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ラナキア洞窟攻略2
しおりを挟む キャンプを張った翌日。ルカたちは迷宮へと向かった。正確に言うならば迷宮に繋がっていると思われる洞窟に、だが。
ジョゼフの案内により、洞窟のひとつに辿り着いた。
「ここだ」
一見すると、他の洞窟と大して変わりがないように見える。高さ3m、横幅2m程度の岩穴だ。
「入り口は狭いが、中は結構広いんだ。…ルカ君かゲルトの旦那、魔術で照らしてもらっていいかい?」
「それじゃあ、僕が」
ルカが一歩進み出て、両掌を内向きにする形で胸の前に手を上げる。そして詠唱を行った。
「光よ、行く先を照らせ『ウィル・オー・ザ・ウィスプ』」
手と手の間に小さな光の玉が形作られた。ルカが掌を押し出すような動作をすると、光の玉はゆらゆらと揺れながら浮遊し、洞窟の中へと入っていく。
光の玉…ウィル・オー・ザ・ウィスプは、その大きさの割に強力な光を放っていた。洞窟の中の暗闇が照らし出される。少なくとも、ルカたちが進むには問題がない程の明るさだ。
「魔術というのは、本当に便利なものだな…」
アレクシアが感心したように呟いた。
「よし、それじゃあ進もうぜ」
ジョゼフが先頭に立って一行は洞窟の中を進んだ。入り口付近は狭かったが、ジョゼフの言った通り奥に行くにつれて洞窟の幅は広くなっていった。時折右にくねり、左にくねり。洞窟は続いていく。4、500mも進んだ頃だろうか。突如、目の前に岩壁が現れた。
「…ここで行き止まりのようですが」
ゲルトが訝し気な顔をする。
「いや、大丈夫だ。ルカ君…右側を照らしてもらえるか?」
「はい」
ルカは掌を右にかざしウィル・オー・ザ・ウィスプを右側に移動させる。ウィル・オー・ザ・ウィスプは基本的にルカの上空を漂っているのだが、このように操る事も可能だ。
「これは…亀裂か」
アレクシアは照らされた右壁に走る一筋の割れ目を発見した。なんとか人が一人通れる程度の細い亀裂だ。
「そう、この亀裂の先に洞窟が続いてるんだ」
やや得意そうな口調で答えるジョゼフ。
「よくこんな亀裂を発見できましたね」
ルカは亀裂をまじまじと観察する。ウィル・オー・ザ・ウィスプを近付けてその光で照らしたからこそ分かったものの、普通に観察しただけでは岩壁の窪みとしか思えない。
「いや、まあ…最初に来た時は俺もここで行き止まりだと思って落胆したんだけどよ。壁に手をつこうとしたら、たまたまそこに亀裂があって…向こう側に転がり落ちたんだ」
そう言って、ジョゼフはポリポリと頬をかいた。つまり、彼がこの亀裂を発見したのはたまたまという事だ。
「ま、まあ…なんにしても、この先には道があるって事だ。行こうぜ」
体を横にし、一人ずつ亀裂の向こう側へと渡っていった。亀裂の向こう側には今までと同じような洞窟が続いていた。暗く、果ての見えない岩の道。
「…先ほどまでと少し大気の匂いが違いますね」
ゲルトが呟くように言った。
「お、ゲルトの旦那。分かるのかい?」
「はい、微かにですが…魔力が濃いように感じられます」
「へえ…さすがはエルフ。こういった事は俺たちより感覚が鋭いんだな」
ジョゼフもすんすんと鼻を鳴らしてみせる…が、彼には今までの場所と大きな違いを感じとる事はできない。
「実際、ここから先は魔力が濃いみたいで魔物も出現する。とは言っても、低ランクばっかりだがよ。一応気を付けてくれ」
「ああ」
「分かりました」
アレクシアとルカが頷いた。
ここからは案内役兼前衛のジョゼフが先頭、その斜め後ろに前衛のアレクシア、その後方にルカ、最後尾にゲルトというフォーメーションで進む事となった。
先ほどと同じく、左右に曲がりくねる洞窟を進んでいく。先ほどと違う事と言えば、洞窟が緩やかに傾斜している事だろう。徐々に下へ下へと向かっているようだ。それと、ジョゼフの言葉通り魔物も出現した。
ケイヴニュウトと呼ばれる20cm程度の両生類型魔物だ。魔物ランクはF+。好戦的な魔物ではないので、戦闘を行う事もなく先へと進んだ。2kmか、それとも3km程進んだ場所でジョゼフが足を止めた。
「空間のねじれた跡だ」
そう言って視線を向けた先。洞窟の天井や壁、床には渦巻状の溝が刻まれていた。濃い魔力によって空間がねじれた跡だ。
「…確かに、そうみたいですね」
ルカはその跡をまじまじと観察しながら同意する。
「俺はこの辺りで引き返したんだ。この先が迷宮に繋がってるとしたら、高ランクの魔物が出てくる可能性もあるからな。そうなった場合、単独じゃあ対処しきれねえ。そう判断して戻ったんだ。…ここからは気を引き締めていくぜ」
