追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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トーナメント終了3

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(レオンゼーレさんが、秘伝剣士…?)

 ルカが命がけで倒した皆伝剣士レオンフォルテ。ルカの知る限り最も実力の高い剣士、奥伝剣士アレクシア。そのさらに上を行く位階――秘伝。今まで冒険者として生きて来て、ルカはこの位階を持つ剣士に会った事は一度たりともなかった。

(でも…考えてみれば…)

 ツヴァイク家は剣士の家系。レオンフォルテやアレクシアよりも年上のレオンゼーレが秘伝位階を持っていたとしても不思議ではない。レオンゼーレの持つどことなく力の抜けた態度や物腰の低さが、その事実を覆い隠していたのだ。

「お、叔父上…どうした、き、急に怖い顔をして…」
「分からねえのか、レオンフォルテフォルテ…」

 レオンゼーレは静かに剣を抜いた。彼の体から発せられる殺気が一段と濃くなったようにルカには感じられた。

「俺は剣士だ…そいつにお前は剣を向けたんだぜ」
「そ、そ、それは…つ、つい勢いで抜いてしまっただけだ…。ほ、本気で叔父上と戦おうなどとは…」
「だからお前は負けるんだ」

 冷たく言い放つレオンゼーレ。

「剣ってのは何だ?脅しの道具か?格好つけるためにぶら下げてんのか?違うだろ。剣ってのは人を殺す道具だ。そして殺す道具を他人に突き付けた以上は――自分も殺される覚悟を持てよ」

 レオンゼーレが静かに剣を持ち上げた。ゆっくりとした動作なのに、レオンフォルテはそれを制す事ができない。

「ひっ…お、お前ら!よ、余を守れ…!」

 レオンフォルテの命令を受け、護衛が一斉に腰の剣に手をかけた。しかしその瞬間、

「動くな」

 抜き身の刃物の如き鋭さでレオンゼーレは言い放つ。

「動けば…殺す。俺の才能は親父殿には及ばない…だが、そんな俺でも瞬きひとつの間にこの場にいる全員を殺せる程度の力はある…」

 その言葉が脅しではない事は、はっきりと理解できた。事実レオンゼーレはそれをやってのけるだろう。

「おっと…お前は別だ、アレクシア」

 レオンゼーレはアレクシアへ視線を移す。

「さすがにお前相手じゃ俺でも骨が折れるだろうな。まあ、お前と俺が戦う理由は――」

 そこでレオンフォルテの視界に、アレクシアの横に立つ安鶴沙が映った。その瞬間…彼の瞳が大きく見開かれる。

「なんだ、お嬢ちゃん…」

「え、わ、わたし、ですか…!?」

 安鶴沙は背筋を伸ばした。

「お嬢ちゃん…どうして俺の攻撃に対応出来る?」

「え、え、ええ…?」

「アヅサ・クルシマと言ったな…何者だ…?いや、レオンフォルテフォルテとの戦いで見せたあの奇妙な武術もお嬢ちゃんの指導か。そうか、つまり――」
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