きっとこの世はニャンだふる♪

Ete

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ようこそ転生コースへ

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「よくお休みのようでしたね」
「GO ENN…ご…ご縁⁉︎」

「はい、そうです。覚えて下さっていたんですね。順番が来たのでお呼びしたのですが…なかなかいらっしゃらなかったので、勝手にお運びいたしました」

俺は驚きのあまり言葉が出ない。
机の上をみると
デスクNo.2828

「なんだこの番号⁉︎ここまでどうやって来いって⁉︎」
俺のいた席を見るが
み…見えねぇ~⁉︎

「那智様、お忘れですか?あなたは魂なのですから、そこへ行こうと念じるだけで、すぐ移動できるんですよ」


あ、そうか。
俺は魂だった。
すっかり忘れてた。

「だけど、こんなクソ長い番号覚えられるわけがない。赤ん坊は迎えに来てもらってたぞ?」
今思えば大人気ない発言。

「大丈夫。覚えておられますよ。試しに番号言ってみてください」
男はニコリと笑顔。

「464940604194006004111199999なんて覚えられる訳ないだろ…覚えてるな?」
なんで?

俺はもしかしてお利口さんだったのか?

ご縁の野郎、クスっと笑いやがった。
でもそれがまたカッコいい。

これからは『ご縁』と呼ぶことにしよう。

「魂の中にインプットされているんですよ。那智様は素直で楽しい方ですね。これからが楽しみです」

なんだよ。
褒められると照れるじゃないか。

そこで俺はふと思いついた。
ピンク色の椅子に腰掛け直し、ご縁のヤツにそっと耳打ちをした。

「なぁ、さっき赤ん坊連れてったあの金髪美女さんは?」
どうせなら美女がいい。
俺は少し期待をしていた。

「ああ、未満児対応のスタッフのことですね?那智様は私が担当ですよ。初めに名刺をお渡しいたしましたが?」

名刺?
どこやったっけ?
俺は服のポケットを漁った。

あ、あった!

【転生コース】専門員

担当者氏名 GO  ENN

【担当者氏名】…

ちゃんと書いてあるわぁ…

それでも一応聞いてみる。

「担当者氏名って、俺の担当が…」
「はい。私です」

あーそーですかぁー(棒読み)

あっちがよかったなぁ~(泣)
俺はとっても残念。

「さて、パンフレットの方はお読みになられましたか?」
「え?あ、まぁ…少々…」
あの量 読めるわけがね~んですけど。

「『転生』について大事な事が書かれていますので ちゃんと読んでくださいね。特に注意事項は大事ですよ。それでは、これからのことを詳しく詰めていきましょうか」

ご縁は太いピンクのファイルを取り出した。
見ていると、手を触れていないのにページが捲られていくじゃないか?

中程でページが止まった。

「何に生まれ変わりたいか…ですが」

来た!
キタキタキタ!
早速来たよ。

「もうお決まりですか?」

「いや 全く。人間がいいなと思ったけど…まだよく分からなくて」
これは本当のことだ。

「パンフレットにもあったように、多種の選択ができます。難しい事は相談にのりますので遠慮なく仰ってください。今すぐ決定しなくても構いません。期限は今日から3日間。その間に候補を3種類まで絞ってください。最終日にその中から一つを選びます」

ほっ。
安心した。

え?

3日間?

「3日の間 俺はどこでどうしたらいい?」

「それを今から説明しますね。眼を閉じてください」

「え?こうか?」

ちょっと胡散臭く感じたが、とりあえず言う通りに眼を閉じた。

ほんの数秒後
「では開けてください」
ご縁が優しい声で指示する。
俺はそっと眼を開けた。

「は?ここはどこだ?」

さっきいた場所と全く違う空間。
普通のドアが何個もズラーっと並んでいる。

「ここは転生後の擬似体験が出来るようになっています。本当に転生する訳ではありませんのでご安心ください。生まれ変わりたいものを頭に思い浮かべながら、このドアを開けて入ると その雰囲気を知る事ができます。選ぶのに非常に有効かと」

なるほど。
それなら選びやすいかも。

「3日間はあっという間に過ぎていきます。その間出入りは何度でも可能です。出る時は『終わり』と念じてください。ドアの外に出られます。那智様はこの2828号室をご使用ください。困った時は私の名前を呼んでくだされば参ります」

その話をしている間にも、他の部屋で人が出入りしている。
嬉しそうな人もいればスッゲー落ち込んでる人もいる。
中はどんな風なんだろう?

「ご質問はありますか?」
ご縁が覗き込んで来る。
いちいちドキドキするじゃないか(汗)

「ない!とりあえずやってみる」
「それでは行ってらっしゃいませ」
ご縁は笑顔で会釈し どこかへ消えて行った。

よ~し!
こうなったらなんでも来い‼︎
思いっきり体験してやろうじゃないか!
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