ジョゼフを先頭に、一行はさらに奥へ奥へと進んでいった。
ジョゼフの案内により、洞窟のひとつに辿り着いた。
「ここだ」
一見すると、他の洞窟と大して変わりがないように見える。高さ3m、横幅2m程度の岩穴だ。
「入り口は狭いが、中は結構広いんだ。…ルカ君かゲルトの旦那、魔術で照らしてもらっていいかい?」
「それじゃあ、僕が」
ルカが一歩進み出て、両掌を内向きにする形で胸の前に手を上げる。そして詠唱を行った。
「光よ、行く先を照らせ『ウィル・オー・ザ・ウィスプ』」
手と手の間に小さな光の玉が形作られた。ルカが掌を押し出すような動作をすると、光の玉はゆらゆらと揺れながら浮遊し、洞窟の中へと入っていく。
光の玉…ウィル・オー・ザ・ウィスプは、その大きさの割に強力な光を放っていた。洞窟の中の暗闇が照らし出される。少なくとも、ルカたちが進むには問題がない程の明るさだ。
「魔術というのは、本当に便利なものだな…」
アレクシアが感心したように呟いた。
「よし、それじゃあ進もうぜ」
ジョゼフが先頭に立って一行は洞窟の中を進んだ。入り口付近は狭かったが、ジョゼフの言った通り奥に行くにつれて洞窟の幅は広くなっていった。時折右にくねり、左にくねり。洞窟は続いていく。4、500mも進んだ頃だろうか。突如、目の前に岩壁が現れた。
「…ここで行き止まりのようですが」
ゲルトが訝し気な顔をする。
「いや、大丈夫だ。ルカ君…右側を照らしてもらえるか?」
「はい」
ルカは掌を右にかざしウィル・オー・ザ・ウィスプを右側に移動させる。ウィル・オー・ザ・ウィスプは基本的にルカの上空を漂っているのだが、このように操る事も可能だ。
「これは…亀裂か」
アレクシアは照らされた右壁に走る一筋の割れ目を発見した。なんとか人が一人通れる程度の細い亀裂だ。
「そう、この亀裂の先に洞窟が続いてるんだ」
やや得意そうな口調で答えるジョゼフ。
「よくこんな亀裂を発見できましたね」
ルカは亀裂をまじまじと観察する。ウィル・オー・ザ・ウィスプを近付けてその光で照らしたからこそ分かったものの、普通に観察しただけでは岩壁の窪みとしか思えない。
「いや、まあ…最初に来た時は俺もここで行き止まりだと思って落胆したんだけどよ。壁に手をつこうとしたら、たまたまそこに亀裂があって…向こう側に転がり落ちたんだ」
そう言って、ジョゼフはポリポリと頬をかいた。つまり、彼がこの亀裂を発見したのはたまたまという事だ。
「ま、まあ…なんにしても、この先には道があるって事だ。行こうぜ」
体を横にし、一人ずつ亀裂の向こう側へと渡っていった。亀裂の向こう側には今までと同じような洞窟が続いていた。暗く、果ての見えない岩の道。
「…先ほどまでと少し大気の匂いが違いますね」
ゲルトが呟くように言った。
「お、ゲルトの旦那。分かるのかい?」
「はい、微かにですが…魔力が濃いように感じられます」
「へえ…さすがはエルフ。こういった事は俺たちより感覚が鋭いんだな」
ジョゼフもすんすんと鼻を鳴らしてみせる…が、彼には今までの場所と大きな違いを感じとる事はできない。
「実際、ここから先は魔力が濃いみたいで魔物も出現する。とは言っても、低ランクばっかりだがよ。一応気を付けてくれ」
「ああ」
「分かりました」
アレクシアとルカが頷いた。
ここからは案内役兼前衛のジョゼフが先頭、その斜め後ろに前衛のアレクシア、その後方にルカ、最後尾にゲルトというフォーメーションで進む事となった。
先ほどと同じく、左右に曲がりくねる洞窟を進んでいく。先ほどと違う事と言えば、洞窟が緩やかに傾斜している事だろう。徐々に下へ下へと向かっているようだ。それと、ジョゼフの言葉通り魔物も出現した。
ケイヴニュウトと呼ばれる20cm程度の両生類型魔物だ。魔物ランクはF+。好戦的な魔物ではないので、戦闘を行う事もなく先へと進んだ。2kmか、それとも3km程進んだ場所でジョゼフが足を止めた。
「空間のねじれた跡だ」
そう言って視線を向けた先。洞窟の天井や壁、床には渦巻状の溝が刻まれていた。濃い魔力によって空間がねじれた跡だ。
「…確かに、そうみたいですね」
ルカはその跡をまじまじと観察しながら同意する。
「俺はこの辺りで引き返したんだ。この先が迷宮に繋がってるとしたら、高ランクの魔物が出てくる可能性もあるからな。そうなった場合、単独じゃあ対処しきれねえ。そう判断して戻ったんだ。…ここからは気を引き締めていくぜ」
ジョゼフを先頭に、一行はさらに奥へ奥へと進んでいった。
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