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別れ
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後悔…先に立ってくれよ…。
俺はやってしまった。
一番やっちゃいけないことをやってしまった。
誰かに止めてほしかった。
って誰が止めるんだよ。
よりによって妹猫に手を出してしまった。
「お兄ちゃん、なんでそんなことするにゃ?」
「そ、それはだな、お、お前が可愛いから…」
言い訳が立たない…。
一回やってしまうと、2度目は当たり前になってしまった。
もう自分を止められない。
きっと大丈夫。
大丈夫さ。
…何が大丈夫なんだ?
俺は自問自答を繰り返しながら、チャチャを…
ぐあぁぁあああああああ‼︎
恥ずかしい‼︎
何食わぬ顔で実家の庭に行く。
恥ずかしさでまともに母親の顔が見れない。
と言っても母親には何にも分からないだろうが。
だがチャチャは違った。
前より俺に引っ付くようになって、行く場所には必ず一緒に出かける。
庭にあったテーブルの上に、俺が座ればチャチャも座る。
寝転べばチャチャも寝転ぶ。
それが何とも心地いい。
俺たちは兄妹で夫婦になってしまった。
人間の【妹】が、俺たちの様子を見て、
「保健所も町も来ないし、このままほっとくと赤ちゃん出来ちゃうよ?どうすんの?飼うなら早く去勢しないと!」
って話てるのが聞こえた。
全く勘がいい。
妹よ。さすがだな。
でも、もう時遅しだと思うんだ。
最近、チャチャが以前にも増してよく食べるようになった。
動きも少し遅くなって、寝ていることが多くなった。
ちょっとイライラしてる事もある。
…子どもができてるんだと思う。
かぁああああああ‼︎
俺としたことが!
まだ飼ってもらってるわけじゃないのに、ここで赤ちゃん出来ちゃったら大家族になっちまう!
そしたら間違いなく、飼うことなんて不可能!
俺たちも赤ん坊も、保健所行きになること間違いなしだ!
うぉおおおおおおお‼︎
今更ながら、俺は悔いた。
だけどこの幸せは捨てたくない。
俺と叶和子(かなこ)との間には子どもが出来なかったが、今度は違う。
チャチャのお腹に俺の分身がいる。
何匹いるかは分からないが、チャチャの太り様から、どー見ても1匹や2匹じゃない。
「大家族のお父ちゃん…」
ぐあぁぁあああああああああ‼︎
どうやって養っていくんだよぉおおおお‼︎
俺は幸せと不幸のど真ん中でもがいた。
もがいてはいたが、結局猫なので、頭と身体は違ってゴロゴロ寝転んだりするだけだが。
誰が見てものんびりしてるように見えるだろう。
俺は俺なりにたくさん悩み考えた。
梅雨ごろのある日、
母親が畑を耕している様子を 近くでチャチャと一緒に眺めた。
何とも長閑な景色と時間。
花も咲いて、緑が眩しい。
チャチャのお腹は明らかに大きくなった。
もう生まれて来るのは時間の問題だ。
俺は決心した。
チャチャと子どもたちの幸せを優先しよう。
俺は1人…いや1匹で何とかなるから、チャチャと子どもたちを置いて旅に出よう。
そうすれば、チャチャが食べるものも、寝る場所も生む場所も苦労しなくて済む。
赤ん坊を見れば、きっと母親や妹たちが、誰か貰い手を探してくれるだろう。
俺たちがずっとここに居させてもらえたのも、保健所が来なかったのも、きっと家族の優しさからだと信じているから。
またいつかひょっこり覗きに来ればいい。
俺が居たら、俺の食いぶちまで心配させることになっちまう。
子どもは見たい。
けど…近親で生まれた猫って、一体どんなだろう?
