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*《甘い一夜》

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 植物園のような植物に囲まれて誘い込まれて、楠が誰かと話している間にウツギはふらふらとさまよう。
 色鮮やかな色彩に富んだ花や木々にウツギはすぅと香りを嗅いだ。青臭い香りと甘い香り、スンとした香りが入り交ざって心地が良い。
(――ここはいったいどこなのだろう?)
 ウツギが考えていると楠に声を掛けられて「ここはどこですか?」なんて尋ねてみた。すると楠は悪戯に微笑んで「秘密だ」そう答えて、エレベーターの方に向かったのだ。
 室内に入ってみると色鮮やか照明と共に気品なベッドと植物が飛び込んだ。名前は知らぬが植物たちが彩りよく、優雅に置かれているさまはどこかの植物の王国に居ると思ってしまうほどだ。
 ウツギは目を見開き、白と水色のコントラストで目を見張る。
「すごいです! ベッドも豪華だし、まるで王国みたいです……。どうしてこんな風な感じの部屋が――」
 すると後ろから抱き締められ耳元に唇が近づけられた。
「お前が生きてくれて本当に良かった……。お前が死んだら、俺はどうなっていたんだろう、な……」
「楠さん……」
 顔を見合わせて深いキスをする。甘美なキスをして脳天が蕩けるほどの甘いキスが降り注いだ。かと思えば、貪るようなキスをされてしまう。
「んぅ……んうぅ……う……ん……」
 荒淫なキスをされて離されたかと思えば、ウツギはベッドにどさりと落ちる。楠がしたたかに微笑み、ウツギが着ているシャツのボタンを外し始めた。
「今日はとことん付き合ってもらうぜ。ウツギ」
「はい、楠さん……」
 楠が不満げな表情を浮かべる。
「今日ぐらい名前で呼べ。麗也って呼んでくれ」
 顔を埋められて右目がズクリと呻いて啼いた。こんなにも他人を愛しいと思うことはないかもしれない。
 それほど楠の名前を呼ぶことは神聖な存在であった。でも呼んでみたい。
「麗也……さん」
「なんだ、呼んでくれるんだな。嬉しいぜ」
 ボタンが外し終わり淡いつぼみに触れては周囲をじっくりと触っていく。そしてもう片方は舌でべろりと愛撫をした。
「あぅっ……、麗也……さん……」
「ははっ、興奮すんな。名前で呼ばれるとぞくりとするよ。良い意味で」
 腰が砕かれそうな思いになる。下半身が熱くなる。だがそんなことなど知っているかのように、楠はわざと乳首しか触れない。愛撫をしない。
 だからウツギは自分で解放されている腕で自身のデニムを下げようとするのだが――阻まれてしまう。
「なんでぇっ……?」
 楠がニヒルに微笑んだ。
「俺が良いって言うまで射精すんな。一緒にイこうぜ」
「だっ、だって……、腰が、ちんこ、へんで……、イッちゃう……からぁ……」
「じゃあそれなりに強請ってみろよ。――俺をその気にさせるぐらいのことしてみろよ」
 するとウツギは青色に染まって睨みつけたかと思えば、楠を抱え込んで食むようなキスをし始めた。猛獣がするというよりも小鳥が啄むようなキスに楠が微笑んで応えてやる。
 ウツギは負けずにキスをして誘うように楠自身に触れた。楠の身体がビクリと疼いた。
「てめぇ……、またなにかしようとして」
「麗也さんが、いじわる、するからっ……、はふ、麗也さんを――意地悪します」
 するとウツギはズボンから楠自身を下着から取り出し扱いていく。どうしても楠が欲しいみたいだ。もどかしい刺激と甘露なウツギに舌打ちをして、ウツギのジーンズを下げた。
 ウツギが嬉しそうな顔をした。耳元に唇を寄せる。
「麗也さん、欲しい……。俺のナカに、挿れて?」
 可愛らしく強請る駄犬に飼い主は爆発しそうだ。というか爆発しかけていた。
「てめぇは、まったく! こんなんじゃ誰に買い手が行くんだがな。嫁でも取らせねぇぞ?」
「麗也さんのお嫁さんになる、お嫁さんになって幸せにさせてあげる……から」
 甘美な告白に楠は目を見開きベッドからローションを取り出して尻に垂らしていく。冷たいアロエローションに甘い声を漏らすウツギに、楠はニヒルに微笑んだ。
「幸せにしてあげんなら床上手にもならないとな、ウツギ?」
「ひぃっ、あぅ……うぅっ……――はぅっ!」
 赤く照らされたつぼみに指を侵入していき指を次第に増やしていった。掻きまわしウツギ自身も愛撫すれば、息絶えてしまう。
「あぅっ……――イクっ!!!」
 ドプリと鳴らしてウツギの白濁液が放たれた。だが鬼畜楠は終わらない。
 自身のずらされたズボンをさらにずらし、怒張した自身を魅せつけるようにウツギに掲げた。ごくりと唾を飲みウツギににやりと笑った。
「これを受け付けなきゃ駄目だな。――いけるか、ウツギ?」
 ウツギの色調が青から白に変化した。
「挿入して、挿れて? ――早く、挿入して?」
「……連呼すんなよ」
 恥ずかしそうな顔をする楠は自身を充てがって――ゆっくりと侵入していく。その感覚を味わうようにウツギは質量と熱に溺れて行為に集中する。
「あぅっ……うぅ……れいや、さん……もっと、っおく、挿れて……」
「言われなくても挿入してやるよっ!」
 ウツギの身体が跳ねる。律動を繰り返す身体に連れ添って身体が繋ぎ止められる。離すまいとする、身体に惹きつけられてウツギは楠にキスをした。
「んぅ……んぅ……」
「ウツギ、お前、キスし、すぎだ……」
 はぁはぁと息が絶えて銀糸がたらりと垂れる両者に、ウツギは少し苦しげに微笑んだ。
「れいや、さんが、欲しいから……。熱い、熱い、麗也さんを――ください」
 楠のボルテージが上がってしまった。抽挿を激しくさせて腰を揺さぶるウツギを上からしたたかに眺めたいが、もう限界だ。
「やばい、もう……イクっ!!」
「イって……イってください……」
「馬鹿」
 二人は深い口づけをして同時に達することができた。夜はまだ長い。
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