きっとこの世はニャンだふる♪

Ete

文字の大きさ
上 下
15 / 42

ファイナルアンサー!

しおりを挟む
「では、【安らかコース】をご希望ということで…よろしいですね?」
案内人が再度確認する。

「いいって言ってんだろ?とっとと寝させてくれ!」
もうヤケだ!

「かしこまりました。那智様、大変お疲れ様でございました」
案内人が深々とお辞儀する。

せっかく答えを出したのに
何度も聞かれると、また迷ってしまう。

もうやりたい事はたくさんやった。
疲れた。
俺は眠るんだ。
俺の人生バンザイだ‼︎


そうこうしている間に、俺の骨が墓に入れられた…。
ああ、ついに入っちまった。

「お⁉︎」

驚いた!
魂の俺も、墓の中に吸い込まれて行くじゃないか?

ひゅ~~~ ストン!


ああ…
眠るってこういう事なんだな…

墓の中は、ひんやりしていて、でも何となく穏やかな空気に包まれている…
流れるようにお経が聴こえる…


…静かだ…。




『よ~来たなぁ‼︎お前! あらぁ?何だ? 孫の和彦じゃないか?』


え⁉︎

誰か…いる⁉︎
俺は辺りを見回した。


『忘れたか?まぁここに入って長いからな。ワシだよ。お前のバァさんだ』


バァさん…?って事故死した祖母か⁉︎

「おばあ…さん?」

『そうそう‼︎思い出したか?』
バァさんは嬉しそうに笑った。


『初めて会ったな。どこか私に似てるなぁ…』

隣にいた若い兵隊の格好をした男性が話しかけてくる。

何処かで見た顔…って仏壇⁉︎

もしや…戦死したお祖父さんですかぁぁあああああ⁉︎


『ははっはは。驚くのも無理はない。でもお前のことは仏壇の上からよく見とったよ』


あはははははっ…(汗)

じゃねーし‼︎
俺プチパニック!


『これから賑やかになるわぁ。でもあんた、来るのが早かったなぁ?ワシは先に息子が来るかと思ってたわ。まぁ嫁じゃなくてよかった。うん』


祖母…とやらが話しかけてくる。
息子って俺の父親のことか?
って事は嫁は母親⁉︎

おいおいおいおいおいおい!


案内人のやつ~!
確か【安らかコース】って言ってたよな。
墓の中はこんなに賑やかだとか言わなかったよな?
墓で安らかに眠るんだったよなぁ~⁉︎


『心配するな。墓に入ればみんな仲良く話が出来るんだ。あとはそうだなぁ。仏壇の遺影からみんなを見ることも出来る。お盆だ、彼岸だ、法事だって言えばみんな墓にやって来て話しかけてくれるしな』

兵隊が…いや、祖父か。
そんな問題じゃないし(汗)


こ…こんなはずじゃなかった。

「案内人‼︎ じゃねー!NAMAE NAI!」

俺は超どパニック‼︎


「どうされましたぁ?お墓いかがですか~?」

案内人は墓の中に顔だけ覗かせて聞いてくる。

「どーされたもこーされたも!話が違うじゃねーか!どの辺が安らかなんだよ!」

「安らかですよ~。もうお話も弾んでいらっしゃるようで。お祖父様、お祖母様もご一緒で良かったですね~」

「良くないわ!」
違う!俺の思ってるのと違う‼︎

「やっぱやめる!転生!転生にする!」
俺は案内人の襟元を掴んだ。

「だ、ダメですよ!もうお骨はお墓に入っちゃいましたしぃ」

「コンニャロ!ネクタイ出しやがれ!」
俺は男のネクタイを無理矢理引っ張る。

「いやタタタタっ!変更は出来ませんってば~!」
「そこを何とかしろっつってんだよ!」

俺たちが言い合いをしていると、身体が下から引っ張られている気がする。

見ると、墓の中の祖母さんが俺の足を引っ張ってる⁉︎


ぎゃーーーーーーーーーーーーー⁉︎


『行っちゃいかん!せっかく入ってきたのに。ここが一番良いって』

「バァさん、そりゃあんただけだ(汗)」
俺は案内人を捕まえたまま、足にしがみ付いた祖母さんを振り払おうと必死でもがく。

『いやいや和彦!こっちがいいって』
このバァさん どんなに振り払っても離れない!

その歳でどんだけ力持ってんだよ⁉︎

「首!首が締まるぅうううう!」
案内人も必死の形相。

俺は上と下とに挟まれた。
案内人を離す訳にはいかない!
けどバァさんは離れて欲しい‼︎

ここまできて!どいつもこいつもいい加減にしろ~‼︎


すると いきなり身体が軽くなった。

「え?」


『お前に墓は似合わないよ。もう一度、外の世界に行っておいで』

ジィさんが俺を下から押している。


『なぁ、お前。俺と一緒でいいじゃないか。孫を自由にしてやろう』
ジィさんが バァさんを説得しているってか⁉︎

『私は戦争であっけなく死んでしまった。私の分も、いっぱい外を見てきてくれんか?なぁ和彦』

マジかよ?ジィさん…お祖父さん…!

『仕方ないねぇ…。あなたには敵わないわぁ』

バァさんが乙女になってる⁉︎


おっと‼︎
そんなこと考えてる場合じゃない‼︎


「聞いたか!案内人!俺は転生コースに変える!」


俺は案内人の顔に思いっきり近づいた。


暗くなってきた⁉︎
墓の蓋が閉まる!
もうダメか⁉︎


「ファイナルアンサー?」
案内人が聞いてくる。

は?

「ファイナルアンサーですか?」

…古い…いつの流行りだよ⁉︎

「そうだよ!ファイナルアンサーだっ‼︎」
俺はツバを飛ばしながら返事した。


案内人はニヤリと笑う。
「那智様はツイておられますね~。まだお骨はお墓に入り切っていなかったようです」

「え?どう言うことだ?」


閉じかけた墓の蓋が再度開けられ、何かが降ってくる。
白い…これは…俺の…骨?

「今度はお嫁さんに感謝ですね。まだアロハの袋に、お骨が残っていたようです」
案内人が指差す方を見る。


叶和子(かなこ)が骨粉を入れていたあのアロハ⁉︎
骨はまだ残っていた‼︎
ナイス!叶和子‼︎


「骨は全部入ってしまわないと納骨完了にならないんですよ」
案内人はニヤッと笑っている。
こいつ、また知っていやがったな⁉︎


「では那智様?今度は【転生コース】で《お間違いない》ですね?」

「お間違いないない!転生コースだ!」

「それではご案内いたします」

案内人がそう言うと
俺の魂は、フワッと墓の外に出た。

そ…外だ…

下を見ると、ジィさん、バァさんが手を振っている。

『和彦!またな~』

「ありがとう!ジィさん!バァさん!」
俺も思いっきり手を振った。


俺は風に乗って墓を抜け出して
次の世界に飛び出して行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!? 自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。 果たして雅は独りで生きていけるのか!? 実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。 ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

処理中です...