160 / 1,076
一回戦突破2
しおりを挟む
「へえ、レームちゃんも冒険者だったんですねえ」
「そうさ。まあ、大した事ない冒険者だけどね」
「わたしはFランクの駆け出しなんですけど、レームちゃんは?」
「自分かい?自分はGランクさぁ」
「Gですか…ふうむ、お互い駆け出しって事ですねえ」
「ま、そんな感じだねぇ」
安鶴沙とレームがそんな話をしていると、アレクシアとルカが観客席に姿を現した。
「あっ!ルカ君!」
安鶴沙が笑顔を浮かべながら立ち上がる。
「一回戦突破おめでとうございます!」
「はい、ありがとうございます」
そう言って少年も笑みを返した。
「いやいや、いい戦いだったよルカ君。さすがは自分の見込んだ人物だねえ」
と、レームもルカを称える。
「…?はい、ありがとうございます」
やや戸惑いつつもレームに礼を述べるルカに、安鶴沙が歩み寄った。
「いや~、ルカ君が見事な勝利を納めてくれて、師匠であるわたしも鼻が高いですよ。…なーんて、わたしの伝授した技の出番はありませんでしたけどねえ」
「でも、これから先強敵と当たる上でアヅサさんに教えて貰った技術はきっと役に立つと思います。伝授してもらった技を、きっと役立てて見せます」
「これから先当たる敵って言うと…まずは、一回戦第二試合の勝者だねえ。アルトゥース流剣術準修伝のライモンド・ガイモと、ガーヴァーン流剣術中伝のドンズ・クアドラドのどちらかって事だ」
レームが試合場へ目を向ける。そこでは、すでに次の試合の準備が進められていた。アレクシア、安鶴沙も試合場へと視線を移した。しかし、ただひとり…ルカだけは不思議そうにレームを見つめる。
まるで『ずっとこの4人で一緒に冒険してました』という感じの雰囲気を出しているが、レームとルカは初対面だ。
「えっと、あの…あなたは…?」
ルカが問いかけると、レームは、
「ああ、自己紹介を忘れてたねえ」
と立ち上がった。
「私の名前はレーム。通称物知りレームちゃん。まあ、駆け出し冒険者…みたいなもんさぁ。アレクシアやアヅサとはたまたま席が近くでね。一緒に観戦させてもらってるって訳なんだ」
「そうだったんですね。よろしくお願いします、レームさん。僕は…」
「ああ、言われなくても分かってるよ。ルカ・ハークレイ君だろぅ?君の事は二人に色々と聞かされてるからねぇ。格好いいとか、可愛いとか、素敵だとか、撫でたいとか、舐めたいとか…」
「い、言ってません!舐めたいは言ってませんよ!」
安鶴沙が慌てて突っ込みを入れる。
「えぇ?言ってなかったかい?」
「言ってませんよ!…たぶん」
「…」
そこは多分ではなく、はっきりと『言っていない』と断言して欲しいルカだった。
「そうさ。まあ、大した事ない冒険者だけどね」
「わたしはFランクの駆け出しなんですけど、レームちゃんは?」
「自分かい?自分はGランクさぁ」
「Gですか…ふうむ、お互い駆け出しって事ですねえ」
「ま、そんな感じだねぇ」
安鶴沙とレームがそんな話をしていると、アレクシアとルカが観客席に姿を現した。
「あっ!ルカ君!」
安鶴沙が笑顔を浮かべながら立ち上がる。
「一回戦突破おめでとうございます!」
「はい、ありがとうございます」
そう言って少年も笑みを返した。
「いやいや、いい戦いだったよルカ君。さすがは自分の見込んだ人物だねえ」
と、レームもルカを称える。
「…?はい、ありがとうございます」
やや戸惑いつつもレームに礼を述べるルカに、安鶴沙が歩み寄った。
「いや~、ルカ君が見事な勝利を納めてくれて、師匠であるわたしも鼻が高いですよ。…なーんて、わたしの伝授した技の出番はありませんでしたけどねえ」
「でも、これから先強敵と当たる上でアヅサさんに教えて貰った技術はきっと役に立つと思います。伝授してもらった技を、きっと役立てて見せます」
