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ルフェール修道騎士団支部5

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 少女の逃走未遂というちょっとしたドタバタがあってより数日。ルカとジョゼフは平穏な日々を過ごしていた。二人で雑談をしたり、修道騎士団に借りた本を読んだりなど。ルカたちはかなりの自由を与えられていたが、あまり騎士団支部の中をうろついたりはしなかった。変に目立って修道騎士たちの心証を損ねたくなかったからだ。

 一方、アレクシア。彼女は王族という事で騎士団支部の中でも最も良い部屋を与えられた。さらに身の回りの世話をするための女性従騎士が常に部屋の外で待機する。何かあれば彼女に用を言いつければいいという事だ。

 そんな事をする必要はない、と言ったアレクシアだったが、

「シュタインベルグ王家のお方が騎士団支部に逗留なされているというのにきちんとしたもてなしもしなかった、とあれば私の責任問題になりますから」

 とジーナは譲らなかった。

(これだから王族というのは不便だ…)

 こういった扱いが嫌で身分を隠してきたのだ。しかし、今は仕方がないだろう。

 彼女は日に一度ほどルカたちに会いに行ったが、それ以外は基本的に部屋の中で過ごした。

 そして修道騎士団に滞在して三日目の午後――。

「アレクシア姫様」

 と、部屋の外から声がかけられた。男性の声だ。

「お伺いしたい事がございます。お部屋に入れていただいてもよろしいでしょうか」

「ああ、構わない」

 アレクシアがそう答えると、部屋の扉が開けられた。そこに立っていたのは初老に差し掛かるかどうかという年齢の男だ。髪には白いものが混じり、鼻の下に口髭を生やしている。

 体格の良い体を騎士服サーコートに包み、腰には剣を帯び肩からマントを羽織っている。始めてみる人物だった。

「アレクシア姫様」

 と、改めて目の前の女性の名を呼ぶ。そして、自らの腰に差してある剣の柄に手をかけ…ゆっくりと引き抜いた。アレクシアはその動きに素早く反応し、自らの近くに立てかけてあった愛剣に手を伸ばす。

「――ご無礼、お許しあれ!」

 男はそう叫ぶなり、アレクシアに向かって躍りかかった。
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