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ラナキア洞窟-SECRET BOSS-2
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「おおらあああ!」
ゲルトアルヴスが腕でアレクシアの剣を受け止めたその時、ジョゼフが雄叫びを上げた。まるで自身の迷いを断ち切るかのように。そして、しゃがんだ状態のゲルトアルヴスに対して槍を繰り出す。
「りゃあああ!」
一撃、二撃、三撃、四撃…無数の突きを繰り出していく。パルツィヴァール流修伝槍技、『五月雨』。ゲルトアルヴスは、剣を受けているのとは反対の腕でジョゼフの攻撃を受け止める。やはり、そちらの腕も防御力が高いのか槍を弾き返していた。だがジョゼフの突きは手数が多い。全てを受けきる事はできず、攻撃のいくつかはゲルトアルヴスの体を貫いた。
肩、腹、そして…、
「あああああ!」
ジョゼフの槍の一撃が、ゲルトアルヴスの喉を貫いた。もし生身の人間であればこれで決着だ。しかし、相手はもはや人ではない。勝負はまだついていない。
(今だ…!)
呼気を吐きつつ、アレクシアは剣に力を込める。
修伝剣技、『圧し斬り』。刀を押し当てた状態から練気を込め、物体を断ち切る技。剣を受け止めていたゲルトアルヴスの片腕を斬り落とした。
その様子を見て、ルカは勝機を感じる。しかし同時に、胸中の奥で言い知れぬ不安が頭をもたげた。
(このまま押し切れる…?いや、それとも…)
ゲルトアルヴスの再生能力は未知数。それに、アレクシアの斬り落とした腕が硬化していた事はルカも気がついている。ここで攻めるべきか、否か。
(いや…攻めるしかない!)
例えゲルトアルヴスの再生能力が未知数だとしても…その他に、何か隠された力があるのだとしても。優勢である今、攻撃の手を止める訳にはいかない。
「アレクシアさん!邪神の牙をゲルトさんの体から斬り離してください!」
「ああ!」
スケルトンの場合は邪神の牙とその肉体が完全に融合していた。だが、ゲルトアルヴスはまだ邪神の牙がその肉体に突き刺さって間もない。今ならば、あるいは肉体から引き剥がせる可能性も残っている。
アレクシアはゲルトアルヴスの胸…心臓の位置に剣の切先を突き立て、邪神の牙を抉り取ろうと試みる。剣の切先は、ゲルトアルヴスの胸にいとも容易く突き刺さった。しかし…、
(なんだ、この感触は…!)
胸に突き刺さった剣が、ぴたりと動きを止めた。まるで強靭な何かに刃先を掴まれているかの如く、微動だにしない。
(すでに邪神の牙と心臓は融合を果たしていた…?そして、この感触は…魔力そのもの…!?)
邪神の牙とは、魔鉱石と同じく魔力が結晶化したものなのだろう。しかし、恐らくその魔力の密度は…魔鉱石とは比べ物にならない。圧倒的な程にまで濃い魔力の塊。それが邪神の牙であるならば、
(今の私にそれを斬る事はできない…!)
アルトゥース流の上位三位階…すなわち、叡意、覚意、極意には形なきものを切断する技も存在する。
例えば光。例えば空間。例えば…魔力。極意まで至る事が出来れば、切断できぬものなど何もないと言われるのがアルトゥース流だ。しかし、それは剣の頂に達した者のみに許される神技である。アレクシアは天才中の天才とはいえ、まだその領域には達していない。今の彼女には…邪神の牙を、そしてそれと融合したゲルトアルヴスの心臓を切り離す事は、できない。
「アレクシアさん、危ない!」
ルカがアレクシアの庇うように抱き着いた。いつの間にか再生していたゲルトアルヴスの腕が、彼女の体を襲ったのだ。アレクシアはルカを抱いたまま慌てて剣を引き、後方へ飛びのいた。次にその腕はジョゼフを襲おうとするが、彼も一歩早く下がり攻撃をかわす。
「お、おお…や、おやおや」
ゲルトアルヴスの体が再生していく。腕だけではなく、ジョゼフがつけた傷も…全て。
「ふ、振り出しに…も、戻ってしまいましたねえ…」
ゲルトアルヴスの言葉の通り、傷は全て完治し…戦いの始まる前の状況へと戻ってしまっていた。
ゲルトアルヴスが腕でアレクシアの剣を受け止めたその時、ジョゼフが雄叫びを上げた。まるで自身の迷いを断ち切るかのように。そして、しゃがんだ状態のゲルトアルヴスに対して槍を繰り出す。
「りゃあああ!」
一撃、二撃、三撃、四撃…無数の突きを繰り出していく。パルツィヴァール流修伝槍技、『五月雨』。ゲルトアルヴスは、剣を受けているのとは反対の腕でジョゼフの攻撃を受け止める。やはり、そちらの腕も防御力が高いのか槍を弾き返していた。だがジョゼフの突きは手数が多い。全てを受けきる事はできず、攻撃のいくつかはゲルトアルヴスの体を貫いた。
肩、腹、そして…、
「あああああ!」
ジョゼフの槍の一撃が、ゲルトアルヴスの喉を貫いた。もし生身の人間であればこれで決着だ。しかし、相手はもはや人ではない。勝負はまだついていない。
(今だ…!)
