような実力者は…おそらくおらん」

　『槍鬼』パルツィヴァールと同等以上の実力者となれば、『剣聖』アルトゥースや『大剣豪』ガーヴァーン…あるいは『邪神』デミウルゴスや『魔剣士』メドレウトという事になるだろう。だが、それらが活動していたのは2000年前…現代には同等の実力を持つ者は存在しない。

「エリュクスや、『大魔術師グランド・マジシャン』オイフェでさえ…パルツィヴァールの前では霞んでしまう。おそらく…パルツィヴァールことローエングリンは、今どうしようもなく退屈しておるじゃろう。いったい、どういった行動に出るのか…正直、全く読めんわ」