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レイミア2

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 あたしは、大陸の外れにある小国、その田舎村に生まれた。もう七十年も前の事になる。三人姉妹の次女で、姉妹の中であたしが一番不器用で体も弱かった。姉のように美しくもなく、妹のように可愛くもなかった。そんなあたしが十歳を迎えた年、あたし達の住む地方を大規模な飢饉が襲った。秋だというのに食べ物の貯蔵もままならず、冬を越せない家が出てくるんじゃないか…と大人達が囁いていたのを覚えている。

 そんな折、父親が一緒に山に行かないかとあたしを誘ってくれた。山に行けば、木の実や山菜、キノコなど食べられるものが見つかるかもしれない。だから一緒に採りに行こうとあたしを連れて行ってくれたんだった。

 あたしは、嬉しかった。姉妹の中で一番役立たずのあたしでも、食べ物を見つけられればみんなの力になる事が出来る。近場の食べ物はすでに他の村人達が採りつくしているだろうからと、乳に連れられて山の奥へ奥へと進む。あたしは必至に食べられるものがないかと探した。ふと、顔を上げるとあたしの頭上に沢山のチェスリエの実がなっていた。食べられる木の実だ。でも、あたしの背じゃ届かない。

「ねえ、お父さん!あそこ、あそこに木の実があるよ!」

 あたしは叫んだ。けれど、父親からの返事はない。辺りを見回せば、どこにも父親の姿はなかった。ついさっきまで、そこにいたはずなのに。

「ねえ、お父さん!お父さん!」

 必死になって叫んだ。あたしは食べ物探しに夢中になっていたとはいえ、初めて来る山という事で子供ながらに警戒していた。だから、父親とは離れないよう行動していた。なのに…どこにも父の姿はない。下手に動き回るとまずいと思い、ただ視線だけを動かし叫び続けた。正直、あたしにはどっちが村の方角なのかも分からない。父が見つからなければ、この山で遭難して死んでしまうだろう。

 そのうちに太陽が落ち、日が暮れた。その時には、あたしの瞳からは大量の涙がとめどなく流れ落ちていた。涙の理由は、不安だったから…死ぬのが怖かったから…無論、それもある。けれど、一番の理由はもっと別の所にあった。

 あたしは捨てられたんだと、その事に気がついたからだった。
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