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ティネン冒険者ギルド6

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「Sランク冒険者試験に…僕が…?」

「そうさぁ。ネタばらしをしちゃうとぉ…実は、自分はアレクシアお姉さんを推薦しようと思って闘技場コロシアムで近付いたんだよねぇ」

「アレクシアさんの事を…知ってたんですか…?」

「まあねぇ…奥伝剣士アレクシア・ツヴァイク・フォン・シュタインベルグが冒険者としてギルドに登録したって事は自分の耳にも入ってたからさぁ。王族がなんで突然冒険者になったのか、その理由を探るためにも接触したんだよぉ」

 という事は、レームとの出会いは偶然ではなく仕組まれたものだったという訳だ。

「そうしたら、まさかまさか…!それ以上の掘り出し物を見つけちゃったって事さぁ。Aランク冒険者シルヴィ・ローズ、皆伝剣士レオンフォルテ・ツヴァイク・フォン・シュタインベルグの撃破…こりゃぁ並大抵の冒険者じゃなぁない。それと、これは完全な自分の趣味なんだけどぉ…」

 レームは自分の耳をチョンチョンと弄った。ひょっとしたらその仕草は一種の照れ隠しだったのかもしれない。

「個人的に、君が気に入ったのさぁ…。もしSランク冒険者になるなら君みたいな子がいい…そんな風に思っちゃってねぇ」

 それはルカにとってこの上なく嬉しい言葉だった。

「ありがとうございます」

 少年は心からの礼を述べる。対してレームはおどけたように軽く笑ってみせた。

「ま…自分はあくまで推薦するだけ、だけどねぇ…。Sランク冒険者になれるかどうかは試験の結果次第さぁ。それで…どうするんだい、ルカ・ハークレイ君」

「それは…」

 勿論受けます――と二つ返事で応じる事はできなかった。その理由は…、

「ああ、君の危惧している事は分かっているよぉ」

 と、ルカの考えを見透かしたようにレームは言った。

「アレクシアお姉さんとアヅサお姉さんの事だよねぇ。Sランク冒険者試験となれば結構な長期間に及ぶ事は君にも予測できるよねぇ。その間、二人を置いて行くのが心配って所だろぅ。二人とも冒険者としては駆け出しみたいだし」

「そ、そんな…!」

 安鶴沙が身を乗り出した。

「わたしの事なんて気にせず、ルカ君は試験を受けてくださいよう!」

 アレクシアも頷いた。

「うん、私もそう思う。このような機会はそうそうあるものではないはずだ。せっかくのチャンス…挑まなければ勿体ない」

 そんな二人の言葉に、レームは嬉しそうに微笑んだ。

「ふふ、アヅサお姉さんもアレクシアお姉さんも優しいねえ。けど、その点は心配ご無用さぁ。何しろ、Sランク試験はパーティでの参加…つまり、ルカ・ハークレイ君のパーティメンバーであるお姉さん達にも参加してもらうよぉ」
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