追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

二次試験13

　ルカ達の潜む鍾乳石のすぐ前を、ゴーレムが通過していく。その様子を観察しつつ少年は分析を行った。

（この身のこなしからすると…多分、このゴーストの戦闘力は一次試験で戦ったゴーレムと同程度…）

　つまり、Sランク相当。今のルカ、アレクシア、安鶴沙であれば十分に勝てる相手ではあるが、消耗は避けられないだろう。さらにゴーレムを倒せばそれがレームに伝わり、自分たちの居場所を曝け出す事になりかねない。やはりここはやり過ごすのが無難だった。

　しかし、驚かされるのはこれ程のゴーレムを同時に複数運用するレームの実力である。見た目の幼さと軽い性格に惑わされそうになるが、やはりGランク冒険者の看板に偽りなしという所だろう。

　もっとも、Sランク相当の実力を持つゴーレムと言っても弱点がないではない。例えば、今ルカ達が見つかっていないという事実から鑑みるに感覚器官はあまり優れてはいないようだ。おそらく嗅覚などは備わっていないのだろう。おそらくは魔力および練気プネウマを感知して冒険者を捕捉するタイプのゴーレムであるようだ。すなわち、身を隠し魔術も練気プネウマも用いなければ発見される危険性は極めて低い。

　そしてその見立て通り、ゴーレムはルカ達の隠れ場所を素通りした。

（よし…）

　ゴーレムが完全に通り過ぎ、少年の胸中に安堵が芽生かけた、その時――。

「な…魔物モンスター？いや、ゴーレムだ！」

　ゴーレムが過ぎ去っていった方向から、冒険者のものらしき声。どうやら先行していた冒険者とゴーレムが接触したようだ。