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棘先の炎
動向を知れば動向を知る 2話
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クイラと何故か別々に連れて来られたフライ。そして目の前にはバードこと飛鳥 玲が苦笑を浮かべている。何故自分が此処に連れてかれたのか?その疑問をフライはバードに投げ掛ける。
「あの…。僕も薔薇姫様の所へ来いとスネークさんに言われたんですけど…。何故に僕はバードさんに呼ばれて保健室に居るんです?」
バードが調合した薬が揃っている保健室へとスネークによって連れて行かれたフライ。だが、このような状況は初めてでは無かった。
「僕、大体いつもバードさんと居ると…眠くなるんですよね~?ー臆測なんですけど、僕に睡眠薬だが盛ってたり…してます?」
困惑した表情を浮かべるフライにバード自身も苦笑を浮かべ続けている。
「ん~。睡眠薬つーかなんつーか。…まあ、この前話した通り、これはお前自身のことと関係あるのよ。」
そう言ってキセルを吹かせるバードに更にフライは困惑する。…しかし、またしてもバードと話していくうちに睡魔が襲ってきた。眠気に襲われながらフライは彼に問い掛ける。
「なん…で?いつも僕だけ…なんですか…?僕は…何もしてない…のに。」
そう言って眠りにつくフライを抱えたバードは彼の頭をさすって呟いた。
「この方法しかお前を救えないからだよ…。…お前の中に潜んでいる化け物と向き合う為にな。」
そして彼を運びベッドへ横たわらせてから、バードは睡眠薬を調合していたキセルのフレーバーを捨てる。眠っている彼の額に手を当て、そして言った。
「お前の中に住んでいる遊ぶ兎は…一筋縄ではいかないな~。全く。どんな経緯で作ったんだが。」
そしてフライの掛けている緑色のサングラスを外し、ラビットが目覚めるのをバードは待った。
フライと別々に分かれた後、スネークによって先に理事長室…いや、薔薇姫の元へクイラは案内される。数回ノックした後、スネークは扉を開けてクイラを部屋へ通した。
「薔薇姫様!先に喰楽 麗良を連れて来ました。…フライはバードの所へ先に連れて行き、今の所は眠っていると思います。ー連絡が付き次第、俺が彼を迎えに行きます。」
大きな窓から景色を見ている理事長こと薔薇姫に淡々と言葉を紡ぐスネーク。そんな彼の姿にクイラは彼の心の動きを読む。
(理由は分からないが…。スネークさんはかなり、この薔薇姫って奴に忠誠心…いや、好意でさえも抱いている。どうしてだ?)
何故クイラはそのように思ったのか。それは薔薇姫が右側だけ不思議な仮面を被っていて、車椅子を乗っているからというような差別的な判断ではない。…彼女の心の動きを読んでしまったからだ。そんなクイラを他所にスネークの説明を聞き終えた薔薇姫は彼に向けて笑みを浮かべる。
「ありがとうスネーク。…あなたの働きぶりは分かっていますから。…そうそう。クイラさんでしたっけ?…あなたも、転校して来たばかりなのにこの前の裁判に立ち会って下さりありがとうございます。」
そして深い海のような瞳で2人をを見つめた。薔薇姫に誉められた事により、表情を隠してはいるものの、スネークが心の中ではしゃいでいる姿が分かったクイラは内心で溜息を吐く。…だが、クイラには分かっていた。薔薇姫の心に潜む燃えるような憤怒の心の姿を。そんな彼女をつゆ知らず、スネークは薔薇姫に一礼してから顔を向ける。
「薔薇姫様の有難いお言葉が聞けて、俺は嬉しく思います。…そうそう。アフタヌーンティーがまだでしたね?…ラビットを呼ぶついでに給仕の者へ頼んで来ましょうか?」
そして綺麗な笑みを浮かべるスネークに薔薇姫も笑い掛けた。
「そうですね。クイラさんとも話したかったし。…そしたらラビットの分も含めて4人分お願いします。…スネーク?あなたがラビットの事を良く思っていないのは存じていますが…、彼は私達にとっての切り札。丁重に扱って下さいね?」
薔薇姫の"ラビット"という言葉で端正な顔立ちが崩れた素直なスネークを見て、彼女が彼に言い渡す。そして彼女に注意をされた彼は内心で舌打ちをした後、再び一礼してから理事長室から出て行った。
(スネークさんって案外分かりやすい性格してるな…。フライの時には優しいのに…。)
そんな事を考えているクイラに薔薇姫は楽しげに話し掛ける。
「あなたは分かっているのでしょう?…どうして、フライ…いえ、ラビットとあなたを私が呼んだのかを。」
そして怖いくらいの笑みを浮かべる彼女にクイラは不躾に理事長室へ置いてあったソファにぞんざいに座った後、彼女に言い放つ。
「どうせ、私の力か私の両親関係だろ?…あんたは理事長なんだから多分知ってるはずだ。ー私が何故、この学園に来たのかを。」
薔薇姫に目線を向けるクイラに彼女はこのような返答をする。
「そうですね…。ーというより、どっちもでしょうか。私はあなたを保護したいのですよ。…フライやラビットと同じように。」
一見、聖母のような理由を述べる薔薇姫にクイラは悪態を吐いた。…彼女の白々しい態度がクイラには分かっていたのだから。
