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一回戦突破
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「はい、怪我はありません。助けていただきありがとうございました」
「いや、礼には及ばない。君の実力ならばこの程度の雑魚、例え二人がかりであろうと難なく対処できただろう。余計な事とは分かっていたが…つい、手を出してしまった」
ルカが礼を述べると、ヴェルナーはそう答えた後に床へと視線を移した。そこではザビノが腹を抑えながらうずくまっている。
「ザビノ・リデロ…貴様の噂は聞いている。恐喝、殺人などの嫌疑をかけられるも証拠不十分で野放しになっている小悪党だとな。だが、今のお前の行為は紛れもない殺人未遂だ。準1級修道騎士の権限をもって拘束させてもらう。余罪についても徹底的に調べ、貴様の罪を全て贖わせてやろう…覚悟しておけ。――従騎士隊!」
ヴェルナーが階段の上に声をかけると、上で待機していたのであろう従騎士が数名降りてきて、ザビノと彼の仲間を拘束した。彼らを引き連れ、ヴェルナーは通路を進む。しかし途中でふと、足を止めたルカを振り向いた。
「ルカ・ハークレイ。…トーナメントで君と戦える事を楽しみにしている」
そう言い残して、ヴェルナー達は去っていく。
ヴェルナー・ライヒハウゼンはルカとは反対ブロックの所属。もし二人が戦う事があるとするならば…それは、トーナメントの決勝という事になる。
◇
ヴェルナー達が立ち去った後、ルカも観客席へと続く階段を登る。すると、その先には見慣れた人影があった。白金色の髪、美しくそれでいて弱さを感じさせない凛々しい顔立ち、しなやかな肢体。
アレクシア・ツヴァイクが階段に近付いてきている所だった。
「アレクシアさん…どうしてここに?」
「君の帰りが遅くて心配になってね。…何かあったのかい?」
「はい、少しトラブルがあって。でも、修道騎士団の方に助けてもらったので大丈夫です」
「そうか、それなら良かった。それじゃあ、改めて…」
と、アレクシアはルカの頭にそっと手を載せて言った。
「一回戦突破、おめでとう。…素晴らしい戦いだったよ。君の師匠になれた事を、私は嬉しく思う」
「――はい、ありがとうございます!」
少年は、師匠の顔を見上げ嬉しそうに顔を綻ばせた。
「いや、礼には及ばない。君の実力ならばこの程度の雑魚、例え二人がかりであろうと難なく対処できただろう。余計な事とは分かっていたが…つい、手を出してしまった」
ルカが礼を述べると、ヴェルナーはそう答えた後に床へと視線を移した。そこではザビノが腹を抑えながらうずくまっている。
「ザビノ・リデロ…貴様の噂は聞いている。恐喝、殺人などの嫌疑をかけられるも証拠不十分で野放しになっている小悪党だとな。だが、今のお前の行為は紛れもない殺人未遂だ。準1級修道騎士の権限をもって拘束させてもらう。余罪についても徹底的に調べ、貴様の罪を全て贖わせてやろう…覚悟しておけ。――従騎士隊!」
ヴェルナーが階段の上に声をかけると、上で待機していたのであろう従騎士が数名降りてきて、ザビノと彼の仲間を拘束した。彼らを引き連れ、ヴェルナーは通路を進む。しかし途中でふと、足を止めたルカを振り向いた。
「ルカ・ハークレイ。…トーナメントで君と戦える事を楽しみにしている」
そう言い残して、ヴェルナー達は去っていく。
ヴェルナー・ライヒハウゼンはルカとは反対ブロックの所属。もし二人が戦う事があるとするならば…それは、トーナメントの決勝という事になる。
◇
ヴェルナー達が立ち去った後、ルカも観客席へと続く階段を登る。すると、その先には見慣れた人影があった。白金色の髪、美しくそれでいて弱さを感じさせない凛々しい顔立ち、しなやかな肢体。
アレクシア・ツヴァイクが階段に近付いてきている所だった。
「アレクシアさん…どうしてここに?」
「君の帰りが遅くて心配になってね。…何かあったのかい?」
「はい、少しトラブルがあって。でも、修道騎士団の方に助けてもらったので大丈夫です」
「そうか、それなら良かった。それじゃあ、改めて…」
と、アレクシアはルカの頭にそっと手を載せて言った。
「一回戦突破、おめでとう。…素晴らしい戦いだったよ。君の師匠になれた事を、私は嬉しく思う」
「――はい、ありがとうございます!」
少年は、師匠の顔を見上げ嬉しそうに顔を綻ばせた。
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