追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

ラナキア洞窟攻略18

　小型の動物か、それとも魔物モンスターか何かのものらしい無数の骨。それがカタカタと音を立て、次々と姿を現した。そして骨が組み合わさり…歪な化け物の形を作り出す。手足は4本から8本程度。頭はひとつかふたつ。全長20cm程度の小さなトカゲ、もしくは昆虫のような骨の魔物モンスターだ。それが、約40体程。それらは明らかにひとつの意思の元操られており、ルカやアレクシア、ジョゼフ、そしてゲルトの周りを取り囲む。

（この倉庫内の骨を集めて操ってるのか…）

　ルカは歯噛みする。おそらく、この倉庫の中には小型の魔物モンスターか動物が生息していたのだろう。これだけの数がいる所を見ると、どこか倉庫の隅に巣を作っていたのかもしれない。それが死に、多数の白骨が倉庫の隅々に散らばっていたという事だ。

「くっ…」

　ルカはゲルトを庇うように彼の前に立った。アレクシアは周囲に気を配りつつもスケルトンと正対している。ジョゼフは槍を持ち、左右を見回しながら、

「畜生…多すぎんだろ…」

　と呻いた。

　これだけの数の骨に前後左右から襲い掛かられたら防ぎきる事はできない。おそらく、骨の魔物モンスターの一撃一撃はさしたる威力ではないだろうが…ルカたちはこの魔物モンスターを殲滅する術を持っていない。おそらく、剣で断ち切ろうとも槍で貫こうともバラバラの破片になって襲い掛かってくるだろう。ルカの魔術で灰にするにしても数が多すぎる。いずれ敵の数に圧倒され、力尽きる未来は見えていた。

　――撤退するべきか。

　ルカ、ジョゼフ、アレクシアの脳裏にそんな考えが浮かぶ。しかし、撤退するとなると…ゲルトはどうする。彼は今現代まともに動けない状況だ。アレクシアが血路を切り開き、ジョゼフとルカが彼の体を運んで逃げるか？それでこの魔物モンスターたちから逃げ切れるのか。それとも、ゲルトを置いてこの場から逃走するか。

（いや、それはできない）

　ルカはその選択肢を除外した。ゲルトは仲間だ。その仲間を置いて自分だけ逃げるなどできるはずはなかった。

　そもそも、こうやって囲まれてしまった以上、逃げるという作戦が成功する可能性は低い。

（となれば…）

　ルカはアレクシアの背中を見る。天才中の天才、奥伝剣士の背中を。

「アレクシアさん…スケルトンの撃破を、お願いします」

　結局、アレクシア頼みというのは情けない限りだった。だが今この場でスケルトンを撃破できる可能性があるのはアレクシアを置いて他にはいない。剣ではスケルトンに対して相性が悪いとは言っても、彼女の持つ奥伝剣技であれば…あるいは、スケルトンを滅する事が可能かもしれない。

「承知した」

　アレクシアは、剣を持つ手を肩の高さにまで上げた。明らかに今までとは違う、大技を放つための構えだ。

　ルカとジョゼフは彼女の右後方と左後方に立ち、周囲の魔物モンスターに対する警戒を行う。