「違うね。…私はあんたの心の動きが読めるんだよ。…あんたは私やフライを保護したいんじゃない。ー利用しようとしてるんだろ?」
猫を被らないペテン師が憤怒で燃え盛る茨に刃向った。
「あの…。僕も薔薇姫様の所へ来いとスネークさんに言われたんですけど…。何故に僕はバードさんに呼ばれて保健室に居るんです?」
バードが調合した薬が揃っている保健室へとスネークによって連れて行かれたフライ。だが、このような状況は初めてでは無かった。
「僕、大体いつもバードさんと居ると…眠くなるんですよね~?ー臆測なんですけど、僕に睡眠薬だが盛ってたり…してます?」
困惑した表情を浮かべるフライにバード自身も苦笑を浮かべ続けている。
「ん~。睡眠薬つーかなんつーか。…まあ、この前話した通り、これはお前自身のことと関係あるのよ。」
そう言ってキセルを吹かせるバードに更にフライは困惑する。…しかし、またしてもバードと話していくうちに睡魔が襲ってきた。眠気に襲われながらフライは彼に問い掛ける。
「なん…で?いつも僕だけ…なんですか…?僕は…何もしてない…のに。」
そう言って眠りにつくフライを抱えたバードは彼の頭をさすって呟いた。
「この方法しかお前を救えないからだよ…。…お前の中に潜んでいる化け物と向き合う為にな。」
そして彼を運びベッドへ横たわらせてから、バードは睡眠薬を調合していたキセルのフレーバーを捨てる。眠っている彼の額に手を当て、そして言った。
「お前の中に住んでいる遊ぶ兎は…一筋縄ではいかないな~。全く。どんな経緯で作ったんだが。」
そしてフライの掛けている緑色のサングラスを外し、ラビットが目覚めるのをバードは待った。
フライと別々に分かれた後、スネークによって先に理事長室…いや、薔薇姫の元へクイラは案内される。数回ノックした後、スネークは扉を開けてクイラを部屋へ通した。
「薔薇姫様!先に喰楽 麗良を連れて来ました。…フライはバードの所へ先に連れて行き、今の所は眠っていると思います。ー連絡が付き次第、俺が彼を迎えに行きます。」
大きな窓から景色を見ている理事長こと薔薇姫に淡々と言葉を紡ぐスネーク。そんな彼の姿にクイラは彼の心の動きを読む。
(理由は分からないが…。スネークさんはかなり、この薔薇姫って奴に忠誠心…いや、好意でさえも抱いている。どうしてだ?)
何故クイラはそのように思ったのか。それは薔薇姫が右側だけ不思議な仮面を被っていて、車椅子を乗っているからというような差別的な判断ではない。…彼女の心の動きを読んでしまったからだ。そんなクイラを他所にスネークの説明を聞き終えた薔薇姫は彼に向けて笑みを浮かべる。
「ありがとうスネーク。…あなたの働きぶりは分かっていますから。…そうそう。クイラさんでしたっけ?…あなたも、転校して来たばかりなのにこの前の裁判に立ち会って下さりありがとうございます。」
そして深い海のような瞳で2人をを見つめた。薔薇姫に誉められた事により、表情を隠してはいるものの、スネークが心の中ではしゃいでいる姿が分かったクイラは内心で溜息を吐く。…だが、クイラには分かっていた。薔薇姫の心に潜む燃えるような憤怒の心の姿を。そんな彼女をつゆ知らず、スネークは薔薇姫に一礼してから顔を向ける。
「薔薇姫様の有難いお言葉が聞けて、俺は嬉しく思います。…そうそう。アフタヌーンティーがまだでしたね?…ラビットを呼ぶついでに給仕の者へ頼んで来ましょうか?」
そして綺麗な笑みを浮かべるスネークに薔薇姫も笑い掛けた。
「そうですね。クイラさんとも話したかったし。…そしたらラビットの分も含めて4人分お願いします。…スネーク?あなたがラビットの事を良く思っていないのは存じていますが…、彼は私達にとっての切り札。丁重に扱って下さいね?」
薔薇姫の"ラビット"という言葉で端正な顔立ちが崩れた素直なスネークを見て、彼女が彼に言い渡す。そして彼女に注意をされた彼は内心で舌打ちをした後、再び一礼してから理事長室から出て行った。
(スネークさんって案外分かりやすい性格してるな…。フライの時には優しいのに…。)
そんな事を考えているクイラに薔薇姫は楽しげに話し掛ける。
「あなたは分かっているのでしょう?…どうして、フライ…いえ、ラビットとあなたを私が呼んだのかを。」
そして怖いくらいの笑みを浮かべる彼女にクイラは不躾に理事長室へ置いてあったソファにぞんざいに座った後、彼女に言い放つ。
「どうせ、私の力か私の両親関係だろ?…あんたは理事長なんだから多分知ってるはずだ。ー私が何故、この学園に来たのかを。」
薔薇姫に目線を向けるクイラに彼女はこのような返答をする。
「そうですね…。ーというより、どっちもでしょうか。私はあなたを保護したいのですよ。…フライやラビットと同じように。」
一見、聖母のような理由を述べる薔薇姫にクイラは悪態を吐いた。…彼女の白々しい態度がクイラには分かっていたのだから。
「違うね。…私はあんたの心の動きが読めるんだよ。…あんたは私やフライを保護したいんじゃない。ー利用しようとしてるんだろ?」
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