きっとこの世はニャンだふる♪

Ete

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時間よ 止まれ

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どうする?
どうしたらいい?



そうだ!

「おい!案内人‼︎」

あー!めんどくセー‼︎

「NAMAE NAI!~‼︎‼︎‼︎」



「はぁ~い♪呼ばれましたかぁ~?」
斜め後ろの砂浜から声がする。
振り返るとヤツがいた!


サングラスの案内人
その名も『NAMAE NAI=名前ない』


しかも⁉︎ 砂浜の中から首だけ出していやがる。

「テメェ~⁉︎人の一大事になんでそんなとこにいやがんだ⁉︎」

「え?一大事なんですか?」

「一大事だよ!帰れねーんだよ!戻れないんだっつーの!」

俺は正直焦っていた。
皆んなのところへ帰れない!
なりふり構わず大声で叫び続けた!

「大丈夫。戻れますよ~」
男はあっさり返事する。

「こっちには来れたのに、戻れないんだよ!…って戻れるのかよ⁉︎」

「ハイ!」
男はスーッと砂から抜き出て来た。
やっぱり黒いスーツ姿。
どうやったらこうなるんだ。


「心配ございません。初めての遠距離で、魂もちょっとお疲れなのでございましょう。ちゃんと戻れますよ。皆様のところへ」
男はスーツの砂を払いながら淡々と喋る。

「皆様のところへだぁ~?お前…聞いて…もしかして、ずっとそこに居たんじゃあるまいな」

俺は男を睨みつけた。

「あぁ~…まぁ~途中からですが…。でも気がつかれる様子もありませんでしたし、感傷に浸っておいでのようでしたので、お声はかけませんでした」

「途中って何処からだ」
俺はジリジリと男に詰め寄る。

「えっとぉ~(汗)『なあ叶和子』…の辺ですかね」

「ほぼ初めっからじゃねーかっ‼︎」

俺は思いっきりネクタイを引っ張って、思いっきり離してやった。

バチン‼︎

「あいたっ!」
相変わらずな展開だ。

男はまたハンカチで汗を拭きながら言い訳をする。

「実は今日、私は仕事がオフでして。那智さんのファイルに《沖縄が好き》と書いてあったので、もしかしたらここにいらっしゃるのではないか?と思い、念のため こちらで休暇をとっておりました」

「へー。そりゃどうも。」

俺は適当に返事する。

だが人と話をするってのは、相手が誰であれ 気持ちが落ち着くもんだ。

「本当に戻れるんだな?」
「大丈夫ですよ。私もご一緒いたします。でもその前に…」

男は何処からか、薄いピンクのアロハと三線(さんしん)を出して来た。
見覚えがある…これは…

「お前⁉︎それは俺の⁉︎」

「ハイハイそうです。よくお分かりで」
俺のアロハと三線を なぜこの男が持っている⁉︎

しかも手品のように、あっという間に俺にアロハを着せ、三線を持たせて砂浜に立たせた。
「おー⁉︎足が着いている?」

「今だけ特別ですよ!はいチーズ!カシャ!」

カシャって自分で言うな‼︎

せっかくのアロハもあっという間に脱がされて、三線も何処かに消してしまった。

「んにゃろー!一体何の真似だ!」

ネクタイを引っ張ろうとしたが、男はひょいと一歩後ろに下がり それをかわした。
学習しやがったな?

「あとで分かりますよ」
男は右手の人差し指を立てて、ニコリと笑いながらそう言った。

「さぁ~!そろそろ帰りましょ~」
俺は何が何だかサッパリ分からなかったが、とにかく…男のおかげで助かった。

それから無事、俺は家まで帰ることができた。


またな!沖縄‼︎
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