俺は臆病者だ。
こんな簡単な事も分かっていたはずなのに。
結局逃げる事を選んでしまった。
弱い人間…いや、猫だ。
翌日、チャチャが寝ている間に出発することにした。
居心地の良い生活だったよ。
せっかく実家に戻れたけど、自分のやっちまった責任、しっかり取るべきだよな。
「チャチャ、元気でな。良い子を産めよ」
俺はそっと寝床を出て行った。
俺はやってしまった。
一番やっちゃいけないことをやってしまった。
誰かに止めてほしかった。
って誰が止めるんだよ。
よりによって妹猫に手を出してしまった。
「お兄ちゃん、なんでそんなことするにゃ?」
「そ、それはだな、お、お前が可愛いから…」
言い訳が立たない…。
一回やってしまうと、2度目は当たり前になってしまった。
もう自分を止められない。
きっと大丈夫。
大丈夫さ。
…何が大丈夫なんだ?
俺は自問自答を繰り返しながら、チャチャを…
ぐあぁぁあああああああ‼︎
恥ずかしい‼︎
何食わぬ顔で実家の庭に行く。
恥ずかしさでまともに母親の顔が見れない。
と言っても母親には何にも分からないだろうが。
だがチャチャは違った。
前より俺に引っ付くようになって、行く場所には必ず一緒に出かける。
庭にあったテーブルの上に、俺が座ればチャチャも座る。
寝転べばチャチャも寝転ぶ。
それが何とも心地いい。
俺たちは兄妹で夫婦になってしまった。
人間の【妹】が、俺たちの様子を見て、
「保健所も町も来ないし、このままほっとくと赤ちゃん出来ちゃうよ?どうすんの?飼うなら早く去勢しないと!」
って話てるのが聞こえた。
全く勘がいい。
妹よ。さすがだな。
でも、もう時遅しだと思うんだ。
最近、チャチャが以前にも増してよく食べるようになった。
動きも少し遅くなって、寝ていることが多くなった。
ちょっとイライラしてる事もある。
…子どもができてるんだと思う。
かぁああああああ‼︎
俺としたことが!
まだ飼ってもらってるわけじゃないのに、ここで赤ちゃん出来ちゃったら大家族になっちまう!
そしたら間違いなく、飼うことなんて不可能!
俺たちも赤ん坊も、保健所行きになること間違いなしだ!
うぉおおおおおおお‼︎
今更ながら、俺は悔いた。
だけどこの幸せは捨てたくない。
俺と叶和子(かなこ)との間には子どもが出来なかったが、今度は違う。
チャチャのお腹に俺の分身がいる。
何匹いるかは分からないが、チャチャの太り様から、どー見ても1匹や2匹じゃない。
「大家族のお父ちゃん…」
ぐあぁぁあああああああああ‼︎
どうやって養っていくんだよぉおおおお‼︎
俺は幸せと不幸のど真ん中でもがいた。
もがいてはいたが、結局猫なので、頭と身体は違ってゴロゴロ寝転んだりするだけだが。
誰が見てものんびりしてるように見えるだろう。
俺は俺なりにたくさん悩み考えた。
梅雨ごろのある日、
母親が畑を耕している様子を 近くでチャチャと一緒に眺めた。
何とも長閑な景色と時間。
花も咲いて、緑が眩しい。
チャチャのお腹は明らかに大きくなった。
もう生まれて来るのは時間の問題だ。
俺は決心した。
チャチャと子どもたちの幸せを優先しよう。
俺は1人…いや1匹で何とかなるから、チャチャと子どもたちを置いて旅に出よう。
そうすれば、チャチャが食べるものも、寝る場所も生む場所も苦労しなくて済む。
赤ん坊を見れば、きっと母親や妹たちが、誰か貰い手を探してくれるだろう。
俺たちがずっとここに居させてもらえたのも、保健所が来なかったのも、きっと家族の優しさからだと信じているから。
またいつかひょっこり覗きに来ればいい。
俺が居たら、俺の食いぶちまで心配させることになっちまう。
子どもは見たい。
けど…近親で生まれた猫って、一体どんなだろう?
俺は臆病者だ。
こんな簡単な事も分かっていたはずなのに。
結局逃げる事を選んでしまった。
弱い人間…いや、猫だ。
翌日、チャチャが寝ている間に出発することにした。
居心地の良い生活だったよ。
せっかく実家に戻れたけど、自分のやっちまった責任、しっかり取るべきだよな。
「チャチャ、元気でな。良い子を産めよ」
俺はそっと寝床を出て行った。
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