異世界の飼育員でさえてんてこ舞いなのにＮｏ．１獣人にサービスしないといけなくて困ってます。（てん獣）

僕は愛しい人の傍に居たい。

甘えたい。【１】

（…なんだろう。薬の匂いが…する。）

マナが目覚めれば自分はベットに居た。頭を抱えて起き上がるマナではあるが頭に違和感を感じる。腰辺りにもだ。起き上がって違和感の正体を突き止めようとすればドアからアリッストが入って来たのである。

「ア…リッストさん。ここは…一体？あと、なんか僕の頭と腰に何か」


「しっ！今は黙ってろ！！」

「…へっ？」

アリッストが連れてきたのは病衣を着た獣人の医者であった。彼はマナを見てから何かを書いてアリッストに渡して言う。

「うん。…まぁまたたびによる二日酔いと風邪だから心配することはないよ。ネコ科だからって甘やかしちゃダメだよ～？」

「えっ…？ネコ科？」

目を丸くするマナではあるがアリッストは医者に礼を言ってからマナと２人きりになる。そして疑問を覚えるマナにアリッストは携帯端末で写真を撮って見せつけたのだ。髪の毛と馴染んでいる黒いネコ耳に尻尾の姿は自分が以前、サリーから借りて美容院へ行ったことを想起させる。驚くマナではあるがアリッストは頭を掻きながら事情を説明する。

「人間だとバレないようにサリーから急遽借りたんだ。…あとしばらくはそれ付けてろ。偽物だけどその耳と尻尾は反応とか体調が即座に分かりやすく作られてるからな。だから完治するまでは付けてろ。」

「…。はい。分かりました。…ってアリッストさん、顔赤いですけど…こほっ！どうかしました？」

なぜか頬を赤らめているアリッストに声を掛けるマナではあるが彼はそっぽを向いて毒を吐く。

「！！うるせぇっ！…てめぇのおかげで散々だ！とりあえず寝てろ！」

「？？？…分かりました。」

眼鏡を外してからベットに横になりスヤスヤと眠るマナを見てからアリッストは呟く。

「…やっぱりこいつ。眼鏡外した方が…良いな。別に今に思った事ではないけど。」

深い眠りなのだろう。言葉に反応しないでいるマナの寝顔を見てからアリッストは彼の頬にキスをする。

－チュッ…。

どこか憂いを帯びた儚げな人間…マナにキスをしてアリッストは切なげな瞳をした。

「…俺が悪いだろうけど、無理なんだろうな。”恋人”として…だなんて。」

アリッストが自分の気持ちを初めて理解したのであった。


半日だけ病院で過ごしてからバスに乗って社宅へと帰ってきたマナとアリッストではあるがマナはさすがに本調子ではない様子だ。だから彼らは惣菜などを買って食べようとするのだが…マナは食欲が無いらしい。

「くっしゅんっ！！！…アリッストさん。食べていて下さい。…僕、少し眠ってます。」

「おう…。無理すんなよ。」

「あはは…。ありがとうございます。」

マナは自分の布団へと入って眠る準備をする。初めは邪魔だった猫耳や尻尾は慣れてきてしまった自分の感覚に苦笑しながら眠ろうとすればキッチンでアリッストが何かを作っている音が聞こえてくる。何かをすりおろしたりする音に耳を傾ければアリッストはマナに呼びかけるのだ。

「おい。…これなら飲めるか？」

甘くてスパイシーな香りがする飲み物を差し出されたのでマナが質問をすればアリッストは恥ずかしそうな顔をして答える。

「その…ハニージンジャーっていう飲みもんだ！別に…お前が心配だからとかではねぇけど？」

恥ずかしそうに言い放つアリッストにマナは風邪だからなのか気が付かずに差し出された飲み物を受け取ってにっこりと笑う。その笑みはとてつもなく愛おしく儚げな笑みだとアリッストは思った。

「…ありがとうございます。…アリッストさんには感謝でいっぱいですね。」

「…！！！ちゃんと飲めよバカ。」

「はい。」

少しずつ飲んでいくマナではあるがアリッストは沈黙が耐えられなかったようだ。

「そ！そういえば！…お前、なんで酒なんか飲んでたんだよ？…普段は飲まねぇじゃねぇか。」

「…それは。」

少し哀しそうな表情と猫耳や尻尾が垂れる姿を見てアリッストは可愛さのあまり発狂しそうになるが…心を落ち着かせる。そんな彼に気づかずマナは無理やり笑って誤魔化したのだ。

「あはっ…。また今度言いますね。…ごちそうさまでした。明日こそは作りますから。…おやすみなさい。」

「…あ。おう。おやすみ…。」

眠ってしまうマナにアリッストは考え込んでしまうのであった。


「はぁ…。はぁ…。はぁ…。」

「…マナ？」

リビングでくつろいでいればマナの荒い息づかいが聞こえて布団に駆け寄れば彼は眠りながらアリッストに声を掛けている。小さくか細い声で彼は小さく訴えるのだ。

「…苦しい。…お水。」

「…水？あとこれは、薬もだよな…？待ってろ。」

アリッストはキッチンでコップに水を注ぎ薬を持ってきてマナに手渡そうと起き上がらせるが…本人は気が付いていないのか少し勃起もしていた。苦しそうに息を漏らしながら自身へと手を伸ばして上下に扱いていく様はアリッストにとっては目に毒である。

「はぁ…。お前、誘ってんのかよ。…じゃあ応えてやるか。」

アリッストは欲のままに挿入する…のではなく、マナの小さな口に薬を放り込んでから水を少しずつ入れようとした。しかし零してしまい飲めないでいるマナを見て今度はアリッスト自身が水を含んでマナの口内へとゆっくりと飲ませる。それから勃ち上がっているマナ自身を上下に扱いて達させてから体中の汗を拭くためにタオルを持ってきては拭き上げて着替えさせたのだ。普段とは愕然と違うアリッストにいつものマナであったら驚いてしまうが、今のマナは意識が混濁としていて分からずにいる。…ただ、温かい優しさは伝わった。

「アリッストさん…。ありが…とう。」

ふにゃりと笑いながら眠るマナの姿にときめいてしまったアリッストは自慰で５回は抜いたという。