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ラナキア洞窟攻略14
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ウィル・オー・ザ・ウィスプで足元を照らしつつ、ゆっくりと階段を降りていく。
「…思ったより長い階段だな」
ジョゼフが呟いた。
確かに長い。地下まで続いている階段だ。しばらく進んだ所で階段が終わった。そしてその先にあったのは――石の壁だ。
「行き止まりか?いや…」
ジョゼフが石壁に視線を注ぐ。そこには、小さな邪神の紋章が不規則に並んで刻まれていた。
「またさっきと同じような奴か」
「はい、今から開けます」
そう言って、ルカは石壁の一点に掌をあて魔力を注ぐ。するとすぐさま、「ゴゴン…」という音が響き石壁が横にスライドしていく。
「えっと、今のは何だったんだ?」
あまりに簡単に石壁の仕掛けを解いたルカに、ジョゼフは目を丸くする。
「はい、今のはへび座です。でも、へび座で最も明るい星…コル・セルペンティスの部分に紋章が刻まれていませんでした。ですから、そこに魔力を込めたんです」
「…ルカ君よう」
ジョゼフがルカの顔をまじまじと覗き込む。
「その、ナントカ座のナニナニ星っての、全部覚えてんのか?」
「まさか、そんな事ありませんよ」
ルカは笑った。
「覚えているのは主要な星座の主要な星だけです」
「いや、それでもすげえ事だと思うんだが…ひょっとして星が好きなのか?」
「星は嫌いじゃありませんけど…でも、好きというよりいつか迷宮を攻略する時のために覚えておいたってのが理由としては大きいですね。星に関する知識は、迷宮の仕掛けでよく用いられますから」
「そ、そうか…将来の迷宮攻略のために覚えたのか…」
ルカの話を聞きジョゼフは、
(とても俺にゃ真似できねえな…)
と脱帽する思いだった。ジョゼフも冒険者として人並みに…いや、人並み以上に迷宮に対する憧れは持っている。だが、ルカのように将来の迷宮攻略に向けてしっかりとした知識を身に着ける…などという事はしてこなかった。せいぜい、魔物と戦えるよう槍の腕を鍛えたくらいだ。
「いや、ほんとすげえ奴だよ」
ジョゼフはぽつりと呟いた。その声は小さく、ルカにはよく聞き取る事ができなかった。
「え…?」
「いや、なんでもねえよ。…開いたぜ。さあ、進もう」
石壁…いや、扉と言うべきだろう。石扉の向こうは部屋になっていた。ウィル・オー・ザ・ウィスプで照らしてみた限り、上の神殿よりは狭いもののそれなりに広さがある空間になっているようだ。おそらく、一般的な一軒家程度の広さはある。その奥からより一層濃厚な魔力が吹き付けてきていた。
「俺が先頭を進む。アレクシア殿は俺の後ろをついて来てくれ。ルカ君はその後ろで状況判断、ゲルト殿は最後尾で魔術の詠唱を…いいな」
このフォーメーションはここまでと同じものだったが、ジョゼフは今一度それを確認した。全員がそれを了解すると、ジョゼフは部屋の中に足を踏み入れる。
「ここは…宝物庫?…いや、倉庫か?」
部屋の左右には石造りの棚があり、その中にはおそらく祭祀に使うものであろう燭台や楽器、複雑な彫刻の施された剣などが置かれていた。もっとも、錆びているものも多く、財宝としての価値は極めて低いだろう。紙の切れ端らしきものも所々にある所を見ると、本なども置かれていたのかもしれないが…こちらは、ほぼ朽ちてその原型を留めていない。
中には、棚自体が…それどころか、壁が崩れている場所もあった。そんな倉庫の中を進んでいく。しばらくすると突き当りに差し掛かった。その先には扉も無ければ隠し出口のような仕掛けもない。紛れもない、迷宮の最奥だった。そしてその壁際には…一体の白骨死体が横たわっていた。
「…思ったより長い階段だな」
ジョゼフが呟いた。
確かに長い。地下まで続いている階段だ。しばらく進んだ所で階段が終わった。そしてその先にあったのは――石の壁だ。
「行き止まりか?いや…」
ジョゼフが石壁に視線を注ぐ。そこには、小さな邪神の紋章が不規則に並んで刻まれていた。
「またさっきと同じような奴か」
「はい、今から開けます」
そう言って、ルカは石壁の一点に掌をあて魔力を注ぐ。するとすぐさま、「ゴゴン…」という音が響き石壁が横にスライドしていく。
「えっと、今のは何だったんだ?」
あまりに簡単に石壁の仕掛けを解いたルカに、ジョゼフは目を丸くする。
「はい、今のはへび座です。でも、へび座で最も明るい星…コル・セルペンティスの部分に紋章が刻まれていませんでした。ですから、そこに魔力を込めたんです」
「…ルカ君よう」
ジョゼフがルカの顔をまじまじと覗き込む。
「その、ナントカ座のナニナニ星っての、全部覚えてんのか?」
「まさか、そんな事ありませんよ」
ルカは笑った。
「覚えているのは主要な星座の主要な星だけです」
「いや、それでもすげえ事だと思うんだが…ひょっとして星が好きなのか?」
「星は嫌いじゃありませんけど…でも、好きというよりいつか迷宮を攻略する時のために覚えておいたってのが理由としては大きいですね。星に関する知識は、迷宮の仕掛けでよく用いられますから」
「そ、そうか…将来の迷宮攻略のために覚えたのか…」
ルカの話を聞きジョゼフは、
(とても俺にゃ真似できねえな…)
と脱帽する思いだった。ジョゼフも冒険者として人並みに…いや、人並み以上に迷宮に対する憧れは持っている。だが、ルカのように将来の迷宮攻略に向けてしっかりとした知識を身に着ける…などという事はしてこなかった。せいぜい、魔物と戦えるよう槍の腕を鍛えたくらいだ。
「いや、ほんとすげえ奴だよ」
ジョゼフはぽつりと呟いた。その声は小さく、ルカにはよく聞き取る事ができなかった。
「え…?」
「いや、なんでもねえよ。…開いたぜ。さあ、進もう」
石壁…いや、扉と言うべきだろう。石扉の向こうは部屋になっていた。ウィル・オー・ザ・ウィスプで照らしてみた限り、上の神殿よりは狭いもののそれなりに広さがある空間になっているようだ。おそらく、一般的な一軒家程度の広さはある。その奥からより一層濃厚な魔力が吹き付けてきていた。
「俺が先頭を進む。アレクシア殿は俺の後ろをついて来てくれ。ルカ君はその後ろで状況判断、ゲルト殿は最後尾で魔術の詠唱を…いいな」
このフォーメーションはここまでと同じものだったが、ジョゼフは今一度それを確認した。全員がそれを了解すると、ジョゼフは部屋の中に足を踏み入れる。
「ここは…宝物庫?…いや、倉庫か?」
部屋の左右には石造りの棚があり、その中にはおそらく祭祀に使うものであろう燭台や楽器、複雑な彫刻の施された剣などが置かれていた。もっとも、錆びているものも多く、財宝としての価値は極めて低いだろう。紙の切れ端らしきものも所々にある所を見ると、本なども置かれていたのかもしれないが…こちらは、ほぼ朽ちてその原型を留めていない。
中には、棚自体が…それどころか、壁が崩れている場所もあった。そんな倉庫の中を進んでいく。しばらくすると突き当りに差し掛かった。その先には扉も無ければ隠し出口のような仕掛けもない。紛れもない、迷宮の最奥だった。そしてその壁際には…一体の白骨死体が横たわっていた。
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