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俺はギタリストなんだが、なぜかコーヒーが飲めないみたい:β

pt1:仕事運30点

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”もう、、、ゴールしてもいいよな”
”いかん!いかんぜよおおおおおおおおおお!”
(俺)「いかんぜよおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
”ごぉ・・・るぅ・・・”

ピッ!
いたたまれなくなった俺はテレビの電源をOFFにした。
だってそうだろ!?
折角、一度壊れてしまった友情が、ようやく元に戻って、これからもっと素敵な思い出を作っていこうとした矢先に・・・。
主人公のリン君は、相棒にして良きライバルであるハルオ君の腕の中で力尽きてしまった・・・。

「ぐっ。これはキツイ・・・。なんという・・・。」

そう。
昨日俺は近所にあるツタタニに行き、感動アニメの隠れた金字塔ともいえる「PAIR」のDVDを全て借りた。
そして今、一夜にして一気に完走し終えたところだ。
家族、友情、青春、そして将来への希望。
人生における大切な要素を網羅した感動作品を、息抜き無しで一気に見ることの危険性は十分承知していたつもりだったが、せずにはいられなかった。
あふれ出る涙と鼻水を、用意していたティッシュで一気にチーンっとした後、俺は軽い放心状態に陥った。
なんということだ。
こんな結末って、ありか。
・・・。

元はといえば、Sorrys!が活動休止したことで毎日にハリがなくなった俺に、自ら活を入れるために適当な感動アニメを見ようと軽い気持ちで手を出したことが間違いだったのかもしれない。
本当によく出来たアニメだった。
そう。リンとハルオ、二人の出会いは小学校の頃・・・。
おっと。
危うくPAIRの感想で突っ走るところだった。
いけない。いけない。

俺がPAIRを見てる最中に、何度か携帯にメールが届いていたようだったが、もちろん確認はしていない。
その時の集中力はまるで、Sorrys!のライブで哲平がサンプラーを勢いよく鳴らしたあと、シンバルのアタック音とぴったり同時にBet Itのリフをコルクのキーボードで引き始めないといけない時のそれに似ていた。
いや、ちょっと違う気がする。
まぁいい。
俺は再び流れ出た鼻水をティッシュでチーンッしながらメールをチェックした。

”きょうひまか?”

携帯メールだというのに、まるで電報のような書面を送ってきた張本人は哲平だった。

「なんだろうなぁ・・・。」

この類の連絡が来たときは、どこかに出かけたり、食事兼ミーティングをしようというサインなんだが・・・。
ぶっちゃけ俺は、これからもう一つ作品を見ようと思っていたので最高に気が進まなかった。
俺はどのように返信しようかに迷っていた。
視界には昨晩借りてきた”FREEZE! ~エターナルウィンター~”のDVDが入ってきた。
表情を舞う青年たちの青春ドラマ。葛藤、希望、野望、絶望、そして希望。
名作とどこかの風邪の噂で聞いていただけに、とてーも気になるところではある。

うーーーん。
・・・。
おい。
思い出せよ、俺。
リン君はこういう時、迷わなかっただろ?
いつだって一生懸命だっただろ!?
いくらボーカルがいないからって、俺はいつだってSorrys!の活動を優先してただろう?
俺は今日中に返そうと思っていたフリーズのDVDをグッとにらみつけた後、”ひまだよ”と書いて返信した。

「なぁ~に。帰ってから一気にみるとしよう。」

俺は夜通し見ていたPAIRのDVDをケースに戻し、眠気眼をこすりながら台所に行って歯磨きを始めた。
すると早速、哲平から返信が来た。

”よし。今日はライブハウスを見て回ろう。”

え?なんで?
ボーカルいないのに?
俺は歯磨きしながらメールの内用に若干戸惑ったが、理由はどうせいつもの”なんとなく”であろうことは間違いないと思った。
俺は口をゆすいだ後に部屋へ戻り、カーテンを開けた。
天気は悪そうだが、とりあえず雨はまだ降っていないといった感じだ。

”おっけー。何時から行く?”
”では、二時間後にK堂駅集合で。”
”了解。”

二時間後か・・・。
つまり朝の10時からライブハウスを見て回るって事か・・・。
これはハードな一日になりそうだなと直感した俺だったが、考えたところで意味は無いので占いアプリで今日の運勢をチェックした。

総合運 67点
恋愛運 88点
金運 90点
仕事運 30点

スポット おしゃれなカフェ
ラッキーアイテム 真っ白なタオル

「ふーん。」
仕事運が30点・・・。ますます雲行きが怪しくなってきたぜ。
俺は早速朝ごはんを食べて、しばらく休んでから身支度を始めた。
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