追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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ティネン出発6

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 しばらくの間ダンフォード男爵とコリントの平謝りは続いたが、ルカとアレクシアが気にする必要はないと何度も説得すると彼らはようやく立ち上がった。

「ダンフォード男爵。ルカ君はあなたに邪険にされた事を恨みに思うような人間ではないよ。私もあなた達の態度を恨むような事はしない」

 アレクシアはそう言った後、さらに付け加えた。

「ただ、自分より身分が低い相手だからと言ってそれを見下すような事はして欲しくない…かな」

「はっ!肝に銘じておきまする!」

 ダンフォードは再びアレクシアの前に跪く。

「いや、だから跪く必要はないのだけれど――」

 そんなやり取りをする二人の横で、ルカとコリントは黙って向かい合っていた。コリントにとっては気まずい沈黙だった。それを破り口を開いたのはルカだ。

「ねえ、コリント。さっきボドウィット伯爵に会いに行くって言ってたよね」

「え…ああ、そうだけど…」

「それって、急ぎなのかな…?」

「いや…僕がダンフォード男爵家の養子になった事を報告するために来ただけだから…急ぎじゃあないけどさ」

「良かった。それなら、もう何日かした後にボドウィット伯爵家を訪れた方がいいかもしれない」

「…なんでだよ」

「うん。今ボドウィット伯爵家のお屋敷にはシュタインベルグ王家の人が来ていて…ひょっとしたら、それで何かトラブルが起きるかもしれないと思って」

 その言葉にコリントは思い当たる事があった。

「ひょっとして、王家の人ってのは…レオンゼーレ殿下の事か?」

「あれ?コリント、知ってたの?」

「いや…。でも、レオンゼーレ殿下がこの近くにいるみたいな噂は最近聞いたんだ。そうか、あの方が…」

 コリントは貴族の流れを汲む家に生まれただけあり、シュタインベルグ王家の事情にもそれなりに通じている。もっとも、実際に王族に会った事は無くあくまで伝聞としての情報だが。いわく、レオンゼーレ・ツヴァイク・フォン・シュタインベルグは傲慢な人物である…と。下手に関われば無茶難題を押し付けられる危険性があった。

「確かに…お前の言う通り、レオンゼーレ殿下がいなくなるまで待った方が良さそうだな。…でも、ルカ。なんで僕にそんな事を教えるんだ?」

「え…?」

「黙っておけばいいだろ、そんな事」

「どうして…?」

「どうしてって…普通、そうするだろ」

 ついさっきまで自分の事を見下していたような人間に対して、有利になるような情報を与える必要はない。それがコリントにとっての常識だった。しかし、少年の考えは違った。

「だって…コリントはパーティで一緒だった仲間だから。嫌な思いをする可能性があるのに、黙ってる事なんて…できないよ」
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