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俺はギタリストなんだが、ところでAIは電気宇宙人の夢を見たりもするのか?

連鎖するCO

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=======㈭========







夕方に一人の客がやってきた。

「おー。タカ。今日も会えたね。」
「エヴァ!いらっしゃい。あれ、今日は奥さんは一緒じゃないの?」

俺はエヴァと軽くハグをした後、彼の後方をちょっと確認しながら訊いた。

彼はエヴァレスクと言う名の常連客だ。スタッフ達は親しみを込めてエヴァと呼んでいる。
初老の白い口ひげをキレイに生やした日系アメリカ人で、いつもゆっくりと物腰柔らかく話す。
月に何度か、同じ年の頃の奥さんと一緒にやって来て紅茶とケーキを一緒に食べ、二人でゆったりとした時間を過ごして行く。
こちらも見ているだけでその二人の間のゆったりと流れる時間を共有させてもらえるようなそんな和むお客様だ。
以前から奥さんとの会話を聞いていると日本語も全く問題なく話せるようなのだが、アメリカで育った為たまに英語を話す機会を持ちたいと言う事らしい。
エヴァが英語で話すので、こちらはいつもそれに合わせて英語対応をしている。

「うん。今日はね、彼女はいないよ。ちょっと仕事で傍に寄ったから来たんだ。サボりにね。」
とお茶目に笑った。

「はは。そうなんだ。一人でも当然大歓迎だよ。ゆっくりサボって行ってよ。」

席に案内すると、エヴァはサンドイッチとコーヒーを注文した。
エヴァがコーヒーを注文するのはかなり珍しかった。それについて少し気になったが、詮索する気にはならなかった。

すぐにコーヒーだけ持って行くと彼は窓の外を目を細めて静かに見ていた。

「タカ、キョウハトッテモイイテンキダネ」エヴァが日本語で話しかけてきていた、それは俺にとって初めての事だった。
元々懐の深い話し方をするが外見が日本人と基本変わらないのもあって、日本語で話すと尚更ゆったりと落ち着いた雰囲気が出ていた。
独特なイントネーションはあるもののエヴァが日本語を使うと英語で話す時と比べ、彼の好ましい人間性をうまく引き出す効果があるように思った。
俺は色々で気分が沈んでいたが、それが少し穏やかになる気がした。

「そうですね。朝から天気いいですよね。冬は空気も澄んでいて空も高くて晴れると気持ち良いですよね。」とエヴァの見ている窓際の景色を俺も一緒に見た。
エヴァに倣って俺も日本語で話していた。

しかし英語だとフレンドリーな感じだが日本語だと都合敬語になり落ち着いているが、堅苦しいとも言える。言語の違い一つでさっきより断然二人の間の距離感が空いた感じになっている。英語と日本語を切り替えるだけで親愛の情を示すあり方がこんなにも違うのかとさすがに驚いてしまった。
にしてもなんだろう。エヴァと俺の間にもコンパス星人がまたなんらかの影響を与えているようなそんな気配があった。

「タカ。君は音楽をやっているんダッタネ。最近はドンナ活動をしているノ?」
んー。もしこの会話が英語だったらこんな感じで答えるんだが、、

「今はちょっと曲は作ってなくってさ、その代わりブログやってるよ。良かったらチェックしてね。」

ってな感じだろう。
だが日本語なので
「ちょっと最近はブログを書いたりしてるだけで。。。事情があってあまり曲は作れていないんです。」と答えた。

「ソーなんダネ。でもブログは今度読んでみたいナァ。」
「ありがとうございます。お忙しいとは思いますが時間のある時にでも覗いてみてください。」

「あ。そうそう。コレ、アゲマスね。」と、彼は茶目っ気たっぷりに立派な皮製の名刺入れから一枚名刺を差し出して、ウインクをしながらわざと大げさにビジネスマンがよくやる作法で名刺を渡してくれた。
「わたくしエヴァレスクと申しマス。ヨロシクお願いシマス。」

「あ、、、。どうも、ありがとうございます。」俺は急で少し驚いたがそれに倣って両手で名刺を受け取り、それを眺めた。
そこには英語でエヴァが世界企業CoccaCola社の相当な重役であるという事がさらっと記されていた。

おわーっ!
なんかすごそうとか思ってたけど、やっぱすごい人なのか、エヴァは。

そんな人に俺は平然とハグかましてたって事かよ。。。
なんか、、改めてやっぱ英語と日本語の違いってすげー。
エヴァがもし今日みたいに毎回日本語しか使ってなければ、そもそもこんなに親しくもなってないんじゃないか?握手さえしていたか怪しい。

にしても、だ。
“CoccaCola”…。
こりゃまた『シーオー(CO)』って事だな。コグニチヴコンピューチングと続いて二つ目って事になるか。
コンパス星人がまた、ぬるんと周りを泳いだ気がした。


「そう言えばさ、タカ。髪の色変えたんだねぇ。すこし前にうちの奥さんと来た時にはもう変わっていたけどその時はタカと話さなかったからね」

エヴァは急に英語に切り替えて話しだした。一瞬だけ違和感があったがすぐに慣れた。

「うん。そうなんだよ。ちょっとカッコ良くしようと思ってさ。」

俺もいつものような関係性で軽く喋る事が出来た。そうそう。俺とエヴァってこんな感じだよな。すげえ肩書き持ってたり日本語が似合いすぎる所為で一瞬忘れてしまうところだった。俺たちはこんな感じで話すんだったよな。そうだ。

「良いよね。すごく似合ってるよ。こう言うとなんだけど、その髪の色にした事で別人になったように思えるね」
「ありがとう。うん。そうだね。自分でもそう思えるよ。」

ちょうど別のスタッフがエヴァの頼んだサンドイッチを持ってきてくれて俺はエヴァのテーブルを離れた。
エヴァとの会話で少しだけ気分がマシになったようだった。

エヴァがまだ店内で寛いでいるうちに退勤時間がやってきた。
エヴァにちょっと挨拶をして俺は着替えを済まし、ゴッサムバークスビルディングの外に出た。
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