きっとこの世はニャンだふる♪

Ete

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ファイナルアンサー!

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「では、【安らかコース】をご希望ということで…よろしいですね?」
案内人が再度確認する。

「いいって言ってんだろ?とっとと寝させてくれ!」
もうヤケだ!

「かしこまりました。那智様、大変お疲れ様でございました」
案内人が深々とお辞儀する。

せっかく答えを出したのに
何度も聞かれると、また迷ってしまう。

もうやりたい事はたくさんやった。
疲れた。
俺は眠るんだ。
俺の人生バンザイだ‼︎


そうこうしている間に、俺の骨が墓に入れられた…。
ああ、ついに入っちまった。

「お⁉︎」

驚いた!
魂の俺も、墓の中に吸い込まれて行くじゃないか?

ひゅ~~~ ストン!


ああ…
眠るってこういう事なんだな…

墓の中は、ひんやりしていて、でも何となく穏やかな空気に包まれている…
流れるようにお経が聴こえる…


…静かだ…。




『よ~来たなぁ‼︎お前! あらぁ?何だ? 孫の和彦じゃないか?』


え⁉︎

誰か…いる⁉︎
俺は辺りを見回した。


『忘れたか?まぁここに入って長いからな。ワシだよ。お前のバァさんだ』


バァさん…?って事故死した祖母か⁉︎

「おばあ…さん?」

『そうそう‼︎思い出したか?』
バァさんは嬉しそうに笑った。


『初めて会ったな。どこか私に似てるなぁ…』

隣にいた若い兵隊の格好をした男性が話しかけてくる。

何処かで見た顔…って仏壇⁉︎

もしや…戦死したお祖父さんですかぁぁあああああ⁉︎


『ははっはは。驚くのも無理はない。でもお前のことは仏壇の上からよく見とったよ』


あはははははっ…(汗)

じゃねーし‼︎
俺プチパニック!


『これから賑やかになるわぁ。でもあんた、来るのが早かったなぁ?ワシは先に息子が来るかと思ってたわ。まぁ嫁じゃなくてよかった。うん』


祖母…とやらが話しかけてくる。
息子って俺の父親のことか?
って事は嫁は母親⁉︎

おいおいおいおいおいおい!


案内人のやつ~!
確か【安らかコース】って言ってたよな。
墓の中はこんなに賑やかだとか言わなかったよな?
墓で安らかに眠るんだったよなぁ~⁉︎


『心配するな。墓に入ればみんな仲良く話が出来るんだ。あとはそうだなぁ。仏壇の遺影からみんなを見ることも出来る。お盆だ、彼岸だ、法事だって言えばみんな墓にやって来て話しかけてくれるしな』

兵隊が…いや、祖父か。
そんな問題じゃないし(汗)


こ…こんなはずじゃなかった。

「案内人‼︎ じゃねー!NAMAE NAI!」

俺は超どパニック‼︎


「どうされましたぁ?お墓いかがですか~?」

案内人は墓の中に顔だけ覗かせて聞いてくる。

「どーされたもこーされたも!話が違うじゃねーか!どの辺が安らかなんだよ!」

「安らかですよ~。もうお話も弾んでいらっしゃるようで。お祖父様、お祖母様もご一緒で良かったですね~」

「良くないわ!」
違う!俺の思ってるのと違う‼︎

「やっぱやめる!転生!転生にする!」
俺は案内人の襟元を掴んだ。

「だ、ダメですよ!もうお骨はお墓に入っちゃいましたしぃ」

「コンニャロ!ネクタイ出しやがれ!」
俺は男のネクタイを無理矢理引っ張る。

「いやタタタタっ!変更は出来ませんってば~!」
「そこを何とかしろっつってんだよ!」

俺たちが言い合いをしていると、身体が下から引っ張られている気がする。

見ると、墓の中の祖母さんが俺の足を引っ張ってる⁉︎


ぎゃーーーーーーーーーーーーー⁉︎


『行っちゃいかん!せっかく入ってきたのに。ここが一番良いって』

「バァさん、そりゃあんただけだ(汗)」
俺は案内人を捕まえたまま、足にしがみ付いた祖母さんを振り払おうと必死でもがく。

『いやいや和彦!こっちがいいって』
このバァさん どんなに振り払っても離れない!

その歳でどんだけ力持ってんだよ⁉︎

「首!首が締まるぅうううう!」
案内人も必死の形相。

俺は上と下とに挟まれた。
案内人を離す訳にはいかない!
けどバァさんは離れて欲しい‼︎

ここまできて!どいつもこいつもいい加減にしろ~‼︎


すると いきなり身体が軽くなった。

「え?」


『お前に墓は似合わないよ。もう一度、外の世界に行っておいで』

ジィさんが俺を下から押している。


『なぁ、お前。俺と一緒でいいじゃないか。孫を自由にしてやろう』
ジィさんが バァさんを説得しているってか⁉︎

『私は戦争であっけなく死んでしまった。私の分も、いっぱい外を見てきてくれんか?なぁ和彦』

マジかよ?ジィさん…お祖父さん…!

『仕方ないねぇ…。あなたには敵わないわぁ』

バァさんが乙女になってる⁉︎


おっと‼︎
そんなこと考えてる場合じゃない‼︎


「聞いたか!案内人!俺は転生コースに変える!」


俺は案内人の顔に思いっきり近づいた。


暗くなってきた⁉︎
墓の蓋が閉まる!
もうダメか⁉︎


「ファイナルアンサー?」
案内人が聞いてくる。

は?

「ファイナルアンサーですか?」

…古い…いつの流行りだよ⁉︎

「そうだよ!ファイナルアンサーだっ‼︎」
俺はツバを飛ばしながら返事した。


案内人はニヤリと笑う。
「那智様はツイておられますね~。まだお骨はお墓に入り切っていなかったようです」

「え?どう言うことだ?」


閉じかけた墓の蓋が再度開けられ、何かが降ってくる。
白い…これは…俺の…骨?

「今度はお嫁さんに感謝ですね。まだアロハの袋に、お骨が残っていたようです」
案内人が指差す方を見る。


叶和子(かなこ)が骨粉を入れていたあのアロハ⁉︎
骨はまだ残っていた‼︎
ナイス!叶和子‼︎


「骨は全部入ってしまわないと納骨完了にならないんですよ」
案内人はニヤッと笑っている。
こいつ、また知っていやがったな⁉︎


「では那智様?今度は【転生コース】で《お間違いない》ですね?」

「お間違いないない!転生コースだ!」

「それではご案内いたします」

案内人がそう言うと
俺の魂は、フワッと墓の外に出た。

そ…外だ…

下を見ると、ジィさん、バァさんが手を振っている。

『和彦!またな~』

「ありがとう!ジィさん!バァさん!」
俺も思いっきり手を振った。


俺は風に乗って墓を抜け出して
次の世界に飛び出して行った。
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