「これから先当たる敵って言うと…まずは、一回戦第二試合の勝者だねえ。アルトゥース流剣術準修伝のライモンド・ガイモと、ガーヴァーン流剣術中伝のドンズ・クアドラドのどちらかって事だ」
レームが試合場へ目を向ける。そこでは、すでに次の試合の準備が進められていた。アレクシア、安鶴沙も試合場へと視線を移した。しかし、ただひとり…ルカだけは不思議そうにレームを見つめる。
まるで『ずっとこの4人で一緒に冒険してました』という感じの雰囲気を出しているが、レームとルカは初対面だ。
「えっと、あの…あなたは…?」
ルカが問いかけると、レームは、
「ああ、自己紹介を忘れてたねえ」
と立ち上がった。
「私の名前はレーム。通称物知りレームちゃん。まあ、駆け出し冒険者…みたいなもんさぁ。アレクシアやアヅサとはたまたま席が近くでね。一緒に観戦させてもらってるって訳なんだ」
「そうだったんですね。よろしくお願いします、レームさん。僕は…」
「ああ、言われなくても分かってるよ。ルカ・ハークレイ君だろぅ?君の事は二人に色々と聞かされてるからねぇ。格好いいとか、可愛いとか、素敵だとか、撫でたいとか、舐めたいとか…」
「い、言ってません!舐めたいは言ってませんよ!」
安鶴沙が慌てて突っ込みを入れる。
「えぇ?言ってなかったかい?」
「言ってませんよ!…たぶん」
「…」
そこは多分ではなく、はっきりと『言っていない』と断言して欲しいルカだった。
10
お気に入りに追加
317
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
催眠アプリで恋人を寝取られて「労働奴隷」にされたけど、仕事の才能が開花したことで成り上がり、人生逆転しました
フーラー
ファンタジー
「催眠アプリで女性を寝取り、ハーレムを形成するクソ野郎」が
ざまぁ展開に陥る、異色の異世界ファンタジー。
舞台は異世界。
売れないイラストレーターをやっている獣人の男性「イグニス」はある日、
チートスキル「催眠アプリ」を持つ異世界転移者「リマ」に恋人を寝取られる。
もともとイグニスは収入が少なく、ほぼ恋人に養ってもらっていたヒモ状態だったのだが、
リマに「これからはボクらを養うための労働奴隷になれ」と催眠をかけられ、
彼らを養うために働くことになる。
しかし、今のイグニスの収入を差し出してもらっても、生活が出来ないと感じたリマは、
イグニスに「仕事が楽しくてたまらなくなる」ように催眠をかける。
これによってイグニスは仕事にまじめに取り組むようになる。
そして努力を重ねたことでイラストレーターとしての才能が開花、
大劇団のパンフレット作製など、大きな仕事が舞い込むようになっていく。
更にリマはほかの男からも催眠で妻や片思いの相手を寝取っていくが、
その「寝取られ男」達も皆、その時にかけられた催眠が良い方に作用する。
これによって彼ら「寝取られ男」達は、
・ゲーム会社を立ち上げる
・シナリオライターになる
・営業で大きな成績を上げる
など次々に大成功を収めていき、その中で精神的にも大きな成長を遂げていく。
リマは、そんな『労働奴隷』達の成長を目の当たりにする一方で、
自身は自堕落に生活し、なにも人間的に成長できていないことに焦りを感じるようになる。
そして、ついにリマは嫉妬と焦りによって、
「ボクをお前の会社の社長にしろ」
と『労働奴隷』に催眠をかけて社長に就任する。
そして「現代のゲームに関する知識」を活かしてゲーム業界での無双を試みるが、
その浅はかな考えが、本格的な破滅の引き金となっていく。
小説家になろう・カクヨムでも掲載しています!
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる