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決勝当日2

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「よォ、アレクシア殿にアヅサ殿、レームちゃん、だったか?実は昨日ちょっと気になってなァ。あんたらに会いに来たんだ」

 そんな事を言うなり、ローエングリンはアレクシアの顔をジロジロと観察し始める。

「…私が何か?」

「いや、オレの知り合いにちょっと雰囲気が似てると思ってなァ。…あんた、なかなか強いな」

「ローエングリン殿の方こそ…相当な腕前とお見受けした」

「ま、オレはしょせん『位階無し』だけどな」

「槍術の師匠の名をお聞きしてもよろしいだろうか」

「槍の師匠は…いねェ」

「え…?」

 意外な言葉だった。流派武術とは他人から教えられ習得するものだ。

「オレの兄貴分が剣の使い手でな…そいつに勝ちたくて、独力で身につけた技だ。――ま、オレの事ァいいんだよ。それより姉ちゃん、名前は?」

「アレクシア…アレクシア・ツヴァイクです」

「ツヴァイク、ね…なるほどなるほど」

 合点がいった、というようにローエングリンは二、三度頷き、次は安鶴沙へと視線を向ける。

「そっちの姉ちゃんは…」

 安鶴沙に近寄ったローエングリンは、彼女の近くですんすんと鼻を鳴らした。

「ひえっ…え、えっと、なんでしょうか…?」

「なんかオレと同じような匂いがすると思ったんだが…いや、気のせいっぽいなァ。一応、名前教えてもらってもいいかい?」

「は、はい…アヅサ・クルシマです」

「ふぅん…」

 特に安鶴沙の名前にピンと来るものはなかったのか、ローエングリンは適当に相槌を打つと最後にレームへと視線を移した。

「あんたは…」

「ん?なんだぁい?」

「あんま面白そうじゃないなァ」

「ありゃぁ」

 レームは肩をすくめる。

「そりゃぁ残念だぁねぇ」

「ま、その方があんたにとっても都合いいだろうしな。…って訳で」

 ローエングリンはくるりと反転し、アレクシア達に背を向けた。

「そんじゃ、オレはおいとまさせてもらおうかねェ」

「え…わたしたちと一緒に観戦していかないんですか?」

 後ろを向いたまま、ローエングリンは安鶴沙の言葉に首を振る。

「いや…どっちが勝つかは分かってっからなァ。十分だ。――んじャ、縁があったらまた会おうぜ」

 そう言い残し、白髪の少女はアレクシア達の前から立ち去っていった。
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