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ルフェール修道騎士団支部13
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「それにしても、随分と待たせるね」
アレクシアが呟いた。少女の釈放が決定したのは昼過ぎだったのだが、すでに日は多く傾き窓から見える空は茜色に染まり始めている。
「そうですね…」
とルカも不安げに窓の外を見る。
釈放のための手続きとやらは、そんなに時間がかかるものなのだろうか。ひょっとしたら何か問題が生じたのではないだろうか。そんな風に思っていると、会議室の扉が開いた。
「お待たせしましたな」
そう言って部屋に入ってきたパトリック。彼の隣には、ジーナ。そして…牢に囚われていた少女。
少女はおずおずといった様子で部屋に入ってきたが、ルカの顔を見るとぱあっと表情を輝かせた。
「それでは、この少女の身柄はあなた…ルカ・ハークレイに預けるわ。責任を持って面倒見てちょうだい」
「はい、分かりました」
ジーナの言葉にルカは頷く。
「まあ、もし面倒見切れなくなったら修道騎士団支部にこの子の身柄を渡してくれてもいいわ。もう一度監禁すればいいだけだから」
その言葉に、少女はギョッとなる。
「そ、そんな!わ、わたしいい子にしますからぁ…み、見捨てないでくださいぃ…」
と涙目になる少女。
「大丈夫ですよ」
ルカは少女を安心させようと、笑顔を作る。その表情を見て、少女は、
「はう…」
と小さな声を漏らした。
「び、美少年の笑顔…たまらん…」
そう小さく声を漏らしたが、ルカ達には言葉はよく聞き取れなかった。
「それでは、そろそろお暇させてもらうとしよう」
とジアレクシア。
「ならば門までお見送りさせていただきましょう」
というパトリックの言葉で、一行は修道騎士団支部の出口へと向かった。
◇
修道騎士団支部の入り口で、一行は二組に別れる。見送る者と見送られる者だ。
見送る側はパトリックとジーナ。見送られるのはルカ、アレクシア、ジョゼフ、そして少女だ。
「それでは姫様、お元気で。このような場所でアレクシア姫に会えた事、心より嬉しく思いますぞ」
パトリックは目に涙を浮かべながらアレクシアを見つめた。
「ああ、御祖父様に会ったらパトリック殿に便宜を図っていただいた事をお伝えしておくよ」
アレクシアは微笑を浮かべながら答える。
「便宜などと…拙者は何もしておりませぬ。そうそう、便宜といえば…お渡ししておくものがございました」
そう言って、パトリックは麻袋の中から3本のネックレスを取り出した。銀色に輝く簡素な造り。その中央には、修道騎士団のエンブレムである盾が彫刻されている。
「もし道中で修道騎士団に出会ったらこのネックレスをお見せください。そして拙者の名を出していただければ便宜を図ってくれるでしょう」
「わざわざこのようなものを…感謝します、パトリック殿」
アレクシアはうやうやしくネックレスを受け取った。続いて、ジーナに視線を移す。
「ジーナ殿」
「な、なんでしょうか…?」
突然話を向けられ、驚くジーナ。
「ラナキア洞窟では高飛車な態度を取ってしまい申し訳ない」
「い、いえ…そのような事は…」
アレクシアは、自分の正体が王族だと明かした時の事を言っているのだろう。確かにやや居丈高な態度だったと言えなくもないが、あの場合はああでもしないと修道騎士団に囚われていた。その事、ジーナもよく分かっている。謝られるというのは意外だった。
「私も民の安寧を願う者のひとりだ。立場は違うが、それぞれ己の責務に励んでいこう」
そう言ってアレクシアが切れ長の瞳でジーナの瞳を射抜くと、彼女は背筋を正し敬礼を行った。
「は…はっ!勿体ないお言葉です、姫様!」
「それでは…行こうか」
アレクシアは踵を返し歩き出す。ルカは、
「パトリックさん、ジーナさん、色々ありましたけど…お世話になりました」
そう言って、アレクシアの後を追う、少女とジョゼフもその後に続いた。
アレクシアが呟いた。少女の釈放が決定したのは昼過ぎだったのだが、すでに日は多く傾き窓から見える空は茜色に染まり始めている。
「そうですね…」
とルカも不安げに窓の外を見る。
釈放のための手続きとやらは、そんなに時間がかかるものなのだろうか。ひょっとしたら何か問題が生じたのではないだろうか。そんな風に思っていると、会議室の扉が開いた。
「お待たせしましたな」
そう言って部屋に入ってきたパトリック。彼の隣には、ジーナ。そして…牢に囚われていた少女。
少女はおずおずといった様子で部屋に入ってきたが、ルカの顔を見るとぱあっと表情を輝かせた。
「それでは、この少女の身柄はあなた…ルカ・ハークレイに預けるわ。責任を持って面倒見てちょうだい」
「はい、分かりました」
ジーナの言葉にルカは頷く。
「まあ、もし面倒見切れなくなったら修道騎士団支部にこの子の身柄を渡してくれてもいいわ。もう一度監禁すればいいだけだから」
その言葉に、少女はギョッとなる。
「そ、そんな!わ、わたしいい子にしますからぁ…み、見捨てないでくださいぃ…」
と涙目になる少女。
「大丈夫ですよ」
ルカは少女を安心させようと、笑顔を作る。その表情を見て、少女は、
「はう…」
と小さな声を漏らした。
「び、美少年の笑顔…たまらん…」
そう小さく声を漏らしたが、ルカ達には言葉はよく聞き取れなかった。
「それでは、そろそろお暇させてもらうとしよう」
とジアレクシア。
「ならば門までお見送りさせていただきましょう」
というパトリックの言葉で、一行は修道騎士団支部の出口へと向かった。
◇
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見送る側はパトリックとジーナ。見送られるのはルカ、アレクシア、ジョゼフ、そして少女だ。
「それでは姫様、お元気で。このような場所でアレクシア姫に会えた事、心より嬉しく思いますぞ」
パトリックは目に涙を浮かべながらアレクシアを見つめた。
「ああ、御祖父様に会ったらパトリック殿に便宜を図っていただいた事をお伝えしておくよ」
アレクシアは微笑を浮かべながら答える。
「便宜などと…拙者は何もしておりませぬ。そうそう、便宜といえば…お渡ししておくものがございました」
そう言って、パトリックは麻袋の中から3本のネックレスを取り出した。銀色に輝く簡素な造り。その中央には、修道騎士団のエンブレムである盾が彫刻されている。
「もし道中で修道騎士団に出会ったらこのネックレスをお見せください。そして拙者の名を出していただければ便宜を図ってくれるでしょう」
「わざわざこのようなものを…感謝します、パトリック殿」
アレクシアはうやうやしくネックレスを受け取った。続いて、ジーナに視線を移す。
「ジーナ殿」
「な、なんでしょうか…?」
突然話を向けられ、驚くジーナ。
「ラナキア洞窟では高飛車な態度を取ってしまい申し訳ない」
「い、いえ…そのような事は…」
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そう言ってアレクシアが切れ長の瞳でジーナの瞳を射抜くと、彼女は背筋を正し敬礼を行った。
「は…はっ!勿体ないお言葉です、姫様!」
「それでは…行こうか」
アレクシアは踵を返し歩き出す。ルカは、
「パトリックさん、ジーナさん、色々ありましたけど…お世話になりました」
そう言って、アレクシアの後を追う、少女とジョゼフもその後に続いた。
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