そして兄は猫になる

Ete

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変身!

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我が家には柴犬が2匹いる
先住犬の名前は『あずき』沖縄から来た女の子。
後輩犬は『やまと』千葉県出身の男の子である。

あずきの名前は娘がつけた。
父親が黒柴で、母親が赤柴だったので、胡麻柴になって生まれて来た。
毛色が黒の混じった小豆色(ちょっと違うよな)だったので『あずき』と命名されたのだ。気の強くて賢い柴犬だ。

やまとの名前はすごく揉めた。
その頃 子どもたちが戦国武将にハマっていて、義経だの光秀だのと強そうな名前ばかり並べていたが、やまとは どーみても『のんびり屋さん』
絶対合わなさそう…。
その時テレビで「宇宙戦艦ヤマト」の再放送をやっていて、そうだ!「ヤマト」にしよう!と私が叫ぶ。
子どもたちからは「ええ~⁉︎ダサい」と一斉ブーイングを受けた。
でも「ヤマト」だとやっぱり強くて硬いイメージ。
なので平仮名で「やまと」にした。

2匹は兄が亡くなる前から飼っている、立派な我が家の一員なのである。

さて、この2匹。
兄が亡くなってからというもの、義姉に異常な反応を示すようになった。

義姉がアパートから帰って来た時には、散歩がてら実家に寄って
「おーい、来たよ~」と声をかけるようにしている。
「はぁ~い!」
と、義姉が返事をしながら玄関ドアを開けて顔を出すと、
次の瞬間!
2匹は普段聞いたこともない甘えた声を出し、義姉に突撃!
全身を何度もぶつけて舐めて齧って喜びを表現するのだ。
勢いで義姉は尻餅をつく。
それでもベロベロと顔を舐めて全身アタックは止まらない。

義姉 勢いで転がる。
んふふふふふ…笑える。

お前たち…飼い主にもそれしろよ…。

それからもずっと
義姉が帰って来るたびに喜び大爆発で、ベロンベロン攻撃は続いた。
時には義姉の服は泥だらけ(笑)
換毛期には 後でコロコロしないと服が毛だらけになってしまうほどだ。
義姉はその歓迎ぶりに嬉しそうだった。

ドッグランで遊ばせていた時に、義姉の車が帰って来ると、察知したのか早く連れて帰れとネットに体当たり。
その後ダッシュで私たちが引きずられながら義姉にたどり着く…と言った具合。
これじゃどっちが散歩させてるのか分からない。

飼い主の私たちが、仕事などで離れていても 寄っては来るけどあっさり塩対応。
柴犬特有のツンデレだとは分かっているけど、せめて時には義姉ぐらい甘えて欲しい。
飼い主…ちょっと義姉にやきもち(照)


でもなぜ義姉だけに?
不思議なのはそこだった。

「もしかして、義兄が乗り移ってるんじゃないか?」

夫がポソっと言う。

「え?」

でもそんなことって出来るのかな⁉︎
確かに2匹に乗り移れば、直接義姉に触れることが出来る。
人目を気にせず堂々と抱きつくこともできる。
(あ、犬だからいっか)
言葉は交わせなくても「好き」って事は伝えられる。

ありかなぁ…
でも兄だったら…やりそうだなぁ…。
ありだなぁ…。


それからもずっと、2匹の義姉へのアタックは続いている。
義姉を見つけたらとにかく ダッシュ& アターーーーーック‼︎

許す!
許すから


ちょっと待たんか~い‼︎‼︎‼︎


ハァハァハァ…
…ん?
私はここで一つの疑問を抱く。

お兄って

もしや成仏してないんじゃないか…?








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