【完結】優しき世界にゼロ点を 〜Sランクヒーラーだった俺、美少女を蘇生した代償に回復能力を失いました〜

七星点灯

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第二章 オーバーヒールの代償

第二十話 踏み外した貞操観念

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34話 変わらない変化


惇希side

はぁはぁと息を切らして、ふたりで走って、どうにかリハと打ち合わせに間に合った。

雪は不思議と怒っていなくて、俺を見て、にこっと笑ってどこかほっとしているみたいだった。

会場を確認して、動きとフリを一通り通しで流して、最終確認をして今日は解散になった。

雪と透弥が控室の端で何やら話をしていて、【わかった】と透弥の口元が動くと、雪が俺に気が付いて

『じゅんくんっ!!僕さ、藤野くんと部屋交換したから!11階の方が眺めいいし、部屋から新幹線見えるんだって!いいだろ~。だからさ、じゅんくんは、藤野くんと同じ部屋ね!!僕はだいちゃんと同じ部屋で新幹線一緒に見るから!』

雪は昔から電車や新幹線が好きで、よく大輝が電車や新幹線を見に連れて行ってたらしいけど…


雪は、俺に見せつけるみたいに、近くにいた大輝の腕に絡みついた。

大輝は嬉しそうに雪を抱き寄せてた。

ん?

透弥と雪が部屋を交換するってことは…?
俺と透弥が一緒の部屋になるってこと…?

そういう事だよな?

さっき、言ってた…【続き】が…頭をよぎった。


良からぬ妄想が、頭の中に浮かんでしまう。
ブルブルと頭を振って、えっちな妄想を振り払った。

それから、みんなでホテルに戻って、雪が部屋に荷物を取りに来て、じゃあね!と一言言い残して、あっという間に去っていった。

透弥が一緒に夕飯食べに行こうって誘ってくれて、えっちな行為の効き目がまだ切れていなくて、痛みに耐えられそうだったので、その誘いを受けることにした。
ホテルのレストランに夕飯をふたりで食べに行った。こうして、透弥と一緒に過ごすのも…きっと、あと少し。

久しぶりにちゃんとした食事を摂った。それでも、あまり食べられなくて、残したほとんどを透弥が平らげて、部屋に戻った。

『相変わらず、めっちゃ食うな』
美味しそうに食べる透弥を見るのが大好きだから、すごく心が弾んだ。

『じゅんくんもいっぱい食べないと、ダメだよ!食欲無いの?疲れた?』

俺を気遣う透弥は、いつもより優しい気がした。
『…少し疲れたかな、明日もあるから、風呂入って寝るから』
少しだけと言ったけど、カラダはもうかなり重たくなっていた。


『お先にどうぞ』
透弥は部屋に荷物を広げて、化粧水やドライヤー色々並べ始めた。

相変わらずだな、クスっと笑いが込み上げた。

昔から変わらない、泊まり先でのルーティン。
自分の荷物を、自分の使いやすいように配置
するのが透弥のお決まりのパターンだ。
もう、何年も見て来た。


そんな事よりも、俺は、昼間の【続き】が気になって、なんだか…ソワソワしてしまっていた。

【続き】なんて無いのかもしれない、いや、雪に申し訳ない…から、【続き】なんて、あってはイケナイのかもしれない。

でも…もしかしたら?これから…あの【続き】をするかもしれない。そう思うと、念入りにカラダを洗ってしまう自分がいた。

【続き】なんてしたらダメだってわかってる。
もう何度も、そう思っているのに、行為はどんどんエスカレートしていってる。

ドキドキと胸が早鐘を打っていて、足に走るほんの少しの痛みなら、わからなくなってしまうくらいに、アドレナリンが出ていた。

『おふろ…でたから…。つぎ、どうぞ…』
冷静を装って、かずやに声をかけたけど、どこかカタコトで違和感のある話し方になってしまった。

『うん!俺も入って来る!!』
そう言って、透弥は浴室へ向かった。

ソワソワとドキドキ…それと、罪悪感。
いろんな感情が混ざり合う。

雪と透弥は、もうキスしたのだろうか?

俺とは…キスしまくっている。なんなら、今日はキスよりも先に進んでしまった感さえある。

雪が透弥がキスしてくれないと言ってから、けっこう経った。でも、あれからあまりふたりがイチャイチャしている様子は見なくなった。

ふたりはもう、キスしたのだろうか?

ズキンズキンっ…

昼間くれた透弥の生気が、薄れ始めて、胸がぎゅっと締め付けられた。

俺にしてくれたみたいに、雪にもシているのだろうか?

手の掌がズキズキと痛んで、慌ててぎゅっと握りしめた。

ダメだ!!これ以上ふたりの事
考えたら手の掌からはもう今すぐにでも、芽が出てしまうそうだ

今、手の掌の皮を突き破り綺麗な薔薇の花が咲かれては…困る!!

あとたった4公演。
左の手の掌をぎゅっと握って、さらに右手で左手をぎゅっと隠すように握った。

もう、余計なことを考えるのは止めよう。
これ以上、症状が悪化しないように。

ベッドに入って、布団を頭まで被って、瞳を閉じた。
どれくらいそうしていたのだろうか?ズキズキと痛む胸の痛みに耐えて、意識はウトウトとし始めていた。

すると、突然俺の布団が捲られて、透弥が俺を抱きかかける様に俺の布団に入って来た。

その振動で意識ははっきりとして

『っ///はぁ?おいっ!』
俺が慌てて言うと。

『なに?』って、何でもない風に透弥が返して

『なに?じゃないだろ?何やってんだよ!お前のベッド、向こうだろ?』

『いいじゃん!昔は一緒に寝てたじゃん』

『あれは子供の頃だ!!今はもう違うだろ!!』

『別にいいだろ?あの頃となんも変わって無いだろ?』

…なにも、変わってないのはお前だけなんだよ。

俺は、お前を好きって気づいてしまって

もう、あの頃みたいに無邪気に隣で一緒に寝たりなんて、出来ない。

ふざけて無邪気にじゃれ合うんじゃなくて、触れる意味を考えてしまう。

それに、透弥に触れられたところが熱を持ってしまうから…。
迂闊に近づく事さえ難しい。

なにも、変わっていないお前とは違うんだ!!


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