追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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一次試験~アレクシア・ツヴァイク6~

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 わけが分からない、といった様子のマドレーヌ。そんな彼女に老人が声をかける。

「マドレーヌ、と言ったかな。お主はなぜそこのお嬢さんがワシの助太刀に入ったか分かるかな」

 突然話しかけられてびくりと肩を震わせながらもマドレーヌは答える。

「え?な、何よ。この女が爺さんを助けた理由…?」

「違う」

 老人はゆっくりと首を振った。

「そこのお嬢さんはな…『お主らからワシを助けた』んじゃない『ワシからお主らを助け』たんじゃよ」

「はぁ!?…な、何よ。何が言いたいのよ。全然意味が…」

「つまりのぅ…こういう事よ。もしお主らが二人でワシを襲い掛かっておったら…ワシは、お主ら二人を殺しておった――かも、しれん」

「なっ…!」

 マドレーヌの瞳が驚きに見開かれる。

「物を奪うために二人がかりで襲い掛かって来た者を、ワシは剣士とは思わん。殺した所で良心も咎めんわい。じゃが、あのお嬢さんが入った事で『一対一の立ち合い』という形になった。ならば…ワシに殺す理由はないからのう。そうじゃろう?」

 と、老人はアレクシアに顔を向けた。その視線を受けて彼女は頷く。

「はい。…差し出がましい事とは思いましたが」

「そ、それじゃあ、あんたは最初からこの爺さんが負けるとは思ってなかったわけ!?」

 震えながら問いかけるマドレーヌ。

「ああ。あなた達よりもご老人の方が遥かに手練れだという事は一目で分かったからね。おそらく、奥伝槍使い…当たっていますか?」

「うむ」

 アレクシアの問いかけに老人は頷く。対してマドレーヌとルイージは、

「「奥伝…!?」」

 と二人同時に驚きの声を上げた。

「…さて、どうする?」

 アレクシアは改めて剣を構え直す。と同時に老人も槍の切先をルイージに向けた。

「まだ続けるつもりかな?私としては、降伏して欲しい所だけど」

 対峙する男女にもはや戦意は残っていなかった。マドレーヌはその場でへたり込み、ルイージは仰向けに倒れたまま両手を上げた。
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