呼気を吐きつつ、アレクシアは剣に力を込める。
修伝剣技、『圧し斬り』。刀を押し当てた状態から練気を込め、物体を断ち切る技。剣を受け止めていたゲルトアルヴスの片腕を斬り落とした。
その様子を見て、ルカは勝機を感じる。しかし同時に、胸中の奥で言い知れぬ不安が頭をもたげた。
(このまま押し切れる…?いや、それとも…)
ゲルトアルヴスの再生能力は未知数。それに、アレクシアの斬り落とした腕が硬化していた事はルカも気がついている。ここで攻めるべきか、否か。
(いや…攻めるしかない!)
例えゲルトアルヴスの再生能力が未知数だとしても…その他に、何か隠された力があるのだとしても。優勢である今、攻撃の手を止める訳にはいかない。
「アレクシアさん!邪神の牙をゲルトさんの体から斬り離してください!」
「ああ!」
スケルトンの場合は邪神の牙とその肉体が完全に融合していた。だが、ゲルトアルヴスはまだ邪神の牙がその肉体に突き刺さって間もない。今ならば、あるいは肉体から引き剥がせる可能性も残っている。
アレクシアはゲルトアルヴスの胸…心臓の位置に剣の切先を突き立て、邪神の牙を抉り取ろうと試みる。剣の切先は、ゲルトアルヴスの胸にいとも容易く突き刺さった。しかし…、
(なんだ、この感触は…!)
胸に突き刺さった剣が、ぴたりと動きを止めた。まるで強靭な何かに刃先を掴まれているかの如く、微動だにしない。
(すでに邪神の牙と心臓は融合を果たしていた…?そして、この感触は…魔力そのもの…!?)
邪神の牙とは、魔鉱石と同じく魔力が結晶化したものなのだろう。しかし、恐らくその魔力の密度は…魔鉱石とは比べ物にならない。圧倒的な程にまで濃い魔力の塊。それが邪神の牙であるならば、
(今の私にそれを斬る事はできない…!)
アルトゥース流の上位三位階…すなわち、叡意、覚意、極意には形なきものを切断する技も存在する。
例えば光。例えば空間。例えば…魔力。極意まで至る事が出来れば、切断できぬものなど何もないと言われるのがアルトゥース流だ。しかし、それは剣の頂に達した者のみに許される神技である。アレクシアは天才中の天才とはいえ、まだその領域には達していない。今の彼女には…邪神の牙を、そしてそれと融合したゲルトアルヴスの心臓を切り離す事は、できない。
「アレクシアさん、危ない!」
ルカがアレクシアの庇うように抱き着いた。いつの間にか再生していたゲルトアルヴスの腕が、彼女の体を襲ったのだ。アレクシアはルカを抱いたまま慌てて剣を引き、後方へ飛びのいた。次にその腕はジョゼフを襲おうとするが、彼も一歩早く下がり攻撃をかわす。
「お、おお…や、おやおや」
ゲルトアルヴスの体が再生していく。腕だけではなく、ジョゼフがつけた傷も…全て。
「ふ、振り出しに…も、戻ってしまいましたねえ…」
ゲルトアルヴスの言葉の通り、傷は全て完治し…戦いの始まる前の状況へと戻ってしまっていた。
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