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変態狼の妄想爆発短編ショー!!!
1.まず初めに。~先輩と後輩~
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ある時は非常勤物理学者(最近はそのことが忘れられているが)、またある時はベストセラー恋愛小説家である場磁石 哉太は新たな取り組みであるBL小説に筆を取ろうとパソコンのキーボードに手を置いた。名義は彼岸花 彼方。儚げな名前ではあるが自身の愛おしすぎる恋人の名前を取ったものだ。小説は哉太にとっては自分の中で丁寧に自身が育て上げた代物。だからこの名前も哉太にとっては子供のような物であった。そんな彼はキーボードで叩こうとはするのだが…自分が練り上げたプロットに納得がいかない様子である。
「う~む…。自分で言っちゃあなんだけど想像しにくいんだよな~。キャラがなが~い年月を掛けて告白して付き合ってでしょ?…そこにその人物たちの感情を乗せたり、背景とか描写を乗せるのも飽きたんだよね~。…って言ったら撫子に笑いながらぶっ飛ばされるな。」
担当編集者である普段から笑い声がとんでもなくうるさい大男の存在を思い浮かべては彼は頭を振って忘れようと心がける。すると、ふと思い当たる節が見つかった。
「そう言えば…他の先輩作家の作品を読んだ時に、シリーズみたいな感じの短編集とか出してる人が居たんだよね…。まぁ東野 圭吾大先生のガリレオシリーズとかもそうだし…。って、BL小説なのに何言って…っあ!」
そこまで言って哉太は閃いたように顔を上げた。今は自宅であるのでサングラスはしていないからか真紅に煌めく赤い宝石のような美しい瞳が天井を見上げる。すると今度は少し笑ってからパソコンに文字を打ち込んでいった。恐らく今はバイト中である愛しい恋人のことを思いながらとんでもない速さでキーボードを軽やかに打ち込んでいく。
「メインは俺と花ちゃんにして~?名前は…まぁ変えるとしても俺が花ちゃんに対してヤリたいこととか言動を物語として書く…みたいな?…確認する前にプロットと内容を膨らませるとして…、よし。こんな感じでどうよっ!っと!!!」
-カタンっ!!!
パソコンに打ち込んでからそのままデータをメールに送って哉太は一仕事を終えたように空っぽの冷蔵庫に置いてあったプロテインを飲む。彼はその美しい肉体の為に惜しまずに飲み、そして鍛え上げてきた。狼という自覚もあったから強くなる為に、という理由もあるのだが…でも今は愛しくて可愛らしいツンデレな恋人を喜ばせる為にも筋トレはほぼ毎日やっているらしい。そんな彼は家でしか着ないだらりとした寝間着のまま顔を洗い、歯磨きをし、そして腹筋が露わになるへそ出しトップスに着替えてから髪を整え、そしてコートを羽織った。季節は少し肌寒くなる頃ぐらいなのにも関わらず彼は腹筋を出す…いや。脇腹に刻み込んだ”狼”を露出するというのには変わりない。そしてお気に入りのトレードマークであるサングラスを掛けてしまえば一丁上がりだ。玄関まで行き靴を履きながら哉太は呟く。
「そう言えば心はおとーさんの面会だったか…。スマホ持たせてあるから連絡して…待ち合わせして幸のバイト先乗り込もうかな~?でも、あんな達観してる子とはいえ、まだ小学生だし、しかも女の子だしな~。…いずれ時が来たら花ちゃんのバイト先に乗り込んでみよ~と!」
そして玄関を開けて軽やかに閉めるのであった。
-俺は自分の室内で先輩にいきなり押し倒されてしまった。何故なのかは分からない。だけどその前に経緯を話そうと思う。
俺は先輩にずっと前から好意があった。でも隠していた。…その気持ちはとてつもなく異端であると分かってはいたのだから。それでも溢れるこの気持ちは止まらなくて、噴火してしまいそうで、溢れ出しそうで…だからこの気持ちに蓋をしようとして、なるべく笑顔で。それでいて気持ちを悟られぬように俺は先輩に言葉を向けたんだ。
「湊先輩!今まで俺の練習に付き合ってくれてありがとうございました!」
「…はっ?」
湊先輩がポカリを一口飲んでから訝しげな顔をした。…そりゃあそうだよな。だってあんなに頼み込んでいた後輩からの願いを聞いてくれて、付き合ってくれたのに…俺は何一つもしていないじゃないか。…俺ってこんなにも誠意がないのだと自分でも思ってしまう。
「お前…。澪、お前なんかあったか?…俺がなんかした、とか?」
…違う。そんなんじゃない!俺は自分の為に、あなたに気持ち悪いと思われたくなくて。自己中心的だとは分かってはいるけれど…それでも、あなたに嫌われたくないから。…湊先輩に嫌われるくらいなら死んだ方がマシだから。…
だから俺は自分でもぎこちないほどの笑みを作って、なるべく明るい調子で先輩に礼を言った。…本当はしたくないのに。ずっと先輩が部活を引退するまでしたくないのに。…でもそしたら。……俺はあなたのその優しさに浸け込んでしまうかもしれないから。
「先輩も有名難関大学行きたいって言ってたじゃないですか!俺のへたくそな後輩の練習を見るよりそっちの方が大事かな~って!」
「……ふぅん?」
「俺はバカだから勉強なんて無理だけど、先輩の夢なら応援でき」
「お前、マジで言ってんの?」
「…へっ?」
先輩の、湊先輩の眼光が鋭くなったと思った途端、俺は抱きしめられるように先輩に…憧れで大好きな先輩に押し倒されていた。自主練の後だし、シャワーも浴びてなかったから汗臭さも感じられたけれど。…先輩の匂いは俺の心をトキめかせる。…何が何だか分からないが、押し倒されて抱き着かれて動けない俺に先輩は…湊先輩は耳元で囁くのだ。
「…俺のこと、好きなんじゃないの?」
衝撃よりも先に敏感な自身の耳が疎ましく思えた。
「う~む…。自分で言っちゃあなんだけど想像しにくいんだよな~。キャラがなが~い年月を掛けて告白して付き合ってでしょ?…そこにその人物たちの感情を乗せたり、背景とか描写を乗せるのも飽きたんだよね~。…って言ったら撫子に笑いながらぶっ飛ばされるな。」
担当編集者である普段から笑い声がとんでもなくうるさい大男の存在を思い浮かべては彼は頭を振って忘れようと心がける。すると、ふと思い当たる節が見つかった。
「そう言えば…他の先輩作家の作品を読んだ時に、シリーズみたいな感じの短編集とか出してる人が居たんだよね…。まぁ東野 圭吾大先生のガリレオシリーズとかもそうだし…。って、BL小説なのに何言って…っあ!」
そこまで言って哉太は閃いたように顔を上げた。今は自宅であるのでサングラスはしていないからか真紅に煌めく赤い宝石のような美しい瞳が天井を見上げる。すると今度は少し笑ってからパソコンに文字を打ち込んでいった。恐らく今はバイト中である愛しい恋人のことを思いながらとんでもない速さでキーボードを軽やかに打ち込んでいく。
「メインは俺と花ちゃんにして~?名前は…まぁ変えるとしても俺が花ちゃんに対してヤリたいこととか言動を物語として書く…みたいな?…確認する前にプロットと内容を膨らませるとして…、よし。こんな感じでどうよっ!っと!!!」
-カタンっ!!!
パソコンに打ち込んでからそのままデータをメールに送って哉太は一仕事を終えたように空っぽの冷蔵庫に置いてあったプロテインを飲む。彼はその美しい肉体の為に惜しまずに飲み、そして鍛え上げてきた。狼という自覚もあったから強くなる為に、という理由もあるのだが…でも今は愛しくて可愛らしいツンデレな恋人を喜ばせる為にも筋トレはほぼ毎日やっているらしい。そんな彼は家でしか着ないだらりとした寝間着のまま顔を洗い、歯磨きをし、そして腹筋が露わになるへそ出しトップスに着替えてから髪を整え、そしてコートを羽織った。季節は少し肌寒くなる頃ぐらいなのにも関わらず彼は腹筋を出す…いや。脇腹に刻み込んだ”狼”を露出するというのには変わりない。そしてお気に入りのトレードマークであるサングラスを掛けてしまえば一丁上がりだ。玄関まで行き靴を履きながら哉太は呟く。
「そう言えば心はおとーさんの面会だったか…。スマホ持たせてあるから連絡して…待ち合わせして幸のバイト先乗り込もうかな~?でも、あんな達観してる子とはいえ、まだ小学生だし、しかも女の子だしな~。…いずれ時が来たら花ちゃんのバイト先に乗り込んでみよ~と!」
そして玄関を開けて軽やかに閉めるのであった。
-俺は自分の室内で先輩にいきなり押し倒されてしまった。何故なのかは分からない。だけどその前に経緯を話そうと思う。
俺は先輩にずっと前から好意があった。でも隠していた。…その気持ちはとてつもなく異端であると分かってはいたのだから。それでも溢れるこの気持ちは止まらなくて、噴火してしまいそうで、溢れ出しそうで…だからこの気持ちに蓋をしようとして、なるべく笑顔で。それでいて気持ちを悟られぬように俺は先輩に言葉を向けたんだ。
「湊先輩!今まで俺の練習に付き合ってくれてありがとうございました!」
「…はっ?」
湊先輩がポカリを一口飲んでから訝しげな顔をした。…そりゃあそうだよな。だってあんなに頼み込んでいた後輩からの願いを聞いてくれて、付き合ってくれたのに…俺は何一つもしていないじゃないか。…俺ってこんなにも誠意がないのだと自分でも思ってしまう。
「お前…。澪、お前なんかあったか?…俺がなんかした、とか?」
…違う。そんなんじゃない!俺は自分の為に、あなたに気持ち悪いと思われたくなくて。自己中心的だとは分かってはいるけれど…それでも、あなたに嫌われたくないから。…湊先輩に嫌われるくらいなら死んだ方がマシだから。…
だから俺は自分でもぎこちないほどの笑みを作って、なるべく明るい調子で先輩に礼を言った。…本当はしたくないのに。ずっと先輩が部活を引退するまでしたくないのに。…でもそしたら。……俺はあなたのその優しさに浸け込んでしまうかもしれないから。
「先輩も有名難関大学行きたいって言ってたじゃないですか!俺のへたくそな後輩の練習を見るよりそっちの方が大事かな~って!」
「……ふぅん?」
「俺はバカだから勉強なんて無理だけど、先輩の夢なら応援でき」
「お前、マジで言ってんの?」
「…へっ?」
先輩の、湊先輩の眼光が鋭くなったと思った途端、俺は抱きしめられるように先輩に…憧れで大好きな先輩に押し倒されていた。自主練の後だし、シャワーも浴びてなかったから汗臭さも感じられたけれど。…先輩の匂いは俺の心をトキめかせる。…何が何だか分からないが、押し倒されて抱き着かれて動けない俺に先輩は…湊先輩は耳元で囁くのだ。
「…俺のこと、好きなんじゃないの?」
衝撃よりも先に敏感な自身の耳が疎ましく思えた。
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